【あなたもチーフになれます】給食調理員として”できない”人を脱出し”できる”人になる方法4選

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終端調理はイメージとデータ。書類と星のイラスト。

給食の仕事を始めてみたけれどなかなか”できる”ようにならない…とお悩みでしょうか。自分は要領が悪いから…とあきらめる前にやれることはいろいろあります。

給食の仕事において”できる人”というのは何が違うのでしょうか。もちろん単に慣れている、というのはあります。特に包丁や余熱の微妙な判断などは一朝一夕にはいかないでしょう。

でも集団調理というのは必ず長い年数が必要なわけではありません。

この記事では給食の仕事でより早く進歩するためのコツをご紹介したいと思います。

4つご紹介しますが、前半は初心者向け、後半はベテランやチーフ向けです。

キーワードはイメージとデータです。

目次

予習は入念に行なう

まずはきほんのきですが、前日の予習(頭の中でしっかりイメージすること)です。これを徹底します。

給食は献立と完成時刻が決まっています。

つまり飲食店のようにランダムにオーダーが入るわけではないので、完全な予定が立てられます。

ですので初心者は前日に自分の明日一日の動き(担当するメニューや作業の段取り)を完全にイメージできるまで寝ないようにします。

最初の一か月くらいは右も左もわからないかもしれません。でもわからないなりでいいのでイメージはしておきます。空白部分があっても疑問点があってもいいです。”どうせよくわからないから”とこれすらやろうとしない人がけっこういました。仮のイメージや仮説を作って当日に経験してそこを埋める、これでけっこう違ってきます。

慣れている中堅くらいでも、できる人ほどこういった前準備を習慣化しているものです。だからこそ仕事中に余裕があります。仕事のことは考えたくないと現実逃避してしまうとますます追い込まれてしまいます。

最初は手順を紙に書き出すとよいです。まずは自分の担当する料理の段取りからです。細かくイメージして頭の中でミスなく完成させましょう。それができたらそれ以外の時間についても大切な部分をイメージしておきます。

病院食や介護食などで3~4品同時進行が必要な場合も前日にその組み合わせ方を完全にイメージします。

この際たとえ既製品の袋を開けるだけという一品でも段取りにしっかり含めます。どのタイミングで作業してどれくらい時間がかかりそうか、単純な作業でも時間がかかったりすることもあります。

速い人の動きを分析する

2番目は速い人を見習うということです。これも徹底します。

何事も進歩する人はうまい人のやり方をコピーするのが上手いです。

考えずに丸パクりという意味ではなく、分析して成功の秘訣を見抜くということですね。

仕事が速い人の段取りや技術だけではなく、単純な動きを観察・分析します。

大げさに言うとスポーツ選手の動きを見てまねるのと似ています。この作業はこの人が速いなという人を見つけて、その動きをよく観察します。

例えば以下のような点です。

  • 細いのに重いものを持ち上げるのが上手い →腰やひざなど体全体をどう使っている?
  • 配缶が速い人 →道具の物理的な軌道はどうなっている?
  • スパテラを高速で動かしても体力が持つ社員 →重心の移動のさせ方、ひざの使い方はどうなっている?ひじの角度は?

観察とはぼっーと見るということではありません。細かいことほど注意深く観察して「なぜ」「なぜ」を繰り返します。なぜ速いのか。なぜ疲れないのか。

自動車のトヨタでは「カイゼン」という考え方がありますが、その一つに「丸を書いて立っていろ」という教育があるそうです。つまり製造のどこに問題があるのか、どこが無駄なのか、一日中床に丸を書いた中に突っ立って観察して考えなさい、という意味です。給食現場ではそんなことできませんが、本来それくらい観察と分析は大事です。

こういう観察の習慣がついている人は教えられなくても勝手にどんどん進歩します。はたから見るともともとセンスや要領がよいと思われているかもしれませんが、そういう人ほど常に観察・分析をしているものです。

