調理師養成学校で学ぶこと、行って良かったこと全部まとめました

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調理師養成まとめ。学んだこと、良かったこと。白衣とエプロン姿で厨房で料理する人。

将来を考えて調理学校に行くべきか迷っている方も多いと思います。

この記事では私が調理師養成の学校で学んだことをまとめました。読んでいただくことでこんなことが分かります。

  • 調理学校のイメージと実際
  • 座学ではどんな科目をやるのか
  • 調理実習はどのようなものか
  • 行ってよかったこと

私の場合は専門学校ではなく高校の調理科という珍しいタイプでした。でも卒業時に免許を取得できるカリキュラムであれば大方学習内容は同じなので参考になるかと思います。

目次

まずはイメージから~よくある誤解修正

  • ひたすら実習のイメージもあるかもしれませんが座学も多いです。ちなみに座学はあまりやる気がない人が多かったです。
  • 調理師という資格は衛生や栄養などが多く含まれるので、思っているより覚えることが多いなと感じるかもしれません。とはいえそれほど難しい内容はないので大丈夫です。
  • やる気まんまんな生徒は少数です。将来絶対料理人になる、みたいな人は少ない。なので環境にそれほど期待はできませんが、プレッシャーを感じる必要もありません。調理学校のHPやパンフレットを見ると生徒がハイレベルそうに見えますが、見た目だけなので大丈夫。

カリキュラムや学校の雰囲気については各専門学校ごとに特色があるのでよく調べましょう。

学ぶ科目と役立っていること

以下私が学んだ科目(教科書)一覧です。

  1. 衛生法規・社会…調理師法、食品衛生法、労働基準法など
  2. 公衆衛生学…病原微生物や感染症、職業病など
  3. 栄養学…タンパク質の化学、代謝など仕組み。母子や高齢者の栄養や病気との関連など。
  4. 食品学…植物・動物性食品をはじめ調味料の製造工程、加工や貯蔵、歴史など。
  5. 食品衛生学…食中毒、寄生虫、添加物、腐敗など。
  6. 調理理論…各料理の特徴、基本技術、調理器具、調理科学、献立作成など
  7. 調理実習…包丁などの基本。日本料理、西洋(おもにフランス)料理、中国料理、集団調理など。
  8. 食文化概論…日本と世界の食文化。

これを見るとわかるように、あくまで科目の一つとして「調理実習」を行ないます。とはいえ実習は全体の半分くらいの時間を占めたりしますが。

以下もう少し解説です。

調理師としてではなく、普通に社会で生きていく上で役立っていることの方が多いです。

1.2.8.(法律や文化)はほとんどざっくりとしかやりませんでした。個人的には感染症の基礎をさわりだけでも学べたのがよかったです。定期的にパンデミックのニュースがあるので。

3.の栄養学は個人的に一番学んでよかったことです。今トレーニングをしているので、やっぱり基礎知識から栄養を考えられるのはいいです。必須アミノ酸9種類全部覚えたなあとか、体内の消化吸収の仕組みとかイメージができるので最新知識を聞いたときに入り方がスムーズです。在学中は自分が食べたものを記録・分類したりといったこともしました。これによって感覚的にバランスの良い食事や適切な摂取量が身についたと思います。

4.食品学と5.食品衛生学は調理師というより普通に生きていく上でも有用な知識です。学習後は大方忘れるわけですが、主婦・主夫として使う分にはちょうど良いくらいの基礎知識が残ります。食中毒の防ぎ方や添加物の注意点などが今でも役立っています。また食品加工という授業では何十種類ものジャムやソーセージ、豆腐や納豆を作ったのが楽しかったです。学校でも行かない限りほとんど作る機会がないものなので貴重でした。

6.調理理論はかなり根本的なことを体系的に学べたのが良かったです。そもそも「おいしさとは…」「おいしさの要因と評価の仕方」といった根本から始まります。こういうのはおそらく学校に行かないとわざわざ学ばないのでまたとない機会だったんだなと思います。また科学的なこと、例えば米や小麦などが吸水や加熱によってどう変化していくのかといったことも学びます。

7.調理実習は1年次は基礎調理、2年次は日本料理、西洋料理、中国料理、3年次は集団調理という内容でした。ゼリーやケーキなどのお菓子も含まれます。テキストはレシピではなく各料理の要点(例:日本料理なら煮物の要点など)がまとめられています。実習用のレシピは教科書とは別にあります。ですが料理のレパートリーを増やすというより、各料理の基礎技術を習得するために実習をするという視点になります。やはり単なるレシピ集ではなく体系的に学べたというのが大きかったです。

調理実習を含めて各科目で考査(ペーパーテスト)があります。

意外と覚えることがたくさんです。

調理実習の形式とメリット

調理実習は各分野専門の講師がライブ授業をするという形でした。最初に一通り講師が解説しながら作っていくのを生徒が対面で見ます。その後各班4人で同じメニューを作っていきます。先生が回ってくるので直接指導してもらったり質問できたりもします。

以下この形式で学校で学んでよかったなと感じていることです。

1.リアルタイムですべてみられる

料理番組を生で見ているのと近いですが、「(すでに準備しておいて)焼き上がりはこうなります」みたいなことはありません。全部リアルタイムでやります。なので細かい包丁やちょっとした動作、加熱中の様子などもすべて見られるので勉強になります。例えば日本料理では刺身があるときは、つまを作るところ(大根の桂剝き→千切り)も毎回見ることができます。

