飲食転職

HSPにとって料理は向いている?飲食店など仕事にするのは無理?

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)にとって料理というのは、どうにも厄介な物事です。

というのは料理にはHSPにとって得意なことと不得意なことが混在しているから。実際「HSP 適職」などで検索をかけてみたところ料理人は向き不向きどちらにも登場しないことが多かったです。

この記事ではこんなことをまとめています。

  • HSPは料理が向いているか
  • HSPは料理人になれるか
  • HSPが料理を仕事にするとしたらどうすればいいのか
  • HSPに向いている店や料理ジャンル

※私は15年以上調理師をやってきて今は趣味や家事として料理をしています。そして私は完全にHSPに当てはまります(診断などするとほぼ満点クラスで高い値が出ます)。子供の頃から吃音やら集団生活拒否やらうつやら経験していますし、仕事や外出ではものすごく疲れます。

この記事を読んでいただくことで、HSPの方が料理とどう向き合っていけばいいのか何かのヒントにしていただければと思います。

料理適性は高いけど職業適性は低い

はじめにHSPは料理が向いているかという点ですが、まず私の思っている結論から書きます。

ずばりHSPにとって料理は向いている、でも職業としては向いていないです。

どういうことかというと、HSPの性質は料理に求められる才能とイコールだけれども、厨房やキッチンで求められる能力とは相いれないから。

料理はとても繊細さが必要です。味覚を含めた五感の駆使、手先の器用さ、見た目の美しさへのこだわり、創造性などなど。もちろんすべての料理でこれらが必要なわけではないけれどもHSPに有利な性質なのは確かです。

ただし厨房という環境が問題です。戦場のような環境が決定的に向いていません。また現実には上記のように料理に本質的に求められる性質が生かせる機会は少ないですし、それよりもスピードや正確性などのほうが重要視されます。

アーティスト的な意味で料理をやるにはとても適性が高いけれども、作業者としてはとても不向きということ。飲食チェーンなどは弱点ばかりが浮き彫りになるため決定的に向いていません。

料理そのもの、料理人、それぞれの適性についてもう少し具体的に見ていきましょう。

HSPが料理に向いている点

まずは料理の本質を考えてみましょう。これがそのままHSPにとって適性になります。多くは私自身が自分のアドバンテージと感じてきた部分です。

※すべてのHSPに当てはまるわけではないです。あくまでその傾向が強いというお話。

味覚を含めた五感の鋭敏さ

料理を作る上で味覚はもちろん嗅覚などは重要です。HSPは五感が鋭いと言われています。

繊細さ・丁寧さ

料理では小さなことが大きな差を生むということがよくあります。些細な違いに気づきやすいHSPは料理に向いています。また丁寧さは料理の完成度を高めます。

感覚で物を捉える

料理は「理」という字がついてはいますが、実際には理屈より感覚やイメージが役に立つことが多いです。HSPはイメージで物を捉える傾向があります。

創造性

食べる人に合わせてどう食材を活かすかというのは高い創造性が必要です。HSPはクリエイティブさ、芸術性が高いです

アイデアをどう実現するかという話はよく料理に例えられますよね。

 

HSPが料理人に向かない点

では次に仕事として料理をする場合を考えてみましょう。以下料理人に求められることです。

スピード勝負

厨房で最も求められるのはスピードです。ピーク時は戦争状態ですし、一分一秒を争うような状態です。

実際一流店を除く多くの飲食店では丁寧さよりもスピードが重視・評価されることが圧倒的に多いです(もっとも丁寧さとスピードはトレードオフというわけではなく、一流の料理人になるほど完成度に加えてスピードもはやくなりますが)。

HSPはスピード勝負は苦手です。

プロと趣味で料理をやっている人の一番の違いはこのスピード。

私の場合は個人プレーのスピードには自信がありました。一つ一つの動きについては細かく分析したりしていたので。ただ周りとの連携や対応をしながらだと途端に厳しくなります。