私の場合は文字通り鍋が飛んでくる、怒鳴られる…割烹という環境にいたことがあるので、必死に目で盗んでおくということが少しは習慣化しました。

容器の大きさ(容量)を覚えてしまう

3つ目はその現場の機器や道具に精通することです。これも徹底します。代表例として容器の容量を把握することです。

現場でよく使う道具の容量を覚えてしまいましょう。

器具の容量を覚えることであらゆる無駄がなくなって楽にスピードアップできます。

例えば学校給食だと汁物の配缶時。この大きさで1すくいだと何ℓ、これをまずしっかり頭に入れましょう。そして例えば8ℓ配缶するのに「満杯で5ℓの器具」を使うのなら8分目×2回だな…という風に瞬時に判断できるようにします。そして2回目にすくう時に9分目くらいすくって最後の1~2割はちょびちょびと入れていきます。

これで1回目に無駄に満杯に汲んで疲れることもないですし、3回目をすくいにいったり逆に入れすぎて戻したりすることもありません。※必要のないところで満杯に汲むと軌道が山なりになるのも無駄です。

慣れると量りのメモリを見る前にこれでジャストだろう?くらいに感覚を磨くこともできます。どうも配缶が遅い人を見ていると、なにも考えずにえいやっと入れてから量りの数字をみて戻したり…というのを繰り返していたので特に例として挙げました。

同じようにサラダや炒め物なども「この”かさ”でどのくらいの重さになるのか」という感覚は意識的に鍛えておきましょう。

ちょっと自慢ですが上のようにやっていたので私はどの現場でも配缶最速でした。なお速さを求めすぎて具材の偏りがでたりしないように底からしっかり混ぜながら配缶しましょう。

他には例えばボールの大きさ。できる人は調味料を迷いなくいつも無駄のない大きさに入れます。これはボールに何リットル入るのか知っているからです。調理場にあるすべてのボールについて覚えてしまいましょう。そうすることで「このボールは2.3ℓだから1.8ℓのしょうゆを入れるのに使おう」みたいなことを最初にパパッと割り振れます。

一度時間をとって現場で使っているボールに水を入れて量りに載せてみましょう。あるいはすでに容量がわかっている容器で水を入れていくのでもいいです。

作業時間のデータを取る

最後は作業時間のデータを取ることです。

これによって現場をスムーズにまわすことができるようになります。

初心者よりも特に中堅やチーフにおすすめです。ただ初級者でもベテランとの差をたった1か月ほどで埋めることのできる秘策でもあります。

作業時間といってもハンバーグを焼くのに何℃で何分とかではないです。

ここで言っているのは人の手を動かす作業です。例えば10㎏換算で以下の作業にいつも自分が何分かかっているか、だいたいでいいので答えられるでしょうか。

  • 玉ねぎの皮むき
  • じゃがいもの芽取り
  • きゅうりの小口切り
  • 人参のいちょう切り

またみんなで一斉にやる作業についてはどうでしょうか。1分で何個できる?10個作るのに何分かかる?

  • りんごのカット
  • ハンバーグの成型
  • 白身フライの衣つけ

「いつも何人くらいでやって何時~何時」という感覚だけでもいいですが、主な作業の数字が頭に入っているとぜんぜん読みの速さと正確性が違ってきます。また現場が変わっても応用できます。

私が在職中に気になっていたのは、みんな調理のデータ(スチコンの温度・調理時間など)はとっているのですが、手を動かす作業時間のデータは驚くほど取っていなかったことです。

最初の現場では何年もやっている人やチーフでも毎日の各作業にどのくらいの時間がかかっているのか、分解して把握できている人はいませんでした。それで問題がないならいいのですが、大げさに心配したわりに意外と余裕だったとか、反対に追われることになった、など頻発していました。こういうことが多いと栄養士との交渉や信頼関係にも影響が出ます。

逆に言うと緻密な時間計算をやっている人がほとんどいないので、これをやると一気にベテラン以上の采配能力を身につけられます。

最初は面倒に感じるかもしれませんが、取ったデータはそのまま明日から、あるいは同じメニューの時にそのまま使えます。

どう役に立つのかもう少し具体的に見ていきます。

データは驚くほど役にたつ

厨房の人は感覚派が多い&数字が嫌いなので、ほとんどの人はデータとかは重視しません。時間などの数字を出すと「その日によって違うじゃん、やる人によって違うじゃん」とか言います。でもやってみるとわかると思いますが、給食の場合客観的データをもとに頭の中で立てたプランというのは驚くほど現場で忠実に再現されます。

