この記事では未経験で給食調理員に応募する際のコツをまとめました。
調理員に未経験で応募する場合採用担当者が特に重視するポイントというのがあります。これはどの会社でも一緒ですので、これを押さえることで採用の可能性を最大限に高めるようにしましょう。
以下この記事の内容です。
- 給食調理員の採用面接はどんな感じ?ー未経験者は面接対策が重要な理由
- 採用担当者が特に注目している2つの点(面接対策・模範解答例)
- 面接のコツ、よく聞かれる質問と対策
- アピールできる点
- 未経験での志望動機のポイント・注意点
- 調理経験自体がゼロでも採用の可能性はある?
私は20代半ばくらいで未経験(他の調理経験はあり)から採用となりました。
また入った後面接や選考に幾度も関わっています。本社の人事担当などとも採用について話したりという経験もしています。
ということで「もと中の人」としての実際的な内容となっております。また記事の内容は社員を中心に書きましたがパートでも同じ点を見られているので役に立つと思います。
なお大前提として社員(契約社員など含む)の場合は調理師免許は必須であることがほとんどです。
なおパートは免許を持っていると有利になりますが、採否の決定打にはなりません。
この記事は委託会社に応募する場合です。公務員対策は別途記事があります。

給食調理員の面接はどんな雰囲気?ー未経験者は面接対策が重要な理由
結論から言うと未経験者はできる限りの面接の対策をした方がいいと思います。
どうしても経験者優先ですし、履歴書に頼れない未経験者がポイントを取るには面接がほぼすべてだからです。
給食の仕事では(というか専門職の場合はほとんどそうだと思いますが)応募者の経験の有無によって面接の雰囲気と内容はがらりと変わります。
1.給食経験者の面接
はっきり言って面接対策は不要
業界の世間話的な感じから始まって、実際に配属予定の現場について細かいところの確認などになったりします。
なぜ転職したいのか、なぜ辞めたのかなどは当然聞かれますが、かしこまった感じの質疑応答になる部分は少ないです。
面:以前のところの食数は?アレルギーは?
応:こんな感じで…
面:ああ、それはきついですね。配属予定のところはこんな感じで…
2.給食は未経験だが調理経験豊富な人
面接対策はだいたいでOK
調理経験が長い人、他の集団調理をやってきた人などの場合です。このパターンでは質問がメインの面接よりも説明がメインの面接になりやすいです。
面接官が給食の仕事はどんな感じか説明をする時間が長くなります。場合によってはビデオなどを見せたりも。
この場合履歴書を見て調理のレベルは十分と判断されているので、本当に続けてくれそうか、給食の仕事を勘違いしていないか、などを応募者に確認してもらう意味が強いです。
3.給食未経験で調理経験浅・調理未経験
面接対策をした方がいい
調理経験が浅い給食未経験者の場合、一般的な質問・新卒に近い質問が多めになります。どうしてもポテンシャル採用なので、人柄を確認したいという部分が多くなります。
採用担当者が注目する2つのポイント
未経験者を採用する場合、採用者が一番知りたいことは調理ができるかではありません。もちろん調理経験は重視されてはいますが最重要ではないです。
- 体力
- 協調性
体力

