ネットで包丁を選ぶ場合どんなところをチェックしたらいいでしょうか。
売れているモノやピンときたものを選ぶのも一つの方法ですが、自分の使い方に合うものを的確に選ぶということを大切にしましょう。
この記事ではよくある失敗からチェックしたほうがいい3つのポイントをまとめました。
基本のポイントは3点
包丁っていろいろありすぎてどうやって選べばいいかぜんぜんわからない!という方が多いと思います。このような場合、まず基本となる次の3点を整理して決めていきましょう。
- 種類 …「出刃包丁」などの名前
- 長さ…「刃渡り18㎝など」刃の部分の長さ
- 錆びるか錆びないか…刃の素材
これによってよくある失敗3パターンを回避できます。
- 高価な品を買った後に、ほかの種類の包丁を選んだ方がよかったかもと後悔
- 今までより少し長くなるだけなら問題ないと思ったら、だいぶ使いにくいことに気付いた
- 安くて切れるということを優先して錆びる包丁を選んで後悔
ではそれぞれ説明をしていきます。
1.種類~「○○包丁」

包丁の種類というのは「牛刀」とか「出刃包丁」とかそういった名称で区別しています。包丁は特定の食材や料理に適した道具になるように進化してきたのでいろいろな種類があります。
料理初心者の方や包丁を買うのがはじめてという方はまずいろいろな種類があることに戸惑うかもしれません。
この場合は「万能包丁」を選びましょう。(三徳包丁、文化包丁」という名前のものも呼び方が違うだけで同じ種類を指します。野菜の千切り、フルーツの皮むき、肉や魚の切り分けまでなんでも大丈夫です。初心者にとっての扱いやすさという点では一番だと思います。
もしもう一本ほしい、せっかくだからセットがいいという場合は「ペティナイフ」がおすすめです。ちょっとしたフルーツの皮むきなどに重宝します。
個人的にはある程度料理に慣れてきた方には万能包丁よりも牛刀のほうがおすすめです。切っ先(刃の先端)が尖っているので重宝する、刻み物がしやすいなどがその理由です。
おすすめな包丁の種類
- 初心者 万能包丁(三徳包丁、文化包丁)
- 初級者 万能包丁+ペティナイフ
- 中級者 牛刀+ペティナイフ
魚を捌くなら出刃?和包丁は慣れが必要
魚を捌くという場合は出刃包丁も気になるかもしれません。
包丁を刃の種類で大別すると両刃と片刃という二種類があります。万能包丁や牛刀など洋包丁はすべて両刃ですので普通に力を入れると、物をまっすぐに切ることができます。一方出刃包丁や刺身包丁といった和包丁はまっすぐに力を入れる感覚で使うと刃が一方に流れていきます。なので普段洋包丁を使っている人がいきなり和包丁を買うと使いこなすのが難しいです。
魚をさばきたいという場合も出刃包丁(片刃の和包丁)が必要とは限りません。アジやサバくらいならペティナイフで十分さばけますし、そのほうがやりやすいということもあります。ただし出刃に比べて力任せにすると刃こぼれしやすいので注意が必要です。普段片刃の和包丁を使っていないなら、大型の魚を捌く場合も両刃の洋包丁のほうがいいかもしれません。
どうせ買うならセットがいい?
料理慣れした人やいくつかの包丁を使ってきた人でも、改めて種類と本数について検討するのはいいことだと思います。
包丁コレクターでない限り、貴重な予算で本当に必要なものに絞った的確な買い物をしたいですよね。
同じ予算ならあまり使わないかもしれない包丁も入ったセットを選ぶより、一番使用頻度の高い万能包丁(や牛刀)一本に集中して予算を使う方がコストパフォーマンスが上がるのでおすすめです。
同じ一万円を2本~3本セットに使うと一本当たりの価値は3500~5000円ということになりますが、家庭の場合そのうちメインで使うのは大抵一本だけになる場合が多いからです。
一人暮らしにはペティナイフがおすすめ
ちなみに私は一人暮らしですが99%ペティナイフだけです。魚捌きも白菜や大根も全部ペティナイフでいけます。一人暮らしでなくても4人家族くらいの量なら実はペティナイフで十分なことも多いです。軽くて短いので洗うのも楽です。
2.長さ~「刃渡り」

種類が決まったら、長さを決めましょう。
刃の長さは「刃渡り」と言います(普段はあまり使わない言葉ですが、包丁が使われた事件の報道などで耳にしますね)。それに対し「全長」は柄(持つところ)を含めた全体の長さのことです。
ネットで買う場合は届いてから後悔しないためにも、刃渡りは必ずチェックしましょう。今まで使っていたものより2~3㎝違うだけでけっこう持ったときの感じも違ってくるはずです。
使いやすいと思っている包丁がある場合はそれに合わせるために、一度今使っている包丁の刃渡りを測ってみましょう。測り方は刃の根元(アゴと言います)から先端までです。(※種類によって柄の付け根から測る包丁もあります。)初心者なので長さなんてよくわからないという場合は、刃渡り16~18㎝くらいを選びましょう。もっとも万能包丁・三徳包丁の場合、大抵この範囲なので確認としてチェックするくらいで大丈夫だと思います。
少しの差が大事なのはなぜ?
