飲食業をやっていると辞めたくなることが多々あると思います。私も15年間飲食業界内で何度も転職をし異業種へ転職しました。
自分の経験を踏まえて飲食を辞めたくなる理由をまとめてみました。
飲食を辞めたくなる理由6つ
休みの少なさ
もしあなたが休み少ないなあ…と思っていたらそれは贅沢でもなんでもなくまっとうな望みです。飲食業の休みの少なさは他業種と比べてトップクラスです。
どこも大抵月8ってそもそも規定が少なすぎです。しかも実際に取れていない社員も本当に多いですよね。というか月8取ろうとすると出勤日の労働時間がさらに長くなりますよね。そうやって休みを「買う」ために出勤日に「支払い」をしないとダメな状態だったり。もしあなたが月4日や月6日で何年も続けていたらその精神力を本当に尊敬します。
週休二日?有給?なにそれおいしいの?っていう状態のところがあまりにも多いですよね。連休というだけで歓喜するというのは客観的に見て本当に過酷です。
しかも店長、マネージャーと上にいくほど休みを取る人が減るという絶望しか感じない業界体質。毎月本社で絞られるだけの会議、意味のない研修で休みがさらに減ります。実際自分や周りを見ても寝てるか仕事しているかしかないなと感じます。また年末年始など世間のカレンダーと逆行するように忙しくなる時期は悲しくなります。
【この赤枠の中は私の話なので、以下めんどうなら読み飛ばしてください】
出勤してない日がほぼない=プライベートが限りなく0に近いという人もたくさん見てきました。
だれも読みたくないかもしれませんが以下書きたいので書きます。私が過去15年の間で見てきた衝撃エピソードランキングワースト3!
- 副責任者が休日出勤中に倒れて救急車で運ばれる→記憶喪失(見舞っても誰だか覚えていない)
- 店長が過労とストレスで顔面痙攣(顔面がゆがんだままひきつる)。それでも休まずマスクで隠して仕事。人の顔が歪むって見ていて本当に恐ろしかったです。
- 休んでない自慢大会 社員「60日休んでないっす」マネージャー「はあ?おれ4か月休んでねえよ」(まあこれはあるあるだとは思いますがなぜか張り合うんですよね、しかもハイレベル)
労働時間の長さ
労働時間の長さも他業種と比べてトップクラスです。毎日長すぎて長すぎて疲れますよね。その日の勤務が後半になってきて、まあ当然のように帰れないと毎日のように辞めたくなります。
飲食で8時間勤務のところって実際どれくらい存在するんでしょうか。私は学校給食以外では知りません。どこも最低二桁時間以上でした。
12時間なら普通、10時間だと短め、14時間以上でも異常に長いとは言えないっていう異常さがあります。
基本的に見込残業が数十時間ついています。そして普通にそれを満たすか、大幅オーバーしてサービス残業になります。しかも深夜や朝方になることもあるので、その不規則さから身体への負担も大きいです。
ケータリング業界にいた時はみなし残業80時間でした。そもそもみなし80時間って多過ぎですが、マネージャーは社員が残業最低80時間するのが基本という計算をしていました。でも面接では「実際にはそこまでいきませんよ」っていう話だったんですけど。
実態は普通に月一しか休まない社員や月400時間オーバーが数人いたりで散々でした。半年ちょっとで辞めました。
唯一の良かったことは退職した後、残業時間の関係で会社都合(すぐに失業保険が受け取れる)になったことくらいです。※残業が多い会社にいるなら会社都合になる条件は調べておきましょう!そして記録を自分でとっておきましょう!