調理の仕事の中でも給食は体力勝負です。
特に重いものの運搬などが多いので腰などが大丈夫か、夏場は過酷な暑さなのでその辺が大丈夫か、などです。
朝も早いのでそのあたりもしっかり確認を取られることが多いです。
面接での答え方のポイント
面接で体力の確認的な質問が来たら「体力には自信があります」で通せばOKです。
実際現場でやらないとわからないわけですが、「自分でも体力には不安が…」という素振りは見せないようにしましょう。それとなくやる気や本気度をはかっている質問でもあるからです。
やってみたらだめだったとしても「自信はあったんだけどなあ…」という話なのでうそじゃありません。続けていれば慣れるので実際ほとんどの人は大丈夫です。
答え方のコツとしては、自信+根拠のセットで。
もし以前の職場で無遅刻無欠勤などの実績があれば根拠としてアピールしましょう。
面接でよく聞かれる質問と回答例
Q「朝早いですし、腰など痛める人も多いですがそういった点は大丈夫ですか。」
A「もともと朝型ですし体力には自信があります。以前の職場も無欠勤でしたし、学生時代は運動部でした。」(他にも「ここ数年風邪をひいていません」「暑さに強いです」「重いものを持ち上げられる方です」など根拠はなんでもいい)
このように体力系の質問は「大丈夫ですか?」という確認のパターンできますが、「大丈夫です」だけだとちょっと弱いです。面接官もYESとしか答えられない質問なのはわかって聞いています。
せっかくなのでしっかりと根拠を示して面接官の懸念を払拭しましょう。しっかり根拠を示すことで質問の意図を捉えている=コミュニケーション力があるというプラス評価にもなります。
急な休みは困る
体力に関連して急な休みなどが一番困るというのも給食の仕事の特徴です。限られた人数で時間に間に合わせなければならないからです。
パートもそうですが特に社員です。給食では社員とパートの役割分担がはっきりしていて、基本的にパートが加熱作業などは行いません。したがってただでさえ頭数が少ない社員が突然休んでしまうとかなり厳しい状況になります。
なおパートの場合子供の都合で急な休みになる可能性があるか、というのも重視されています。
でもパートの欠員は何とかなりやすいですし、どの職場にも必ず子育て世代が何人かはいるのでお互い様なところがあります。ですので子供が病気で休む可能性などについては現状ありのままを話すのがいいと思います。

協調性

面接で一番見られるポイントは協調性です。給食はなによりチームワークの仕事だからです。
面接官が心配しているのは「揉め事を起こす・あるいは原因になるようなタイプじゃないだろうか」ということです。
狭い世界で限られた人数で毎日過ごしますし、一日中連係プレーなので想像以上に人間関係が濃い業界です。女性社会ですし、パートはクセが強い人が各現場一人か二人は高確率でいます。
栄養士の権限が絶対なので特にプライドが高い男性社員などはそこがストレスになる人も多いです。特に新人は衛生面を中心に厳しくチェックされ指導されます。
特に今まで平和だった現場に補充する場合はかなり気を使います。変な人(トラブルメーカー)を入れるくらいなら人が足りなくて必死で回す方がまだマシだ、という現場もあるくらいです。
協調性の質問はされる?
「協調性」というのは本来ストレートに質問しても測れない、つまり面接でこの点を確認するにはとても高い質問力が必要と言われています。
給食業界では協調性を鋭く探るような質問をする面接担当者はあまりいないと思います。
ですので逆にストレートに「みんなでやる仕事ですけど協調性は大丈夫ですか?」と確認される可能性もあります。このパターンで来たら体力と同じように自信+根拠という形で答えられるように用意しておきましょう。
また過去の退職理由などでは人間関係のトラブル系の話は出さないほうが無難です。仮に本当に被害者だとしてもマイナスのポイントになる可能性があります。
協調性についてアピールするタイミング
直接的に質問されなくても面接中協調性をアピールするタイミングというのがあります。
例えばよく聞かれる質問としては「自分の長所と短所はどこだと思いますか」(私も給食未経験面接のときに聞かれました)。
こういうタイミングで協調性を長所として持ってきましょう。
といっても「協調性が高いことです。誰とでも仲良くできることです。」だとなんだかストレートすぎるので一工夫はした方がよさそうな気がします。個人的な感覚ですがこれではポイント取ろう感が丸見えっぽいというか。
「長所は人の意見を素直に聞けるところです。特にはじめてやることはしっかり本で調べたりベテランの人を見つけて聞いたりします。
短所はその裏返しで自分で工夫するのが苦手なところです。」
こんな感じでさらっとそれとなくな感じが一番いいのではないかと思います。
また上の例のもう一つのポイントは短所ですら「給食の仕事では長所」にしているところです。給食調理員は「とにかく指示と違うことを絶対にやってはいけない」ので「自分で工夫しない」は適性として評価される可能性も高いです。
ちなみに「長所・短所」の問いではこんな組み合わせ解答も給食の仕事と相性が良いという風に見えます。
「長所は何事もしっかり準備して慎重に取り組むことです。短所は失敗を恐れてしまうこと、臨機応変が苦手なことです。」
これも短所が給食の仕事的にはマイナスポイントになっていない例です。
なお実際に現場に入った後、現場目線で重要な点の一つは「スピード」なのですが、面接ではあまりアピールしないほうがいいと思います。スピードとミスの少なさというのはトレードオフなイメージがあるからです。
給食の委託契約(自治体との契約)は減点方式なので、採用担当者としては「仕事がはやい人」よりも「ミスしない人」がほしいからです。
面接官が協調性を重視しているからといってそればかりアピールするのもおかしいので、長所・短所では上のように別のことを言うのも一例かと思います。
- 仕事で大切なこと(あなたが心がけていること)は?
- 周りの人からはどんな人と言われますか
- マネジメント(リーダー)の経験はありますか
- 今までの仕事で難しかったことは?それをどうやって乗り越えましたか
面接中はすべて協調性の審査ポイント
実際のところ協調性は受け答えや会話の感じで「なんとなく」判断することがほとんどです。実際これが一番信頼できる情報と思っている面接官も多いのではないでしょうか。
例えば面接中になにか面接官が説明したことに対して「そうですね」よりも「(知っていても)そうなんですか」と返すのはいいかもしれません。(ちなみに実際に現場に入った後も、一番この受け答えを出すパターンが多いです。とにかく最初は注意されまくる仕事なので。)
自分の主張を通しつつ周囲とうまくやる、ということが求められる職種も多いですが、給食調理では自分の主張を通すというのはほとんど必要のない要素(少なくともチーフになるまでは)です。
わざと演じる必要はありませんが、なんでもスポンジのように吸収していきますという姿勢を出すのはいい気がします。

