学校給食の大変さが現場によって異なるのはなぜ?

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回転釜で料理。

学校給食は現場によって大変さが異なります。

もっとも他の仕事でも現場次第というのはよくあることです。この記事では給食の場合どんな要素で現場の大変さが変わるのかを挙げてみます。

私は自校式とセンター両方経験しましたが、この記事では基本的に自校式を念頭に置いてまとめてみます。

目次

1.食数【多いほど大変】

自校式でもセンターでも基本的に食数が多いほど大変です。食数が多い現場は作業人数も多くなりますがそれでも大変です。

私が最初に経験した現場は1000食近かったのでいわゆる”マンモス校”でした。昼休みは規定通りとれず20~30分で掻き込んで食べるような日が多かったです。

一方平均かそれ以下の生徒数だと状況は異なります。応援や講習会などで他現場の調理員から聞くと午前中の火入れ前に休憩している、昼休みはきっちりとっているなどの話がありみんなでいつも羨ましがっていました。600食ほどの学校に応援で行ったりしましたが、ゆとりがあってびっくりしました。

食数が多いほど大変になる理由はいろいろありますが、かいつまんで書くと以下です。

一つにはタイムスケジュールです。学校給食では原則喫食2時間前にならないと最終工程の火入れを開始できないというルールがあります。そのため前倒しで進めてしまうという手は使えません。

また担当制で仕事を進めるので、どうしても食数が多い方が同じ作業を繰り返すことになり体力的に負担がかかります。

さらに食数にきっちり比例して人員が配置されないというのがあります。食数が多い現場のほうが作業員一人当たりの食数が多くなりがちです。

2.人間関係(特にパート同士)

学校給食の仕事はほぼ人間関係で決まると言っても過言ではありません。

ポイントはその現場にクセの強い人ボス的な人がいるかどうかです。経験的に、いる確率は高いです。

社員の場合ももちろんありますが、パートで特にそうです。会社内では「○○校の現場はあのAさんがいる」「○○センターにはBさんがいる」のようにクセがありすぎて会社内で名が通ってしまっている人もいました。ここまで行かなくても大抵プチボス、プチくせ者くらいはいます。

こういう人は仕事もはやいですが、人間関係的に周りの人が苦労するケースが多いです。

ストレスの程度はそういう人のクセの程度や相性で決まります。もちろんそういう状況を共有できる人がいるか、など周囲の影響も大きいです。

3.栄養士によって方針が違う

現場の大変さは栄養士に左右される点も多いです。

私の最初の現場は昼の休憩も満足に取れず、朝も早出してなんとか回すという感じでした。食数が多いからという説明をされて最初はそういうものだと思っていました。

ところが栄養士が変わった途端ガラッと労働環境が改善されました。最初の栄養士はとにかく手切りにこだわっていたのです。機械で切れる切り方でも手で切るようにという指示。

次の栄養士はできる限り機械を使うという方針でした。そのため大幅にスピードアップして朝の小休憩も取れるようになりました。

他にも、こだわりの献立が多い、献立の組み合わせ方がきついなどがあります。

これは栄養士がどこを向いているかというのも関係してきます。つまり学校側を向きすぎていると現場はきつくなります。「これ○○先生からどうしても一緒に食べたいってリクエストされちゃったんですよ~」という理由で、無理気味の組み合わせにされたこともあります。

もちろん食べる人が喜ぶことは大切ですし、栄養士はその橋渡しをするのが仕事です。ただ学校側と現場側のバランスをうまくとれるかという点。このバランスが学校寄りになりすぎると現場は疲弊します。上の例のように、ひとりの先生から要望されたからそのまま実行などはひどいと思いました。

4.チーフのレベルや方針

現場の大変さはチーフによっても変わります。どう協力体制をつくるか、時間の読みができているか、トラブルを未然に防げるか、などです。

私が最初に入った現場のチーフはほぼ給食一筋でやってきた人なので調理の経験値は十分だったのですが、以下のような点がありました。

  1. 経験年数の割に時間の読みができない…余裕があるのに急ぐ、余裕こいて後で焦る
  2. 工程表の分担を守り基本的に手伝わない

2.は尋ねたら理由がありました。個人に任せて手伝わないことで人を育てるねらいだそうです。この長所は確かにあるので一応は納得しました。ただどう考えても厳しい状況や役割分担でもそのままやらせるので、そこがボトルネックになって後工程がつまる等が頻発していました。

次のチーフはとにかく柔軟に協力し合う主義だったので、スムーズに回るようになりました。

他に重要なのは交渉力です。栄養士からの信頼等があると献立や調理方法の変更などの交渉がうまくいきやすくなります。

5.アレルギー対応レベル

今は多くの学校給食でアレルギー対応があります。そしてその対応レベルはどんどん上がっています。つまりより多くの種類に対応し、しかもできるだけ元の献立に近いものを提供するということです。

このレベルは自治体や学校によって異なり、アレルギー対応レベルが高い現場ほど仕事的には大変になります。

命に関わることなのでプレッシャーもかかります。複数のアレルギー対応があると受け渡しなどのタイミングで差し違えたりするリスクも増えます。

なおアレルギー対応レベルが上がるというのは本来人員増(給食の性質上、時間増での対応に限界があるため)が必要なくらい大変な場合があります。ですが実際には今いる人数でなんとか回してくれ、ということになります。

6.調理機材の充実度 等

現場によって調理機材が異なるのでこれがけっこう大変さに関係してきます。

一番大きいかなと思うのは回転釜の種類です。鉄釜(ガス)かステンレス(スチーム)釜かです。※回転釜の種類や材質、その組み合わせは他にもいろいろありますが代表例です。

鉄釜は焦げやすいので調理も手入れも手がかかります。

私の場合最初の自校式で鉄釜からスタートしたので、次の現場でスチーム釜を使った時その安心感と楽さに感動しました。

特にルウなどは鉄釜だと焦げのリスクが高いので常に混ぜてつきっきりです。スチームならほとんどそういうリスクがないので体力的にも精神的にも楽です。

他にも連続フライヤーの有無やスチコンや冷却器のタイプがあります。また炊飯も回転釜か炊飯器かなどもあります。

また作業台の大きさや移動シンク等の数、また単純に厨房の広さも仕事のしやすさに関係してきます。

調理以外だと校舎の設備や構造も少し関係してきます。エレベーターの種類や位置、校舎の造りや配膳の方式等で配膳の仕事の大変さが変わります。

また食器の材質や箸等が学校側なのか持参なのかなどもあります。

まとめ

学校給食の仕事の大変さが現場によって異なる理由まとめです。

  1. 食数【多いほど大変】
  2. 人間関係…特にパートでクセのある人
  3. 栄養士の方針
  4. チーフのレベルと方針
  5. アレルギー対応レベル
  6. 調理機材の充実度

他にもあるかもしれませんが、ざっと思い出せる範囲ではこれらの要素によって大変さが変わってきます。

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