無理な目標(「自己責任」にされる理不尽)
飲食で一番理不尽だなと思うのは本社からの営業目標・売上目標が無理ということではないでしょうか。先に挙げた休みの少なさも労働時間の長さも結局これが原因です。
月の売上目標を日ごとに振り分けても毎日必ず目標に届かず、FL比率は現実との乖離がありすぎて現実味がありません。ちょっと頑張れば届きそうな目標ならいいですが、どう考えても無理だとモチベーションは逆にはっきりと低下します。
いろいろと店舗単位の努力ではどうしようもないレベルなことが多いです。仮に達成できたとしたら社員の超時間労働が必須です。こういったことが暗黙の了解になっているにも関わらず、休みが取れない、労働時間が異常に長いということを「自己責任」にされます。つまり良い体制を作れないのはすべて現場の自分たちの責任であるかのように言われます。
ただでさえ安い給料なのに、お中元やおせちの自爆営業もありました。これだけなら他業界でもあるのでまだいいとして…店舗で達成しないと全員ボーナスなしになるという脅しもありました。これはきっと違法な気がする。
他に最悪だったのは店舗で盗難事件が起こり、金庫の中から現金が無くなったときのことです。本社からの指示は店舗で補填しろと。結果として社員から一定額ずつ集めるというなぞの処置。入ったばかりの新入社員の子からも集めて。他にも店舗で所有する車の修理をするためにやはり社員から徴収されました。本社に予算がないからと。この二つは今考えても腹立ちます。理不尽の極みです。
圧倒的人手不足!募集をかけても本当に来ない
数年前から飲食業界の人手不足は本当~~に深刻ですよね。元業界の中の人だったから思うんですけど、一般の会社の言う人手不足って別に人選んでいるだけでそんなでもないですから。
飲食はもう募集かけても本当に人来ません。社員もバイトも。問い合わせすら一件も来ないっていうのが当たり前です。その結果、先述の休めない、労働時間が長い、がさらに加速します。
昔なら最後の片付けとかバイトや新人社員がやっていた仕事を管理職がやっています。その結果社員も疲れ果てます。戦略を考えたり売り上げを伸ばすための施策を打ったりといった社員の大事な仕事は当然できません。悪夢のような負のスパイラルです。
上記のような状態がどこでも起こっています。そのため優秀な店長や社員で戦略を立てる側に回れば結果を出せるはずなのに、雑用に追われて疲れ果てるだけになります。
人手不足過ぎです。
私は5年前くらいから現場で「人手不足」「人が来ない」っていうキーワードを何十回も耳にしてきましたし、自分も発してきました。社員同士の会話が叫びだけになってるときがありました。「終わらん!」→「人手不足!!」「休めん!」→「人来ない!!」
最高で18~20時間勤務で回した週とかありました。寝る時間(=家で倒れる時間)が2~3時間。先輩と別れる時に「じゃあまた後で」。発狂しそう、ぶっ倒れそうっていうのはこういうことをいうのかと。バイトが数人辞めてしまって募集かけても本当に一件も応募すらありませんでした。2016年くらいの話です。2000年代ならまだそこまで人がいないということはなかったです。
この会社の後、思い切って飲食業界からWeb業界にうつりました。

年収の低さ
平成30年賃金構造基本統計調査によると、産業別にみた賃金で「宿泊業,飲食サービス業」は男性が323.4万円、女性が224.2万円となっています。これは年齢別でピーク時の数字になります(男性50~54歳、女性35~39歳)。残念ながら他の産業と比べると大差で低いという結果になっています。
これはサービス残業が多いことも原因になっています。時給換算するとアルバイトより安くなってしまったということも少なくありません。
勤続年数が長くなってもそれほど昇給はないので、他業種と比べると30~40代で差がついてきます。経営幹部への道があればいいですが、現場からではその道がないような企業も多いです。
私がいたある会社ではタイムカードは上司に勝手に切られてました。会社の仕組み上は一定以上の残業になると残業代が支給されるのでそれが発生しないように。これが当たり前に行われているのが飲食業界の怖いところです。

人間関係
飲食業は人間関係が濃いのでトラブルも多く、それが原因で辞める人が多いです。
例えば、パワハラのような厳しい指導、厨房VSホールの構図、シフトなどの不公平感、クセの強い人が多い、恋愛関係などです。
私が飲食店や厨房で見てきたこと、経験したこと
- 露骨に好き嫌いを出す上司・店長、不公平な扱い
- ベテランパート・バイトによるいじめ
- 追い越されることを恐れた先輩が教えない、むしろ邪魔してくる
- 店長はたいていバイトに手を出している、職場内で大抵誰かしら不倫している
飲食業の人間関係について詳しくはこの記事でまとめています。

