学校給食調理員をしていて毎月感じてしまうことと言えば、残念ながら「給料が低い」ことではないでしょうか。この記事では学校給食調理員(直営ではなく委託)の給料はどのくらい低いのか、またその原因についてまとめました。
調理員の年収アップ方法については下記記事を参考にしてください。
絶対的な数字で言えば「低い!」
私の場合1社目は額面で16万円台後半~でした。ボーナスは年で1か月分とかなので、年収200万くらいです(首都圏)。
これが普通くらいで地方を中心にもっと安いこともあります。都心でも未経験で18万~とかなら高めなくらいです(※2010年頃の話なので、今はもう少し上がっているかも)。
全職業と比べてもはっきりと低い、かなり低いです。生活に支障が出るレベルです。
責任者の手当ても大抵以下くらいです(会社によってもけっこう差がある)。
- チーフ…3~4万
- サブチーフ…1~2万
チーフは現場の最高責任者のわりに安いと感じていました。ベースが高ければいいですが、ベースが低いところにこれがのっても額面で20万ちょっとだからです。
ただサブチーフについてはおいしい場合もある気がします。いざという時はトップに立つ二番手ですが、シフト制ではない学校給食ではチーフの代わりをやることはほぼないからです。
調理師平均と比べてみる
ただし上記は世間一般と比べた場合であってそもそも調理師の平均自体が低いのです。全体では340万程度、女性では275万程度になります。
平成30年賃金構造基本統計調査によると、産業別にみた賃金で「宿泊業,飲食サービス業」は男性が323.4万円、女性が224.2万円となっています。
残念ながら業界を基準に考えると給食調理員の給与が特別低すぎるとまでは言えません。
ただ委託の給食調理員の給与が問題なのは直営(公務員の調理員)と比較した場合の差が依然として大きすぎるからです。同一の職務でありながらの格差です。
特に”給与が低い”と感じる瞬間は~人手不足!
普段は”給料安いけどまあこんなものかな”と感じている人も、特に給与が低いと感じてしまう時があります。
それは人手不足になったとき。私にも経験がありますが、離職による欠員を無理やり埋め合わせている状態が続くと「こんな低い給料でやってられるか!」という気持ちが一気に押し寄せます。
サービスの早出・残業、休憩取らないという状況。それが当たり前に思われている(会社やマネージャーが申し訳ないと思っていない)。この瞬間、給与の安さという不満が普段の何倍にもなって押し寄せます。
私も900食強の小学校を社員3人で回していた時期がありました。もともとは4人でした。それが長く続いたのでばかばかしくなってしまいました。早出したり、休憩も取らずに回していたわけですが、本社やマネージャーが「なんだ、やれてるじゃないか」という感じだったので不満が爆発して転職(他の学校給食会社に)しました。
またもともと無理めな体制になっていることもあります。全員がベテランでないと時間内にできないような人員配置の場合です。こういった現場で一度離職者が重なり始めると、新人が入ってきても教育できない、時間内に終わらないなどの悪循環が止まりません。
私がやっていた10年前くらいの学校給食業界は人手不足はまだそこまでではありませんでした。でも今は厳しくなっているはずですし今後はもっと深刻になることが予想されます。ただ本当に深刻化しているので逆にホワイトな職場環境を作って人材確保に努める企業が増えてきたのも事実です。ブラックな状態が続いている会社・現場にいる人は、積極的に動くこともどんどん視野に入れた方がいい時代かもしれません。
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仕事の「難易度」と比べて低いのか
あくまで個人的主観ですが業務の難易度から考えるなら学校給食調理員の給与はわりと妥当だと思います。学校給食は私がやってきた調理系の中で最も給与が低いですが最も難易度が低い仕事でした。これは他の飲食から移ってきた人たちの口からもたびたび聞きました。特にホテルや専門店で修行した人にとっては簡単な仕事という認識になります。
ですがこの簡単というのは技術面の話だけです。残業がないとはいえ体力的にはきつい部類に入ります。夏などは特に体力面ではもう少しだけ割がよくなってもいいかなとは思います(実際主に公務員がやっていた時代は特殊勤務手当で給与が高かったわけですし)。でも実際調理業界では、体力的きつさは給与面で考慮されることはないので仕方なさそうです。また体力面でも残業の少なさ、休日の多さなど一般の料理人よりも楽な点もあります。
衛生やアレルギー対応など責任面も収入の形で評価してほしいと感じます。ただこちらはある意味チーフが代表して責任を負っているようなものなので、チーフ手当てという形で納得するしかなさそうです。またルール重視、つまり自分で考える・工夫するなどの余地がない仕事です。一般に料理人が収入を伸ばしていこうとしたらここが一番大事なので給料があまり上がらないのも仕方ありません。
給与が低い理由をもう少し
技術的な難易度が低め、という以外に給与水準が上がらない理由はなんでしょうか。
1つは働き方という点でメリットが多いからとも言えます。残業なし、毎日安定した仕事量、土日祝休みなどです。他の飲食業からは羨ましがられる条件です。なので今の水準でもけっこう人員確保できてしまいます。
ちなみに私が学校給食を選んだのは、その前の鮮魚加工の仕事で身体を壊してしまったからでした。早朝というより深夜と呼ぶべき時間から開始で、長時間でした。規則正しい生活で身体を整えることを優先する必要がありました。
もう1つは業界の仕組みです。他の調理・飲食業なら業績(売上)が伸びれば給料に反映できますが、給食はあらかじめ一定の額で自治体から受注しているからです。大抵ギリギリの額で入札するので調理員の給料はそうそう上げられません。逆に人件費を削ることが主な利益を増やす方法になっています。ぎりぎり辞めない程度の額にしておくのが経営的に正解だという悲しい実情です。
まとめー給料が上がらない理由
- 技術的難易度が低い
- 休日や労働時間などメリットも多いので人が集まる
- 受託という業界の仕組み上、人件費は上げられない
給与を上げるには
給食業界は残念ながら業界全体で給与水準が低く「がんばったら上がる」ということはありません。
ですが、給料を上げる方法がないわけではないので以下の記事を参考にしてみてください。
収入面の頭打ちに悩んでいるなら学校給食の経験を評価してもらえる転職先を探すのもおすすめです。以下の記事でも書いていますが、セントラルキッチン系や産業給食系、介護食系などは需要が高く、学校給食より収入が増えることがほとんどです。
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