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マルチタスクが苦手

家庭の料理でも3~4品作る場合はマルチタスク(同時並行作業)なので、シングルタスクが向いているHSPにとっては慣れるまで人一倍大変です。

プロの現場は料理をしながら他のスタッフとの連携や接客なども加わるので、さらにマルチタスクになります。

ここは私自身一番苦労した点です。学校の調理実習でも混乱状態でしたし、どんな現場でもマルチタスクが一番の課題でした。

レストランには「ディシャップ」という場所(ポジション)があります。キッチンから出てくる料理をホール係へ受け渡しするところです。

パスタ店にいた時ここを担う人はものすごくマルチタスク(オーダーの伝達、味の確認、盛付の仕上げ、スタッフへの指示出し、クレーム対応などなど)だったので、「あ、これは一生できるようにならないかも…」とすら感じました。

 

厨房環境が向かない

刺激を受けやすいHSPにとって厨房は精神的にも身体的にもきつい環境です。

まずは人間関係。上下関係に加えて、もともと感情的で怒鳴るタイプも多いです。温厚な人でも忙しさからきつい言い方になることも少なくありません。

また高温多湿という環境。夏はかなり応えます。冬も水や氷水を使いますし足も冷えます。

視野やポジションの問題もあります。私は「後ろに目がないとダメ」とよく言われましたがそういうのが苦手でした。私もそうですが自分一人の空間があった方が力を発揮できるタイプのHSPの場合、厨房という環境はかなり不利です。

もともと普通よりも包丁や火などを怖いと感じる人も多いかもしれません。プロの現場ではこれらの危険度が家庭のキッチンより大幅に上がります。

長時間労働、休憩が取れないのもHSPにとって人一倍きついです。

私の場合は偏頭痛持ちなので夏は毎日のように頭痛と戦っていました。また空腹に弱いので、キッチンにいるのにふらふらするという皮肉を味わうはめに。

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対応力や妥協が必要

現場では食材が切れたり、特別な注文が入ったりなど柔軟な対応力が求められることがあります。それ単体ではHSPは苦手とは限りませんが、一分一秒という忙しい中でそれらに対応していくのは負担が大きくなります。

またクレームなども重なると人一倍ダメージが蓄積しやすいです。

また完成度を求めようとしても食材原価やスタッフの不足など問題が多く、妥協が求められることの方が多いです。そう簡単にHSPとしての力を発揮する舞台は整いません

 

HSP×料理について、なんとも言えない点

これは余談ですが、HSPと料理の相性について思うところです。以下は相性がいいとも悪いとも言えない点かなと思います。

深く考える

HSPは徹底的に深く考えます。なので料理やレシピの完成度は普通以上に繊細になる可能性があります。独創的な案も生みだすかもしれません。

ですが実際には考える以上にやってみないとわからない、とにかく手を動かしてやってみた方がはやいというケースが多いです。たまたま上手く行ったというパターンはHSPと真逆のタイプが得意です。

個人的には深く考えることは料理について一長一短だと思います。

人の反応に敏感

人に敏感なHSPの性質上、食べる人の反応というのは気になるところです。

反応や評価を受けて改善する姿勢が強ければ、自己満足ではなく確かな実力アップになります。

でも上手くなるまでは失敗が多いのが料理なので、あまり反応に敏感過ぎると挫折しやすいかもしれません。

したがってこの特徴も一長一短かなと思います。

非HSPでも自分の料理への反応はかなり気になるものです。ダイレクトに人の口に入るものですし、日によって微妙に変化したりしますから。

 

けっきょくHSPは料理人になれる?

けっきょくHSPは料理人に向いているのかいないのか、私の答えはこうです。最初は向いていないけれど、ある一定のラインを超えると向いている!