他にアピールできるポイントと注意点

給食が未経験でも他の調理経験があると有利になります。
調理師免許を持っているということは調理学校卒かどこかで2年以上の実務経験があるはずなので、そのどちらかの経験をしっかり伝えましょう。
実際ホテルや専門店などの出身者が多かったですが、ファミレスチェーンなどの方も少なくなかったです。
調理以外の経験は評価材料?
ちなみに調理以外の業界・他職種の経験などはほとんど評価されないと思った方がいいです。
ただし先に述べた体力、協調性のいずれかに関係する部分はそれとなくプラス評価になります。実際給食センターでずっと運送関係だった人(筋肉がすごかった)が未経験で入ってきたことがありました。このあたりはうまくアピールしましょう。
逆に体力・協調性以外で他業界の活躍を変にアピールしてしまうと採用を見送られる可能性が高くなると思った方がいいかもしれません。能力的には「できる」と見込まれてもすぐに辞めそうと思われる可能性が高いからです。給食の仕事の地味さ、きつさなどに耐えられないという心配が出てきてしまうからです。
こういった場合は、どんな仕事をしてきたかはあまり話さず実際的な転職理由を話の中心にしたほうがいいと思います。子供や家庭を優先したい、ずっと続けられる仕事の経験を積みたい、などです。転職回数が多かった人も同様です。
給食が向いてそうな人
体力、協調性、調理経験と見てきましたがその他補足ポイントです。
- 要領がよさそう、呑み込みがはやそう
- 段取りがよさそう
この辺は質問に対して適切な長さで的確な答えを返せるかといったことではかられるかもしれません。
- 動きが機敏そうか
- 姿勢はどうか
先に述べた体力が大丈夫そうかというところとも関係しますが、給食はとにかく体が資本なので。面接中、面接の前後こういった雰囲気もなんとなくチェックされています。
志望動機は懸念を持たせなければなんでもいい

