給食転職

給食調理員になると身につくすごい技術7選~素早く料理するためのコツも紹介

学校給食調理員はあまり技術を持っていない?いえいえそんなことありません。

というわけで「給食調理員」と聞いたら「こんなすごい奴だ」と思って間違いない7選です。

素早く調理するためのコツも織り交ぜて紹介しています。

こんな人を見たら給食調理員です。

1.タマゴを高速で、まるで人形のような一定のペースで割り続ける

給食調理員の卵割りスピードを舐めない方がいいです。安定した速度で誰しもはやい。包丁のスピードは個人差が出やすいが卵割りは大抵誰でもかなり速くなります。

何しろ一日で数百個を連続して割り続けるなんていうことは一般の飲食店員には絶対できない練習です。ド新人だとしても3回くらい担当(つまり卵2000個以上とか)すれば「有名オムレツ店のシェフやってました」と言いながら卵を割れば誰しもだまされるくらいの手際になるかも。

一個一個割りながら痛んでいないかなど確認しています。右手で卵、左手で持った小さなボールに割入れて確認。0.5秒で判断して流し入れつつ、もう右手は次の卵を割りかけているみたいな感じです。この確認は給食以外の調理現場でもやりますが、給食の場合一個でもミスすると数百個分の卵がパーになるかもしれないので確認の重要さのレベルがケタ違いです。

 

 

だたし実はカラが混入しまくっていることが。ていうかし放題。なんなら殻をごそっと投げ入れたりもしています。

ウソつくな、異物混入になるだろ!とツッコミがきそうですが、冗談ではないです。(最後の投げ入れはウソ)

どうしてかというと、給食の場合卵はあらかじめ大きなバケツのようなものに割り入れておきます。で、卵のカラというのは、きれいにもれなく沈むので最後の5㎜くらいを残して使用する(ゆっくり流すとバケツの底やわきにひっつくから混入しない)という裏技を使います。

※ちなみに現場によるかもしれませんが、混ぜてから冷蔵庫保管すると細菌の増殖の恐れがあるから割るだけ割っておいて使う直前に混ぜるというパターンもあります。その場合もカラはわりとすぐに沈むのでカラは入っていても問題ないです。ちなみに給食で卵を混ぜずに使うことはほぼありません。

私はこの殻がどれだけ入ろうが速ければOKという感覚がついてしまったので、普通の厨房に戻ってから困ることがたびたびありました。今も混入癖はなおっていません。

2.玉ねぎの皮むきが速い

玉ねぎの皮むきスピードは給食調理員が誇れる技の一つです。冗談ではなくペティナイフと玉ねぎを持たせたら一流シェフに匹敵するスピードを見せる可能性すらあります。

ぬるま湯につけてから剝くのが定番です。パリパリしないからクルっと一発で剝けます。ちなみに飲食店ではぬるま湯技は使いません。暇なときに剝いておいてすぐ使うわけじゃないからです。

ただしセンターではこの限りではないです。主に機械を使うからです。ちなみに機械の仕組みは芯を下にしてセットして蓋をすると、ドリルみたいので芯がくりぬかれて、頭がちょん切られて、空気圧でシュッという効果音とともに0.01秒くらいの一瞬で丸裸にされる、みたいなやつです。

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3.ピーラーが速い

給食調理員は基本的にピーラー(皮むき)が速いです。

なにしろ毎日早朝から野菜をひたすら剝きます。半分寝ながらでも使える感じです。たぶんピーラーなら和洋の職人も含めて最も速い気がします。だって職人だったら包丁で剝くので。

ちなみに私は学校給食の後5000食の産業給食で毎日10キロ箱何箱もの人参を剥き続けました。

その結果ピーラーを横を持つのではなく持ち手の末端をちょこんとつまんで使うという技(腕をほぼ動かさないので疲れない)を発明しました。スピード&スタミナの両方で〇。ちなみにそこには定期的に調理専門学校の教育実習生たちが来ていましたが、皆が感動してくれたのは私の段取りや包丁さばきではなくてピーラーのスピードでした(泣)。

ちなみに100均のピーラーはかなり丈夫です。3年以上毎日数十キロの人参を剥き続けたのに問題なく現役(切れ味はともかく)でした。きっと100均のなかで最もタフなのはピーラーだと思っています。

ちなみに玉ねぎ同様センターだと人参とかも機械で剥いています。でも給食センターの皮むき器は大抵性能が悪いので、結局手で剥きなおしていたりするのが悲しい現実です。ちなみに調理員は包丁修行はしないので包丁で皮むきするのはとても苦手な確率が高いです。

4.人参のカットは得意

給食の人参の比率は高いです。ない日がないですね。

なので給食調理員は人参のカットは得意です。せん切り、いちょう切り、乱切り、角切り、さいの目切り、なんでもこいです。ただしどれもよく見ると雑だから絶対によく見てはいけません。厚さとかあまりそろってないことも。

