飲食業界にいる人にとって複数回の転職は当たり前。みんな複数の企業や店舗を渡り歩くことで実力をつけて年収も上げていきます。
ですがブラック企業も多いため、入社したら話が違ったという悲劇も少なくありません。私も飲食業界内でとても多くの転職をしていますが、その理由の多くは求人や面接時と実態が違っていたからです。
この記事では入社する前の段階でブラック企業に気付くためのポイントを紹介しています。といってももちろん完璧に見抜けるわけはないですし入社した後の運も大きいです。ですが危険な臭いのする企業というのは確かにやはりあります。
求人や面接でブラックを見抜く方法
以下のような型に当てはまったら高確率でブラックです。
「アットホーム」型
「アットホームな職場です」は危険。そもそも具体的にアピールできる部分がない企業です。会社も社員も特に頑張っているわけではないので業績も上がりません。ゆるいといえば聞こえは悪くないのですが、それで成り立っているのは社員がダラダラと残業するのが当たり前になっているから。
アットホームというより中途半端なやる気で群れているだけです。このタイプの会社だと社員の多くが仕事以外に特に目標や趣味などがなく、帰れそうなのにみんなが帰らないから帰れないことも多いです。
他にも具体性がなくフワッとした感じで居心地がいいですよアピールは危険です。
ちなみになぜアットホームを目の敵にしているかというと、私が入った会社のうち2社で求人を出すときにこの言葉をチョイスしていたからです。「求人なんて書く?」→「アットホームとかでいいんじゃね?」これが中の人として目撃したやり取りです。確かに雰囲気だけはゆるいので入った直後は気づかないこともありますが、実体はアットホームのアの字もないことがほとんどだと思った方がいいです。
「ポエム」型
上の項と似ていますが、今流行りの言葉で言うと社員や働き方について「ポエム」を書いちゃう企業多いですね。
「社員の働きやすさを第一に考えています。」「作っていきたいと思います。」
「考えています」「思います」は危険です。某大臣の名台詞「自分は何歳になっているんだろうと考えたときに…そこの節目を見届けることが、私はできる可能性のある政治家だと思います」と一緒です。具体的にまったく考えていません。というか具体的な取り組みをしていない、具体化できるところまでいっていない証拠です。
逆に社員の働きやすさのためにこういう取り組みをしています。と具体的な活動を明言している企業は信頼できます。少なくとも具体的な仕組みにしようという体制を持っているからです。
ポエム型企業の特徴として面接時も具体的な話はほとんどでません。今までの経験よりも体力や気持ちを重点的に確認されることも多いです。無駄に「やる気」があるか聞いてきたりします。こういった実態のないやり取りが面接時に発生していたら危険です。
こうタイプは会社のビジョンについて聞くとやたらと大きな話が出たりしますが、勢いだけで進めている印象も受けたりします。その証拠に現在の店舗の運営体制など新入社員が入ってすぐの環境については適当というか漠然としています。

「警告」型
これも上の項と似ています。私が半年で辞めたところと一日で辞めたところでそれぞれ採用時に言われた言葉です。「最初きついかもしれないけど乗り切って。」「若い時の踏ん張りが大事だから。」
話し合いが終わって、では○○日からよろしくお願いいたします。という正式なやり取りの直後です。
幹部もおそらくあまりにも人が続かないので、励まそうとしているのか、心配だから言ってしまったのかわかりませんがポロっと出ました。アレッ?っと違和感を感じたのでよく覚えています。
実際特に労働時間と休みの取れなさがひどかったです。結局採用後に言われた言葉もブラックであるという判断を後押ししてくれたので、すぐに見切りをつけました。こうやって警告をしっかり発してくれる社長や幹部がいたら危険と思っていいです。
採用が決まったときにぽろっと出る言葉に注意
余談ですがバイトの面接を受けた際に「シフトは勝ち取れって言っていますから(がんばっているバイトじゃないとシフト入れないよ、の意)」という店長の言葉を聞いて、他にも違和感満載だったので辞退したことがあります。いやいやバイトにどれだけ求めるのよ、というか百歩譲って頑張っているやつ優先するのはいいとしても、実体は自分が気に入ったやつ使うだけでしょっていう。でもこれ10年以上前なので当時はまだ採用側に主導権があったっていうエピソードでもありますね。

「老害」型
シンプルに社長や幹部の年齢は大事です。私個人としては会社規模などよりも重要な尺度だと思っているくらいです。
社長と幹部が60代以上だとブラック率が急上昇です。この世代は休日返上、長時間労働が当たり前でしたし、それで実際に収入も上がっていた時代の人です。なのでそもそもブラックな状態をブラックだと感じてすらいないことが多いです。
逆に経営者や幹部が30~40代だと比較的社員への意識は高いです。仮にホワイトまでいっていなくても、少なくとも意識をして改革中の可能性が高いです。私のいた会社でも70代の社長はブラックだという自覚がない感じでしたが、40歳くらいの息子(次期社長)は、危機感を持っていて本気で労働環境の改革をしようとしていました。実際どんどん人が辞めて募集かけてもだれも来ない状態になっていましたので。
(ただし40代くらいでも面接時にいかにも体育会系なら危険です。)
【経営層の年齢別傾向】
- 60歳~がんばったら報われる論(バブル、飲食店の伸びなどを経験している層、実際に休日返上長時間労働をして業績や給料を上げてきた、その感覚で語ってくる)
- 50歳前後~仕組みは自分たちで作れ論(今の50代を中心に、経営者の視点で考えろ的な意識だけ高そうな発言も多い)。
- 30歳前後~仕組みは経営側が作るべき。自身が就職氷河期真っ只中だったので基本的に危機感を持っている。時代・現場の限界なども知っている。IT出身者やITベースで考える人も多いので、仕組みは中央でしっかり作り責任は経営にあるという方針。
私はこれまで社長と幹部が年齢高めな会社が多かったのですが、飲食専門エージェントに聞いてみたところ、この傾向はやはりあるということでした。とりあえず社長の年齢はホームページで調べましょう。
ちなみに経営者が年を取るほど無能でダメとか批判をしたいわけではないです。
高度成長期の人の働きはすごいと思いますし、その人たちが言う「がむしゃらながんばり」をすれば実際にお金で答えてくれる可能性も高いです。部下も自力でがんばらないとだめなので力もつくでしょう。ただしやはりお金と出世に価値観が偏りすぎているので家庭との両立など眼中にない人が多いです。
ただブラックになるかどうかっていう視点で経営層の年齢を分類すると年齢が高いほど危険率が増しますっていう話。
まとめ
ブラック企業を見分けるポイント、タイプ別です。
- 「アットホーム」型…ふわっと居心地アピールは具体的なしくみなし
- 「ポエム」型…考えています。は何も取り組んでいない
- 「警告」型…採用直後にしばらくはがんばれ的な励ましがきたら危険
- 「老害」型…社長や経営層が60代など高齢になるほど危険