今まで16cmしか使ったことがないという人が18㎝を使うとかなり長く感じることがあります。数字上の2㎝は大した差がないように感じますが、重さや重心が変わることの影響も大きくなるからです。なのでたかが2~3㎝と思わないことが大切です。
また必要以上に長いと特に台所が狭い、まな板が小さい場合困ることがあります。「大は小を兼ねる」と言いますが、包丁の場合は大のほうが困るケースが多いです。プロの場合は作業台の奥行が主な問題になることが多いですが、家庭用キッチンの場合はそれに加えてシンクの大きさが関係してきます。狭いシンクだと思った以上に洗いづらい、刃先をぶつけてしまうということがあります。
ただこれから本格的に包丁がうまくなりたいという目的で買う場合はあえて一回り長い包丁をおすすめします。重さと長さを使って切るという感覚・技術を身に着けやすいからです。
刃渡りが長すぎると生じるデメリット
- 台所の奥行きが狭い場合→使用中刃先がぶつかりそうになる
- まな板が小さい→刃がまな板の周囲のものとぶつかる、危ない
- シンクが狭い→使用後や洗う時にぶつかる、洗いにくい
- 包丁刺しが短い→収納に困る
特に長さに注意したほうがいい種類
長さで注意した方がいいのは牛刀、柳刃(刺身)包丁です。
牛刀は本格志向なら24㎝~がおすすめですが、家庭でそれほど大きいものを切ったりしない場合21㎝くらいまでの方が上記のようなデメリットを感じないですみます。
同じように刺身包丁もせっかくだからと27㎝(9寸)くらいの長めを選びたくなりますが、まずは21㎝(7寸)長くても24㎝(8寸)くらいまでにしておいた方が取り回しがよいです。また当然ですが長いほど扱いが難しくなるので、最初の一本は少し短いかなというくらいの刃渡りで引き切りの練習をした方がいいと思います。
3.錆びるか錆びないか(素材)

ネットで包丁を買う場合、「錆びます」「錆びない」という表示をみかけます。これは刃に使われている素材が関係します。
素材を鋼(ハガネ)とステンレスに大別した場合、鋼(ハガネ)の包丁というのは切れ味に優れています。切れ味は価格次第なことが多いですが、基本的には同価格帯で比べた場合ハガネつまり錆びる包丁のほうが切れます。逆に言うと同じ切れ味を求めるならハガネのほうが安いということになります。
とにかく切れる包丁が欲しい人の場合、それなら鋼の包丁にしよう!となりそうですが、ここでは錆びるって思っている以上に面倒ですよってことをお伝えしたいと思います。
ちなみに買い物の際、鋼(ハガネ)とかステンレスとかよくわからないという人は素材のことは忘れて大丈夫です。錆びない包丁はほぼ必ず「錆びないのでお手入れがラク」など錆びないことが強調されていますし、錆びる場合も「錆びます」と書いてあることがほとんどです。よくわからない方はとにかく錆びないって書いてあるやつから選びましょう。
切れ味や安さという言葉で安易に鋼(ハガネ)を選ばない
鋼(ハガネ)は使用後水分が少しでも残っているとだめです。この少しでもというのが大事で、拭いたタオルがちょっと湿っているくらいでももうダメです。完全に乾いたふきんを用意するかキッチンペーパーで毎回拭き切らないといけません。
ステンレスが主流になっている現在では鋼(つまり錆びる包丁)を使ったことがないという方もいると思います。
ステンレス系の包丁しか使ったことがなく、包丁って錆びないものだと思っている方が、今までよりもちょっといい包丁をということで鋼(ハガネ)を購入した場合こんな感じになります。
- まず最初は使用後当然のように拭かないか拭き忘れます。
- するとぶわっ~とすごい錆びが出るのでショックを受けます。
- その後拭くようになりますが、布巾に水分が残っていたりなどの原因で拭き残しがわずかでもあると錆びることに気付きます。
- レモンなど酸が強~いものを切ると切ってる瞬間から包丁が変色していくのでショックを受けることになります。
- そんなこんなで毎日毎回拭くのがとにかく面倒になり、もともと使っていたステンレスの包丁に戻してしまいます。
- せっかく買った包丁がキッチンにあってもお蔵入り状態になります。
せっかく切れ味に優れる鋼(ハガネ)を選んでも愛用し続けられないパターンになると本当にもったいないです。もちろんみんながみんなこうなるわけではないですが、めんどくさがりの人や料理に手間をかけたくないタイプの人は選ばないようにしましょう。
よくテレビなどでプロの料理人がさりげなくマメに拭いてますが、あのように無意識にしてしまうほど習慣化するのはなかなかたいへんです。
買う時や買ったばかりは気合が入っているので最初はそれくらいなんともないと思いますが、毎日毎回続けられるのかをよく考えましょう。犬を飼うときにちゃんとえさやりも散歩もするからといってめんどうになってしまう子どもを思い出しましょう。少しでも迷っているなら錆びないものから選ぶことをおすすめします。