ほんとうに他の専門料理人が見たら怒り出すくらい雑だったりするし(あくまでそういう専門プロ目線でみたらダメなだけで一般レベルでみたら十分揃ってるんですけど)、なんなら給食で言う「せん切り」とか「さいの目切り」って和食の料理人さんからみたらそうは呼ばないような別物ですが、サラダ用の「せん切り」だとしても85度以上に加熱するんだから仕方ないです。だから生で食べるようの細く切るのとかはほんと苦手。

なお最新のセンターだと角切りとかあらゆる機械が揃っていたりするので、手で切るのは本当にこんにゃくと豆腐とブロッコリーくらいだったりします。

※ここまででお分かりのようにセンター一筋だと数年経っても大して包丁が使えないという恐れがでてきます。自校式だと通用しないような包丁レベルのまま年数が経過する可能性があります。なのでやりたい人は自校式から経験するのがおすすめ

5.ジャガイモの芽とり

ジャガイモの芽とりはかなり頻度が高い下処理です。

ちなみに皮むき自体は機械でやります。自校式でも機械があります。機械は、鉄ヤスリ的なものが底でグルグル回転しているようなところに上から投入します。数分したらゴロゴロと横の出口から取り出します。やりすぎると小っちゃくなっちゃうので注意です。機械のないところはきっとピーラーで剥いているのかなと思いますが、ない現場に出会ったことはありません。

ちなみに芽とりは包丁や100均ピーラーのわきにある丸い部分とかではなく、芽取り専用のスプーン型のやつを使います。なお芽とりはセンターでも手でやります。機械が苦手な仕事の一つですね。

6.機械切りできるのに手切りさせられるという罰ゲーム的理不尽さに対抗する力は半端ない

なぜか栄養士は「手で切ると美味しい」という謎理論を持つ人が多いです。私の最初の現場(自校式小学校)の栄養士ももれなくそれはそれは熱心な手切り教信者でした。

とにかく「手切り」「手切り」「手切り」。でも給食って機械のほうが得意な切り方が多いです。人参のせん切りとかネギの輪切りとか。手で切るのと比べて圧倒的に均一だしなにより速い

確かに機械刃の切れ味とかによっては表面がザラザラになることもなくはないのですが…

あときゅうりのせん切りは手で切る方が良かったりします。(※きゅうりのせん切りだけはどうしても機械切りは難しいです。専用の機器を使って刃に対して斜めに突っ込まないと長さがとれない、いろんな曲がり具合があるからがんばっても結局きれいにはならない、皮だけ残ってピロピロと刃を避けてしまう、などの理由で。)

家庭でもきゅうりをピーラーでせん切りするのって難しいですよね。

きゅうりは例外として、それ以外は手切りのバラバラさ加減と機械の均一さを天秤にかけたら絶対機械に軍配を上げるのが理にかなっていると思います。こっちはそのせいで朝のサービス早出勤してるんだぞっていうのが一番の不満でした。(本当は7時からなのに社員は全員6時20分には出るという状態でした。意味のあるサービスならいいですが完全に自己満足に付き合わされたのはきつかったです。)

その後なんだかんだ真面目だったチーフからスピード重視型チーフに代替わりしたタイミングで、「手切り」でせん切りの指示に対して8割機械で切ってから2割手切りしたやつを上に乗っけてちょこちょこっと混ぜるっていう裏技をみんなで開発した後はだいぶマシな労働環境になりました。(なお加熱後は手切りと機械切りの区別はつきません。)

この技を導入後も栄養士さんは「いやーやっぱり手切りだと美味しいですね」と言ってたので、完全に手切り教に洗脳されていたことが証明されました。このように絶対的権力を持つ栄養士の理不尽さに小学生みたいな手を使って対抗するというのは一般飲食店では養えない技術です。

7.実は船頭になれる(船を漕げる)

…と思っています(私だけ?)

給食は回転釜っていう大きな鍋で作りますが、実はスープを混ぜるときのヘラ(スパテラと言います)の動かし方は、船頭さんが船をこぐ時の動きにそっくりです。ちなみにシチューとかカレーとか水よりよっぽど重たいものを混ぜているので、嵐でも対応できるくらいの腕力とバランス感覚は自然に身についていそう。

陸の上で混ぜている人間が不安定な船の上でできるわけなさそうに思えますが、真夏に熱中症気味で前後不覚になりながらかき混ぜ続けた経験を持たない調理員はいません。

ひたすら混ぜ続けないと焦げる、その結果何百人もの児童が飢えに苦しむかもしれないっていうプレッシャーで責任感と根性も相当鍛えられています。

...まあでも実際船漕ぐのは無理ですよね。

個人的には逆パターンで船頭さんに回転釜混ぜてみてほしいっていう願望を持っています。初めての人はまず回転釜をスムーズに混ぜられないものですが、船頭さんならいきなりベテランチーフ並みのスパテラさばきを見せてくれるかもしれないという期待が止まりません。

まとめ

大量調理をやっていると、繊細さは犠牲になりますがスピードとパワーと文明の利器を使うことにかけては随一になれます。

以上給食調理員になると身に着く技術7選でした。

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