実際数字を取って整理しておくとこんなにいいことがあります。

  • 適切な人員配置ができる、工程表の正確性がグッと向上する。
  • トラブルに落ち着いて対応(どのくらいの時間がかかるのか瞬時に逆算できる)。
  • こっちはあと何分で終わりますなどの連携。
  • すべての料理でぎりぎりの完成時刻を目指せる(もちろん安全マージンは取る)。
  • 勘違いや思い込みがなくなる。
  • 数字や裏付けが出せるので、栄養士との交渉に圧倒的な説得力が出る。
  • 他の現場や給食以外に転職しても使える。

勘違いや思い込みというのは「この切り方は時間がかかるからこっちにしてください」→実はほとんど差はなかった、みたいなことがなくなるということです。

責任者としては作業がひと区切りしたところで「あ、もうこんな時間だ」「あ、まだこんな時間だ」という気持ちになっていたらまだまだということですね。

みんなとのコミュニケーションとしてそういう共感は大事ですが、「実は完全に読めていた」というくらいでないと余裕を持ってみんなを引っ張れません。

ちなみにデータを取るというのは他の仕事に転職した場合でも必ず役立つ良習慣です。

データのとり方と役立て方

データと言っても簡単な記録だけ、各作業の作業開始時間と終了時間をチェックするだけです。1か月もやればよく使うデータは十分そろうでしょう。

例えば下処理~切り込みなら

  • 玉ねぎの皮むき
  • じゃがいもの芽取り
  • 人参いちょう切り

などがあります。

各作業の開始と終わりごとにその時刻をこっそりメモするのが間違いが少ないのでおすすめです。ストップウォッチとかでもいいですが、観察や分析が人に伝わると問題がおきたりストレスを与えるのでおすすめしません。人数はあとで割り算するので必要ですがメモらなくても覚えているはず。※みんなでやる作業なら途中で何人抜けたり入ったりもだいたいで覚えておきます。

最終的にExcelなどで整理すると例えば以下のようになります。ちなみにこれは実際に私が取っていた記録から一部抜粋したものです。

食材人参人参人参
切り方いちょういちょう小短冊
キロ484.7
131715
人数322
一人だと(分)393430
キロ当たり(分)9.754.256.38
作業者パート×3社員×2社員×2
人参の下処理について

ここからこんなことがわかります。※あくまで私のいた現場での数字から導き出される結論です。

  • 人参いちょう切りをパートに任せると社員の2倍くらいかかる
  • 人参小短冊切りはいちょう切りの1.5倍くらいかかる

細かい数字まで頭に入れていなくても、上記の知識によってこんな応用的な判断ができるようになります。

  • 今この時刻だからパートに練習で人参いちょうを担当してもらっても十分間に合うな… →現場レベルの底上げに活用
  • 人参小短冊10㎏をいちょうに変えてもらえると20分相当(65分→45分)が浮くな… →具体的な裏付けによる適切な交渉

ちなみに私の場合データマニアだったので○○さんは○○作業は平均速度×1.2倍とかやっていました(もちろん本人には言いません)。そのため給食に入って半年後には成型やフルーツカットの作業終了時間を1分単位で当てられるようになりました。これはやりすぎですが、そのくらいデータというのは集団調理において役立ちます。手前みそですがデータを取ることで経験と勘に頼らなくてもやれるようになるという証明です。

データのわなに注意

データはとても役にたちますが注意点があります。

頭でっかちにならないようにしましょう。人はモノでも機械でもありません。あくまで一人一人が気持ちをもって働いているのが現場、どんなに時間読みが正確でもみんなが気持ちよく働けなければだめです。

またチーフの采配が完璧すぎると周りが成長しなくなるというのもあります。トラブルが起きない&何かあってもチーフが何とかしてくれると思ってしまうからです。

またそもそもチーフは必ずしもスピードや采配に優れている必要はありません。その辺がいまいちなリーダーでも人望があるので周りが盛り立ててくれる、という例もたくさん見てきました。

まとめ

給食の仕事ができる人になるためのヒントを4つご紹介しました。自分のレベルに応じてやったことがなかったというのがあれば試してみてください。

  • 初心者 →予習は入念に行なう
  • 初級者 →速い人の動きを分析する
  • 中堅(サブ) →容器の大きさ(容量)を覚えてしまう
  • ベテラン(チーフ) →作業時間のデータを取る。個人よりも全体のレベルアップ。
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