【人間関係】”給食現場の調理師から見た”栄養士の大変さと向き不向き

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栄養士の大変さ。栄養士VS調理師。栄養士の向き不向き。

この記事では”調理師から見た”栄養士の大変さについて書いてみようと思います。栄養士の大変さについての情報は、同じ栄養士の経験という視点が多いと思ったからです。ということであえて一般的に仲が悪いと言われる調理師視点から。

最初に自己紹介。私は調理師の立場で学校給食4現場、産業給食1現場(計7年程度)に携わってきました。一緒に仕事をさせていただいた栄養士は15人ほどになります。※産業給食は幼稚園弁当給食企業向け弁当給食です。他にも学校給食との並行事業で介護食もありますし、夏季休暇の応援程度ですが少しだけ保育園もあります。障がい者施設の給食などもあります。なお学校給食は公務(栄養士)⇔委託(調理師)という関係、産業給食その他は同企業内の身内栄養士です。

この記事の主な内容です。

  • 調理師から見て栄養士大変だなと思っていた点
  • 栄養士と調理師の仲の悪さについて
  • 栄養士に向いている人向いていない人

ではさっそく栄養士の大変な点、調理師目線バージョン。

目次

調理師から見て大変だなと思っていた点

栄養士の大変さ。泣き顔。

まずはざっくりと調理師から見ていて栄養士大変そうだなと思っていた点

  • 基本非協力的な調理員たちと孤立無援で向き合う
  • やることが多岐にわたるので求められている役割・能力が広い
  • なんだかんだ最終的な責任者

正直調理師はこの逆なので楽なものです。まあ調理師の同僚がへんな人の場合、それでもずっと一緒なので…その場合は栄養士の方が距離が取れていいかもですが。

やることが多そうだなあというのはいつも思っていました。絶対にミスできない発注、献立作成・原価計算、問題対応、食育指導などなど。

味の決定とか衛生とか、なんだかんだ最終的な決定権と責任を持っていること。いっぽう調理師側は「栄養士さんの指示だから、栄養士さんがOKと言った」という言い訳ができます。

ちなみに調理師をやっていて栄養士より大変だと感じたのは、体力面くらいです。付け加えるなら特に公務⇔委託の場合栄養士との間に絶対的な権力の差があること。

次に栄養士と調理師の仲の悪さについて。

栄養士と調理師が仲が悪いってほんと?人間関係が悪化するのはどうして?

栄養士VS調理師。対決姿勢の両者。

給食業界では栄養士と調理師の中の悪さ(表面上はもめない場合でも水面下で)は常識です。原因はなんでしょうか。

まずは根本的な問題点

  • 経営に余裕がない(調理師は労働時間の問題等、栄養士は新人教育する余裕がない等)
  • 監督する側される側という役割分担システムなのである意味必然(仲良く癒着するのも問題)

これを前提にそれぞれの立場から見ていこうと思います。

以下こういう人がいるとより人間関係が悪化しやすいという特徴です。

調理師側の問題点あるある

まずは調理師側の問題点です。

※全員がこうではなくて一部(とはいえ少なからず)こういう人がいましたという話です。

根本的にラクしようとする

「楽したいから」献立に文句を言う、給食調理師は飲食店に比べてこのタイプが多かったです。他にも「楽したいから」という理由でルールを守らない、手を抜こうとするというのはあるあるです。それを管理する栄養士とは必然的に不仲になりがちです。

ただもともと薄給の上にサービス残業が多すぎるなど経営側の問題も多いので同情の余地はあります。

群れてケチをつける傾向が強い

たいてい愚痴を言ってだれかを攻撃したいだけの曲がった根性の人が一人以上はいます。そして同調圧力があります。

現場に栄養士1人とかの場合格好の標的になります。

責任感が低い、考えることが嫌い

最終的にはぜんぶ栄養士の責任だから丸投げという調理師です。栄養士が協力や意見を求めても必要最小限のことしか言いませんしやりません。

給食の仕事を選ぶ人は料理へのこだわりが低いという場合が多いですが、根本的に「考えるということをしない人」が多いと感じます(自分が得することなら考える)。

こじらせたプライドが高い

中途半端に専門料理をかじってやめたパターンの男性調理師。実は自信がないので栄養士にケチをつけることでしかプライドを保てない。正直このタイプは同僚の調理師的にもめんどくさいです。

あと全体的に若い栄養士を舐めている傾向です。心の広さを持たない人が多いです。

栄養士側の問題点あるある

※全員がこうではなくて一部(とはいえ少なからず)こういう人がいましたという話です。例は全部私自身の実話です。

食べる側からの評価に偏る

食べ手の方を向きすぎて現場の負担とのバランスをとれないケースです。

例:学校給食で”〇〇先生からリクエストがあったのでぜひやってください”と無理めなメニューを強硬に主張。その代わり他で現場負担軽減への配慮をするなどバランスをとればOKなのにそういったことなし。あとそもそも一人の先生の意見を現場が早出など犠牲を払ってまで実現する必要があるとは思えない。

現場の実情を無視した頭でっかち

ルールを厳守しようとするあまり実現不可能な要求をしてしまうケースです。

例:午後の洗浄中でもドライシステムを教科書通りにやるように指導し続ける。シンクでの食缶洗いの際に多少の水はねでもダメと言う。それをやっても時間厳守など他の条件を満たすことができるならとっくにやっている。妥協点を見つけられない完璧主義&教科書的頭でっかちだと調理師側も困る。

謎のこだわり

謎のこだわりを持ち、その結果現場の負担が過度に増えるケースです。

例:「手切りの方がおいしいから機械は使わないで」などという証明できない暴論を振りかざして負担を増やす。労働時間内にできるのならいいがそのせいでサービス早出になる。

