学校給食の仕事をしたいと思う時、学校の給食室(自校式)と給食センターは仕事がどう違うんだろう?どちらが大変なんだろう?と思われませんか。
またもし今センターをやっている方なら給食室ってどうなんだろうな?とお思いかもしれません(またはその逆)。
この記事では両方の経験がある私がまずこんな疑問を解決します。
はっきり言ってどちらが大変なの?
次に以下の項目で実情を比較紹介していきたいと思います。
- 体力面
- 人間関係
- 仕事の内容
基本的にパート勤務を想定して書きますが、社員希望の方でも参考になるはずです。委託の例です。直営(公務員)の場合はどうなっているかは知りません。
※私自身は学校給食社員を2社で経験。自校式給食室約2年(1現場)、給食センター約2年(3現場)です。
給食室と給食センターどちらが大変?
最初に結論を言うと、基本的にセンターの方がいろいろとハードになる確率が高いです。
まずこの2点でセンターはきびしい。
- 体力面は量が多いから
- 人間関係はパートリーダーのもと小さなチームで動くから
③仕事内容については、給食室orセンター…どちらが大変とは言えません。主にその人の適性によるからです。
体力面

まず量が違うのでセンターの方が体力面での負担が大きいです。
私の場合自校式では約950食、センターではそれぞれ2000、2500、3000という数字でした。
950食の小学校というのはいわゆるマンモス校と言われるきつめの現場になります。昼休みもろくに取れません。ですので応援で600~700食とかの学校に行くと昼休みどころか午前中に休憩まで取れるので天国に感じました。
でもセンターに行くとその950食の給食室ですら余裕に思えるようになりました。
具体的にどこが違うか
一つ一つの作業時間
食数が多くなると一つ一つの作業時間が長くなります。2時間近くずっと玉ねぎ200~300㎏剥き続ける人、ずっとじゃがいもの芽取りの人、葉物を延々3層シンクで洗い続ける人…という感じです。
すべての器具が大きくなる
ボール、ザル、作業台などすべてが大きいです。
形も四角が多いです。コンテナみたいな四角いザル、大きめの番重を使うケースが多いです。積み上げないと下処理した食材や調理途中のものが収まらないからです。
※ただ洗い物については器具も大型の洗浄機で洗えるというのはあります。
重いものが増える
量が多くなると重いものが増えます。基本的にすべての道具が大きいのでそこに食材などを詰めると重くなります。あまり小分けしていると仕事になりません。
片づけと洗浄
まず床面積の広さが桁違いなので掃除の規模感が違います。
またセンターはほとんどの切り方で機械を使います。大型の機械を中心に洗浄が大変です。シンクの大きさや回転釜の直径も全然違います。これらをだいたい同じ人が毎日繰り返すので体力的に重労働になります。
人数が増えるから一人頭の負担は同じ?
よく言われるのでこの疑問を解決しておきたいと思います。食数が増えてもその分調理人数が増えるんだから一人一人の負担は同じじゃないの?
ぜんぜん違います。
みんなで一斉に一つ一つのタスクを片付けていくわけではないからです。
工場と一緒で量が増えるほど分業化が進みます。その結果同じ作業を一人でずっとやるパターンの方が多くなります。
大変さと食数という関係
給食の仕事は人によってきついだとかラクだとかいろいろな主観が出ます。
いろいろな現場や食数規模を経験したことから言うと、それはだいたい以下の要素によって決まります。上の2つは環境、下の3つはその人のバックボーンです。
- その現場の食数
- 人間関係の運不運
- 人より体力があるかないか
- 専門店や一般の飲食店経験があるかないか
- オフィスワークの経験もあるかないか
軽視されがちですが、一番上に挙げた食数というのは大きな要素です。おそらく500~600食の現場しか知らないと”給食ラク”ってなりますが、1000近い学校に行くとぜんぜん違って感じるはずです。
人間関係

センターの方が人間関係が複雑化して問題が起こりやすいと思います。いろいろな組織や運営の仕方があるとは思いますが、少なくとも私がいたところではそうでした。
まず自校式給食室は一斉に出退勤、ローテーションでみんなまんべんなくいろんな仕事をやります。

一方センターだと出勤時間ごとに
- 6時からのパートさんは下処理→掃除
- 8時からのパートさんは調理補助→洗い物
- 9時からのパートさんは配膳→掃除
というような感じで役割を分担していました。
で、それぞれに4~6人とかでチームを作ってパートリーダーを立てることになります。リーダーは基本的に「超強いおばちゃん」です。手も速いし要領もいいですが、遅い人や気に入らない人には容赦ないです。ダメ出しするのが趣味みたいな感じのリーダーが多かったです。

数人で一緒に同じ仕事をするのであの人は遅いだとか進め方がおかしいだとか出てきます。こうして小さな単位の中で人間関係が悪化したりいじめっぽい状態になっていくケースがあります。
センター長や社員は細かく管理しきれません。給食では社員は基本的に調理に専念するということになっているからです。特に掃除、配膳、配送などは物理的にも目を届かせるのは不可能です。基本的に回転釜の前を離れることはできないのでパートリーダー頼みになります。
さらにこのような組織形態だと給食室よりも給食センターの方が休みが取りにくいというケースがあります。

一方給食室は下処理室の掃除1人、配膳2人とかの単位なので問題が起きにくいです。また物理的にもチーフの目がだいたい届きます。
また自校式給食室では目の届く範囲でみんなで一斉に動いている連帯感があります。一方センターはチームごとにバラバラの場所で、それぞれのタイムスケジュールで動くので連帯感に欠ける部分があります。仕事の役割分担や線引き、責任などの問題も起きやすいです。
リーダー人選について
クセの強いパートリーダーは、会社側から見ると安定の嫌われ役になって効率アップをしてくれるというのが実際あります。いわゆるいい人を上に立てると下のパートさんと社員との板挟みになって心が持たなくなってしまうというのもありました。
また20~30代の若いパートさんが優秀でも40~50代たちが絶対許しません。ただでさえ若いパートさんは目の敵にされやすいのに、リーダーになったらおそらく毎日反乱がおこって大変なことになります。
そんなこんなで結局パートリーダーになるのは「ボス」的なおばちゃんのみになります。
仕事の内容

自校式給食室は最初覚えるのが大変です。一日の中で、切りもの→配膳→配缶→洗浄などのように一通りの仕事を担当するからです。
大抵週ごとのローテーションとかで配膳担当とかを変えていくので新人だと覚えるまでメモが必要なことも多いです。このローテーション制&1時間くらいごとに違う仕事をするというパターンについて、飽きずに続けられるプラスポイントと感じるか、いろいろやるのは嫌だと感じるかです。
一方センターは毎日同じパターンを繰り返すので覚える負担は少ないです。
例えば下処理係は毎日下処理→その後調理室の掃除、とかなので。同じような作業を毎日何時間もやるのが嫌と感じるか、体力的にたいへんでもあまり考えなくていいからラクと感じるかです。
ということで仕事の内容についてどちらがきついと感じるかはその人のタイプによります。
まとめ
総合的にセンターが大変な確率が高い。あくまで確率なのはセンターの運営にはいろいろなパターンがあるから。
- 体力面…センターがきつめ 広い、大きい、重い。同じ作業を長時間繰り返す。
- 人間関係…センターがきけん 少人数チームにパートリーダーを立てる方式がネックになりやすい
- 仕事の内容…その人のタイプによる 体力に自信があって繰り返し作業が苦にならないならセンターがおすすめ。いろいろやるほうがよさそうなら自校式給食室。