飲食経験者におすすめの転職先
当然業界内転職が一番有力
この人手不足の実情は業界内で転職するチャンスです。売り手市場なので飲食経験者なら選び放題といっても過言ではありません。
私も数年前から何度も転職していますが、転職歴だらけであまり技術がない私でも応募すればどこでもすぐ合格くれました。「明日から来て」と言われることが多いです。これはある意味ブラックの証拠ですが、案の定すぐに辞めるのですが、それでもすぐに他で採用されます。
働き方改革もありますし今はそれほどひどい状況はなくなってきました。社員の待遇を本気で考えないと店舗の運営自体がストップしかねないという危機感をどこも持っています。
飲食業界内での転職を考えているなら飲食業界専門エージェントのitkがおすすめです。業界のリアルタイムな情報や企業の詳しい状況をキャリアアドバイザーが教えてくれます。自分の市場価値、年収相場なども把握できるのでそもそも転職すべきかどうかという相談もできます。

さて、転職先を考える時つい職種だけで考えがちですが業界という観点からも検討してみることをおすすめします。職種で考えるより業界で考えた方が将来性が見えてきます。
一番需要があって高収入な業界はどこ?
もしあなたが飲食業界が好きというわけはないなら、シンプルに一番需要があって収入の伸びが期待できる業界を検討してみましょう。
客観的な視点から見ていきます。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」というのがあります。
この中の従業員が「不足」している上位10業種で、非正社員でみると「飲食店」は78.3%(1位)ですが、正社員では「情報サービス」が75.3%で1位です。つまり飲食店で「募集かけてもがバイト来ない...」というのと同じくらいの感覚でIT企業では「正社員がほしい」と思っているのです。実際システム開発などでは人手不足で受注ができないという実態もあり、今後運営が続けられるか心配という危機感を持っている企業も多いのです。
飲食店の正社員をしていると、パート・バイト不足でそのしわ寄せをダイレクトに受けます。一方IT企業だと正社員が足りないので、飲食業界の非正社員のように貴重な戦力として迎えられます。
ですがIT企業の開発や制作もブラックとして知られているのでそれが心配な人もいるかもしれません。私自身飲食業界からIT業界へ行きましたが、繁忙期の残業などはやむを得ず多くの企業で長時間労働は事実です。ですが飲食と大きく違うのは基本的に残業代が出るということです。飲食ではどんなに残業しても1円にもならないことと比べるとぜんぜんモチベーションが違います。
さらに技術を身につけると年収1000万以上稼ぐ人はごまんといます。実際優秀な新卒には1000万出すという世界です。技術を身につけた人材になるとフリーで仕事を選ぶことができます。またリモートワークつまり出社せずに自宅のPCで仕事をしていいよというスタイルの会社も多いです。この辺りも飲食業との大きな違いです。リスクを背負って独立しなくても、自由に仕事を選び大きく稼げます。
次におすすめな職種です
飲食経験で身につく対人関係スキルを活かせる仕事、収入的に伸びが期待できる仕事、転職が決まりやすい仕事という点から見てみましょう。
営業職
飲食経験者の強みであるコミュニケーション能力がダイレクトに生かしやすいです。また店長経験者などは数値管理の実務経験を生かすこともできます。実績が個人の給与に反映されやすいのでやりがいがあります。
事務職
事務職は実は対人関係スキルが重要なポジションです。電話応対、訪問客の対応など飲食経験を生かすことができます。
PCスキルもそれほど専門的なものを求められません。店舗管理でExcelなどを扱っていたというのも経験としてアピールできます。収入的にはあまり期待できませんが残業が少ないのでライフワークバランスに優れています。
Webディレクター職
引き続き伸びを見せているWeb業界のディレクターはおすすめです。
開発や制作の進行管理(顧客の要望整理・スケジュール管理など)をするポジションです。社内外の調整役なので店長などマネジメント経験が豊富な人に向いています。給与も高めですし、Webやプログラムの専門知識がなくても就職することができます。
ドライバー職
未経験でも採用されやすい職の一つです。きついと言われますが高収入が魅力です。また一人で過ごす時間が多いので対人関係に疲れたという人にはいいでしょう。
まとめ
飲食を辞めたくなる理由6つ
- 休みの少なさ
- 労働時間の長さ
- 無理な目標(「自己責任」にされる理不尽)
- 圧倒的人手不足!募集をかけても本当に来ない
- 年収の低さ
- 人間関係
飲食経験者におすすめの職種
- 営業職
- 事務職
- Webディレクター職
- ドライバー職