2.業務用に触れられる

技術的には魚や丸鶏のさばき方、フライパンや中華鍋の扱いなどを学びます。これらは食材や調理器具、火力など設備の関係で家ではできないことが多いです。少しでも業務用に近いものに触れたことがあるかないかというのは、就職後に影響があります。

3.講師がハイレベル

講師は和洋中すべて現役プロでした(メディア出演等で有名な先生もいました)。それぞれ教え方に個性がありましたがレベル的にはもちろん文句なしです。どのみち生徒は現役の第一線のレベルを吸収しきれないのでもったいないくらいでした(逆に今行ってみたいなと思います)。

4.全ジャンルを学べた

他にも和洋中まんべんなく学べたことが大きいです。おそらくいきなり就職すると他のジャンルをほとんど全く知らないということになるので、もったいないかなと思います。時代とともにどんどん世界の料理が融合している気がするからです。

もちろん学校によって、すしや製菓など専門科目を中心にやるコースもあります。最近は新調理技術(真空調理など)といったカリキュラムを取り入れているところもあるみたいですね。

その他カリキュラム

カリキュラムの中には特別なイベント的なものもありました。

実技テスト

各料理実技試験がありました。それほど基準は高くないのですが練習は必要でした。

 ジャンル課題
日本料理桂むき
西洋料理オムレツ
中国料理チンジャオロース

普段の実習は4人1グループでやっているので、個人の実技試験というのはしっかり練習するいい機会でした。

検定試験(の補助)

資格取得サポートに力を入れている学校は多いです。国家資格や料理検定など調理系が中心になりますが、関連分野として例えば色彩検定などを推奨しているところもあります。

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私は高校だったので「文部省認定全国高等学校家庭科食物調理技術検定」(なまえ長い…)というのを受けました。4級と3級を受けましたが、確かきゅうりの輪切り、ハンバーグとかだった気がします。本番の実技試験をイメージして対策用の授業をやってくれたのでいい練習になりました。

郊外授業と現場実習

郊外授業としてテーブルマナーの学習で専門店にコース料理を食べに行くというのがありました。和洋中それぞれ合計3回本格的な料理が食べられました。これはやっているところが多いと思います。

また現場実習もあります。2週間受け入れてくれる専門店等に実習という形で入ります。私は日本料理店でしたが、接客やひたすら切りものをしたりでした。チェーン店のバイトなどとは違うのでこれが一番勉強になったかもしれません。

学校で学んでよかったこと

昭和の雰囲気が残る頃には料理を学校で学ぶということに根強い反対意見があった気がします。料理をやるなら学校に通うより早く現場に出る方がいい、というやつです。少なくとも私が卒業したころにはけっこうありました。

でも個人的には学校に行ってよかったです。お金と時間を投資しただけの価値があったと感じています。

私が調理科に行ってよかったなと思う理由は料理に関わることをまるっと体系的に学べたから。これによってその後の吸収が楽になりましたし、情報が有機的にパッとつながるようになりました。私は今は調理の仕事はしていませんが、だからこそ行って良かったです。料理や食や健康は死ぬまで関わりがあるからです。

生活や健康に役立つから無駄にならない

調理師の勉強って意外と生活に関わることが多いです。添加物、栄養バランス、衛生、感染症など。仕事にしていなくても無駄になることはないです。

この十数年でどんどん新しい見解(調理科学など)やニュースがありましたが、やはりもともとの基礎理論をかじっているとラクです。また基礎があることで、おかしなダイエット情報などに振り回されなくて済みます。

その意味では料理に興味があったら中途で30代、40代から専門学校に行くのもいいと思います。就職が目的でなくてもいいと思いますし、最近はそういう方も少なくないようです。私が受け入れた実習生(職場で定期的に受け入れていた)には40代の方もいましたが、20前後の子よりも一番充実して見えました。また専門的なジャンルでなければ40代50代でも需要があるのが今の飲食業界の状況です。

職人になるとしても

職人になるなら学校に行く期間がムダという意見も根強いと思います。これはこれで間違ってはいません。正直私も職人一本で進んでいたらこう言っていたと思います。

でも時代は変わりました。専門の職人でも教養が求められますし、広い知識がある方が有利です。大卒や専門卒が当たり前の時代に、1~2年の若さにこだわりすぎる必要もありません。またブラック企業も多い余裕のない社会なので、学生という保証された身分で学べるだけ学んでおくという考え方もあります。

でも何よりも一生同じ仕事をするとは限らないということがあります。これからはどんどん一生同じ仕事をする人が減るでしょう。ほとんどロボットが調理する時代がくるとまで言われています。AIやlotの時代に人間にしかできない仕事をする上で、クリエイティブさの基礎になる知識を得ておくに越したことはありません。

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まとめ

調理学校で学べること、得られること

  • 栄養や食材、衛生などに関する知識を得られる(無駄にならない)
  • 専門性の高い調理実習ができる
  • 資格取得、職場体験などの機会が得られる
  • これからの時代、体系的に学んでおいて損はない(と個人的には思う)
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