こうやって書いていると鋼(ハガネ)が嫌いな人みたいに思われそうですが、個人的には鋼の包丁は好きですし、仕事ではメインで使用していた時期もあります。理由は切れ味と砥ぎやすさですが、それでも家では鋼を使用したくないのでステンレスを使っています。
※なおステンレスは「錆びない包丁」ですが、通常使用する範囲では錆びないだけで、塩水にずっとつけておくなど極端な状況では錆びるはずです。ですので正確には「錆びにくい」包丁ということになります。
ちなみに刃はハガネでも両側からステンレスで挟み込んでいるタイプの包丁もあります。このタイプなら錆びる面は刃先だけしかない状態になっているので全面がサビてしまうということはありません。
サビとは無縁のセラミックという選択肢
なお錆びない包丁という点では陶器である「セラミック」という選択肢もあります。切れ味はそこそこですが、そのそこそこの切れ味が持続するのが特長です。いっさい研がないという人にはおすすめです。軽さと見た目がやさしいのもポイントです。
陶器なので完全に錆びないですが硬いものを切ると折れるなど使用上の注意もあります。私も一時期愛用していましたが、調子に乗って魚を捌いていたら骨に当ててしまって簡単に刃こぼれしました。セラミックは自分では研げないので刃こぼれしたら一発アウトです。
その他のチェックポイント(通販では難しいポイント)
重さ
包丁を使う上で重さというのはひとつの要素です。
重すぎると疲れそうだから軽い方がいいだろうと思いそうですが、ある程度の重さは使いやすさになります。
重さで切る感覚とでもいいましょうか、中華包丁などは重さで切る代表のようなものですが、そこまで重さを使うことはないにせよ、ある程度の重さがないと使いにくいと感じる方もいると思います。
また100均包丁のように刃が薄く軽い包丁は硬いものが苦手ということにもなります。(※もちろん軽いということは長所にもなりえます。要は使い方次第なのですが、重さで切る感覚がわかるとラクだったり包丁づかいがレベルアップしたりできるということです。)
ただし重量というのは商品ページに表記されていないかわかりにくい場合も多いです。また総重量がグラムで表記されていても柄も含めての重量ですし、同じ重さでも長さや重心の位置などによって感じ方は変わります。家にある包丁の重さを量ってみるというのは一つの手かもしれませんが、やはり上記の理由で単純な比較は難しいと思います。
つまり、こればっかりは持ってみないとわからないので、通販の難しさであり、逆に店舗で購入するメリットであると思います。
ただ特に重さに注意した方がいいのは、出刃包丁、また大きめの牛刀、長めの柳刃包丁などになりますので家庭用の万能包丁やペティナイフの場合それほど心配することないです。
柄(持ち手)
包丁の持ち手の部分(柄)は好みが決まっていないと通販では難しいポイントです。
柄というのは直接手に触れる部分ということからもわかるように使い心地に影響を与える大きな要素です。ただ重さ以上に持ってみないことにはまずわかりませんので通販ではこだわると難しい部分です。
素材も形も様々な種類がありますが、どれがいい悪いというものではなく、使う人によっては好き嫌いが出る部分です。またかなり柄の形にこだわる人とどんな形でもOKという人に分かれる部分とも言えます。
素材は昔からある伝統的な木の柄のものに加え、プラスチックや一体型という金属の柄のものもあります。
金属の柄は、衛生的で管理しやすい(そのため給食などの現場でも使われる)、持った時に冷たいと感じる、などが特徴です。金属の柄は形(デザイン)もメーカーごとにさまざまな工夫が凝らされていて、人気のグローバルとヘンケルスは柄の違いでも好みが分かれます。
あごと先端
アゴというのは包丁の刃元の部分です。ここを使ってじゃがいもの芽トリなどをすることが多いといった場合、アゴが柄から離れているタイプのものは使いにくいと感じるかもしれません。あまり極端な包丁はないとは思いますが、柄からアゴまでの距離が使い慣れたものと違うと持つ位置を変えたりすることになるので使用感に影響が出ることを覚えておきましょう。
また包丁に慣れてくると先端を使うということも多くなります。万能包丁は牛刀ほど尖っていないので先端で突き刺す・くりぬくという作業がしにくいです。将来しっかり使えるようになりたい人は、万能包丁より牛刀やペティナイフを選んでおきましょう。
メンテナンスサービスの有無(ただし、あまり考慮しなくていいと思う)
メーカー、販売店によってメンテナンスサービスをしてくれることがありますので、一応チェックしてみましょう。
とはいっても、研ぎは多くの場合有料ですし、それならば近くの研ぎ屋にお願いした方がいいという場合も多そうです。
ちなみにセラミックの場合、家庭で研げないので研ぎのサービス一回分などがついてくる(調理道具店の店頭で購入の場合でも)ことがほとんどです。
まとめ
- 本格的に上手くなりたいなら万能包丁より牛刀とペティナイフがおすすめ
- 刃渡りは2~3㎝長くなるだけで、思った以上に使用感が変わる
- 錆びる包丁は思っている以上にめんどうなので選ばない方がいい