HSPははじめは料理という作業やキッチンという環境に適応するのに時間がかかります。ですが、そこを乗り越えるとHSPの本来の力を発揮できる体制が整います。

非HSPとは成長曲線が異なるのです。

この逆転現象が起き始める条件は、段取りや並行作業が無意識にできるくらいまでいくこと。おそらく最速でも5年~くらいでしょうか。

年数がたつとマルチタスクが苦手なことやスピード仕事は不利にならなくなります。単純に慣れたらできるようになるというのもありますし、例えば包丁で刻みモノをするといったことは目をつぶってでもできます。無意識に手が動き、段取りも頭の中で瞬時にできるのでマルチタスク状態でもシングルタスク並にメイン部分に集中できます。ここまでくればHSP的なクリエイティブさが活きてくると思います。

結局のところその人の繊細さの度合いがどのくらいか、適応可能な環境の限界値を超えないか、などで総合的に決まるはずなので一概には言えません。

なお料理というのは学校に行くよりも叩き上げの方がはやいです。ただHSPの場合は料理についてある程度土台があるかどうかは仕事始めの時期を乗り切れるかという点で重要な気がします。

私の場合は学校で3年間料理を学びました。学校の調理実習では毎回ついていくのがやっとでしたが、たぶんそのおかげでなんとか仕事にしてこれた気がします。おそらくその下地がなく料理の世界にいきなり行ったら適応できずに一週間と持たなかったと思います。

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料理の世界、飲食業界は依然として気合や根性的な風土があります。ですのでHSPにとって学び方、働き方、仕事先選びは普通の人以上に重要でしょう。ここからはこの点をみていきます。

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HSPに向いている料理の仕事

HSPは趣味で料理を楽しむほうがいいと思いますが、どうしても仕事にしたい場合はこんなのがいいと思います。

専門店で一流を目指す

HSPは専門性を究めるタイプなのでどうせやるなら一流の世界の方がいいと思います。

ただし先述の成長曲線でいうと極端になることが予想されます。

一流店ほど長時間拘束や厳しい上下関係などがあるので、修行中は最も厳しい道になります。ですが完成度の高さや独創性を出せるポジションまで行けば一気に才能が開花する可能性があります。

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料理研究家

料理研究家は創造性、独創性が求められるので向いています。

私は料理研究家という職業についてよく知りませんが、レシピづくりや出版、撮影、動画編集などはHSPが最も好むタイプの作業です。

伝統的な店で料理人を目指す場合、決まったパターンを継承していくので単調な作業も多くなり独創的な考えも求められません。HSPはこれらが苦手です。料理研究家ならば常に新しいことをやり続けるのでこの心配もありません。

料理研究家はおそらく最もHSPに向いている選択肢の一つかもしれません。ただし職業とするには最も難易度が高いです。

給食系

クリエイティブさはありませんが、仕事のやり方という点では給食系は向いていると思います。

前日にすべての予定を立てられるので予想外の展開で混乱するケースが極めて少ないです。また特に学校給食などは個人単位で見ればシングルタスクです。

病院や介護など3食作る(刻み食やペースト食、アレルギー対応などもある)場合はマルチタスクとも言えますが、基本的にはすべて献立通りです。飲食店のように急なピークで混乱することもありません。

また接客や売上などを気にする必要がないので精神的にも負担が少ないです。

ただし大量調理は労働環境という点では一番向いていないです。刺激に弱いHSPにとって高温多湿は最大のネックになります。

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ごちゃごちゃしていない飲食店

飲食店は全般的にHSPにとって不向きです。特に回転率勝負の大きな箱や複数ポジションを同時にこなすのは苦手です。

なので以下のような特徴から店を選ぶといいでしょう。

  • 対面ではない、あるいはごく小規模のカウンター席
  • 馴染み客が多い
  • スタッフの入れ替わりが少ない
  • 掛け声とかがない落ち着いた雰囲気
  • コース料理が中心(先が読みやすい)
  • キッチンとホールが分かれている(一つずつ慣れた方がいい)
居酒屋やファミレスチェーンよりも個人経営の方がいいかもしれません。

私の場合最初の会席料理店(割烹)が、コース料理中心の個人経営で厨房と客室が完全分離、接客も着物という落ち着いた雰囲気だったのがまだ幸いでした。(厨房では親方が怒鳴ったり鍋投げたりしてましたけど)