給食の人事担当者の多くは特に個人的な情熱とかありません。要は志望動機は不自然でなければなんでもいいと思います。
- 調理師免許を生かして安定して長く働きたい
- 残業ばかりだったので家庭の時間と両立したい
など実際的な理由が一番しっくりきます。採用者としては頑張りは普通でいいから長くやってくれる人がいいと思っています。
仕事そのものへの熱意がありすぎると逆に心配になる(辞めそう)ことがあります。
工夫しすぎた内容の例
以下「う~ん?」という気になる内容になってしまっている志望動機例です。
料理が好きなので「うまくなりたい」
新卒ならいいかもしれませんが、中途でこれはあまり強調すべきことではないです。
こういうのは個人経営の飲食店などだとポイント高めになる可能性がありますが、給食ではそれほどでもないです。
あまり強調すると給食の仕事に幻想を抱いている、入った後のギャップで辞めるのではないかと思われる可能性もあります。
料理が好き系の動機で行くなら「喜ばせたい」とか「役に立ちたい」的な方がいいです。
あるいは「子供たちに食を提供する仕事に意義を感じて…」みたいな教科書的なことでもいいかもしれません。
完全未経験なら料理が好きなので仕事にしたいはアリかもしれません。
ただその場合「好きなら専門店や飲食店のほうがいいんじゃない?」という突っ込みが予想されるのでそれに答えられるように準備するようにしましょう。
「今までの技術を生かして活躍したい」
専門店などでしっかりした料理をしてきた人の場合、その技術や調理レベルなどを強調したくなると思います。
ですがこれはやらないほうがいいです。というより採用の可能性を高めたければやってはいけません。
まず給食では技術はほとんどいりません。基本の包丁づかいや基本的な料理の原則は知っている必要がありますがそれ以上は邪魔になる可能性があるからです。
専門店の厨房に数年いた、という事実なら履歴書で確認できます。その時点で「調理レベルは余裕でクリア」と判断されているはずなのでアピールしなくて大丈夫です。実際に厨房で何をやってきたのか聞かれたらサラッと答えるくらいでいいと思います。
採用担当者は専門店出身者について以下の心配を払拭したいです。
- 我が強い・プライドが高いため、他の調理員とのトラブルになりやすいのではないか
- 自分で工夫しようとしてしまい栄養士の指示に従わないことはないだろうか(給食ではきっちり量ったものを指示通りに使用しないといけません)
- オリジナリティが発揮できないこと、栄養士に完全に従うことに耐えられないのではないか
専門店にいた場合「技術」を使って「活躍」みたいな志望動機よりも、普通に「今までの経験を生かして」くらいで十分と思います。
実際人間関係の面から職人系の(というイメージを持たれている)職場にいた人は敬遠する会社もたまにあります。
私の例ですが、応募の電話の際に今までの経験として割烹と言ったところ、そのことで断られてしまったことがありました。最近職人肌の人を採用したところ我が強く現場を乱してしまったため、という理由でした。
また単純に現場の男女比のバランスなどで決める場合もあります。
調理自体まったくの未経験でも調理員になれる?

結論から言うとまったくの未経験でも選考対象になりえますし可能性はゼロではありません。
特に20代など若い人なら調理師免許を持っているという条件をクリアしていればOKです。
ただ簡単ではありません。なぜならどの会社も教育する余裕がないので。
どうしても
- 給食経験者
- 他の調理経験者(特に集団調理系)
- 調理実務未経験
の順で選ばれます。
かつ基本的には若さよりも経験者の方が優先です。
未経験なら待遇は気にせず数を打つ
ただ実際の採否は他の応募者がいるかどうかが一番のポイントなので、未経験OK&通えそうなところは全部応募するのがおすすめです。
その際待遇はあまり重視しないようにしましょう。未経験だとかなり給料は安いと思いますが仕方ありません。
一度どこでもいいので入ってしまってから1~2年後経験者として転職するほうがお得です。
というのは最初に採用された時の給与がずっとベースになってしまうことがほとんどなので、むしろ他の会社に移ったほうが給料は上がりやすいことも少なくないからです。
また一度経験者になれば簡単に他の会社に移れます。

調理師免許がない・全くの未経験なので採用されなかったら…
調理の世界はバイトの経験でも十分評価されます。
ですのでもし免許がない、あるいは免許はあるけど飲食系バイトもしたことがないという場合は、まず1~2年程度ファミレスや居酒屋などでいいのでやりましょう。
これだけで採用の可能性はグッと上がります。
ちなみに入社後の心配はそれほどしなくて大丈夫です。給食は決められたとおりにすすめるので、調理経験がない・浅い未経験でもやる気さえ無くさなければ十分やれます。

まとめ
- 未経験者の面接では人柄などを知るための質問などがくるため対策が重要。
- よく確認されるのは「体力」。自信があります+根拠で答えましょう。
- 重視されているポイントは「協調性」。さりげなく長所としてアピールすべし。
- 専門的な調理技術や他職種での実績などはアピールしすぎない。
- 志望動機では料理そのものへのやる気や技術力は強調しない。
- 全くの未経験でも調理師免許があれば採用の可能性はある。