中華やイタリアンより和食やパティシエ

HSPはイタリアンや中華の厨房はあまり向きません。なぜならスピードとマルチタスクが重要だからです。

もちろんどのジャンルもスピードとマルチタスクが必要なのですが、イタリアンや中華はこれらが料理のキモになります。特に炒め物系の「火」というのは待ってくれません。かといってチームプレイの仕事なので自分のペースに落とすことも許されません。

一方例えば和食では煮物や焼き物など、火とじっくり向き合う系が多いです。マルチタスクにしてもフライパンや中華鍋ほどは追われません。また仕込みの時間にあらかじめ作るものが多いので、お客様に提供する直前では例えば焼き・揚げと盛付けを並行作業する程度で済みます。

また和食やお菓子は手先の器用さや繊細な飾り付けなどが活きるので向いています。

私の場合パスタ店でバイトしていた時が一番馴染めませんでした。コンロ5つを使用して並行的にパスタを作っていくのですがぜんぜん進歩しませんでした。

一方ついていくのがやっとだった調理学校時代、唯一最初から人より上手かったのが和菓子とか手先で形を整える系でした。

なおどんなジャンルを選んでも慣れたらできるようになるので最初のハードルが高いと感じるかどうかという話です。もちろんHSPでも中華やイタリアンを極めることは可能です。

HSPに向いている職業

最後にHSPに向いている職業について。一般的には下記の3分野が多いです。

  1. 自然と向き合う系(動物園の飼育係、花屋など)
  2. 人とじっくり関わる系(マッサージ師、カウンセラーなど)
  3. パソコンと向き合う系(システムエンジニア、デザイナー、ライターなど)

私の場合は③のWebデザイナーに転職したので、参考までにその話を書いておきます。

HSPの私がWebデザイナーに転職した話

調理師を15年以上やった後Webデザイナー職に転職しましたが、こちらの方がずいぶん適職と感じています。

おそらくクリエイティブさという点では本質的に近いです。料理もデザインも。

ただ料理人や調理師の場合はよほどのポジションに上がらない限り、レシピを守る方が重視されます。そうでない場合でもとにかくスピードと要領の良さなどが重視されます。頭の使い方としては段取りなど頭の体操をしている感じです(だからボケ防止にいいと言われるのでしょう)。

一方デザイナーは末端の作業者でも単なるコピーのような仕事はあまりないので、常にクリエイティブさは必要です。HSPの私はこの点でWeb制作の方が向いているなと感じています。

 

ただやはり一番大きな違いは仕事のスタイルや環境です。

Webサイトを制作して納品するという仕事なので最終的な納期は厳密ですが、そこまでのスケジュールは日・週などの単位になります。厨房のように一分一秒という単位ではまず動きません。営業職や事務職に比べてもかなり時間の使い方は自由です。

また当たり前ですが環境も圧倒的にオフィスの方が快適です。ずっと厨房にいたので転職してはじめて気づきましたが、高温多湿の環境で立ちっぱなしの体力勝負っていうのは本当にきつかったんだなと。

まとめると、HSPに向いている職業でWebデザイナーはよく出てきますが本当にそうだなと感じています。ただし私の場合はWebディレクター(HSPに向かない職業としてよく出てくる)の役割も半分やっているのでそこはつらいです。やはりお客さんとの折衝は一番ストレスですし、つい無理を聞いてしまおうとするので...

なんとなくですが、料理に興味を持つタイプはデザインへの興味も浅くない気がします…ということで参考までに自身の話を書いてみました。

まとめ

  • HSPは料理の本質そのものには向いているが、実務的にはマルチタスクなど苦手が多い。
  • 仕事にすることについては主に環境が不向きという理由でおすすめはできない。
  • HSPとしての特性を発揮するまでがたいへんだが、乗り越えれば究められるかも。
  • 料理研究家、給食系、個人経営店、和食やお菓子系などがおすすめ。

HSPは料理を楽しむ力に恵まれていると思います。仕事にするにしてもしないにしてもぜひじっくり付き合って人生を豊かにしてください。

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