上から目線

潜在的に調理師を下に見ている、このパターンが一番問題です。役割分担的にある意味間違ってはいませんが、態度や言葉の端々に出ると感情面でかなり問題です。

深刻なのは本人はそれがちょくちょく出てしまっていることに気付いていない場合。自分の方が上と思っているならはっきり出した方がすっきりしていてまだいいです。それなら受け手側も立場上の役割を演じていると認識するので。端々からこぼれ落ちるパターンは”人として下に見ている”ととらえられます。

調理師たちの裏側

思い返してみると女性調理員は栄養士への愚痴がすごかったです。素直かつ愛想よく打ち合わせした後、栄養士が去ると凄まじい勢いで愚痴るなど。ただ愚痴の効果は大きく、栄養士に矛先を向けるというテクニックを使ってみんなバランスを取っているのでしょう。チーフ・社員は悪者を作り出して不満を逸らす、パートは上司の視線を逸らす、そうやって連帯感を作り出します。

でもなんでもかんでも文句を言うのかというとそうでもないです。やはり本当に仕事ができる栄養士の場合は裏で文句が出ることもなく、むしろいないときこそ褒めていたということもあります。そういう栄養士は確かに献立のバランス感覚や現場への配慮やスタッフたちとのコミュニケーションなど全部がバランスよくできていました。もちろん年齢的にもベテランです。

あとは献立をとにかく楽にする、ルール順守も適当な栄養士は調理師から悪口は言われないです。でも当然会社や同僚栄養士、喫食者からの評価は低いものになります。

経験浅でどのみち完璧は無理という場合は、調理師から文句を言われているくらいがちゃんと仕事している証拠かもしれません。

では最後に栄養士の向き不向き、調理師目線バージョンです。

栄養士の向き不向き

栄養士の向き不向き。笑顔と泣き顔の対称。

とりあえずパッと思い浮かんだ栄養士に向いてない人です。

  • 気が弱い、繊細過ぎる
  • 完璧主義(総合的なバランスを重視できない、一つのことに執着する)
  • 任せられない(ある程度調理師を信頼できないとだめ)
  • 対人関係が苦手、折衝が苦手という意識がある

とはいえもともとこういう性格だとしても努力次第です。新人栄養士も複数人見てきましたが、どうも後天的に身につけていく要素は多い気はしました

では向いている人は?

調理師目線からですが栄養士に向いている人を考えてみました。4つです。

なおここで言う”向いている”とは、栄養士としていい仕事をするという意味ではなく、うまく立ち回れるという意味合いのほうが強いです。教科書的な「よい栄養士」の条件を私が書いても意味ないので、現場のリアルな調理師目線つまり泥臭い視点に焦点を絞ってみました。

1.気が強い、打たれ強い

現場にいた調理師目線だとやはりこれです。気の強さ、打たれ強さ

強く言う時は言わなくてはいけませんし、反発にめげてはつとまりません。

また”調理師たちはとりあえず文句を言う生き物”ということを割り切れないときついと思います。

仮に打ち合わせで笑っていても影ではボロクソというのも調理師の立場で嫌というほど見聞きしてきました。それに対してたいてい一人で向き合うことになるので、全く気にしない、孤独感を感じないといった人は向いています。どのみち調理師は仲間内で愚痴だらけなので、誠実に向き合おうとしすぎないという考え方もありです。職場の外で思いっきり吐き出したらいいと思います。

もっともいろんな人を見てきた経験的に言うと、栄養士を続けている人は後天的に気の強さや打たれ強さを身につけていく印象はあります。ですのでもともと気が弱くて繊細とかでも栄養士の仕事が好きなら大丈夫と思います。優しくて責任感が強いという人はため込まないのも大事です。

2.優先順位をつけて妥協できる適当さ

栄養士の仕事は多岐にわたります。

  • 献立作成・栄養計算
  • 発注・原価計算
  • 現場の監督・指示、衛生管理
  • その他もろもろの帳票類の記入や管理
  • 食育関連の書類作成や指導
  • アレルギー食やその他特別食対応関係
  • その他喫食者への指導
  • 毎年のイベント関連

調理師としての目線ですがパッと思いつくだけでもこれだけあります。

栄養士業務はミスが少ないというのが大切かと思いますが、完璧主義だと疲れ果てて致命的なミスになりかねません。

適当な部分は適当でよし(良い意味で)、という妥協をして優先順位をつけられないと多分しんどいでしょう。※もちろん安全面の重要ポイントなどは妥協してはだめ。

ちなみに私は調理師ですが学校給食以外の業界で献立作成や新メニュー開発、発注など一通りの経験があります。常に情報収集や勉強が必要なこと、ミスできないプレッシャーなど大変さがよくわかりました。

3.各方面の満足度をバランスする感覚がある

上で書いた通り栄養士の業務は多岐にわたります。

それだけ多くの人や団体と接するので、バランス感覚が重要かと思います。

会社と喫食者と調理現場。これらの満足度はある意味トレードオフなので現実的な妥協点を見つけて均衡が取れないといけません。まずはその辺を肌感覚で感じ取れるアンテナがあるかです。そしてうまいこと徐々に調整できること。

私も数人の新人栄養士を見てきました。対人関係のバランスを本能的にわかっているような人はどことも大きな摩擦を起こさず溶け込みます。新人の評価は「実力ではなくただの好感度で決まる」ということを知っている人とも言えます。

実際仕事ができないわけではないのに、何かとバランスを欠いて周囲との人間関係が悪くなっていった新卒管理栄養士を2人見てきました。2人とも一人っ子でした。一方兄弟が多い若い栄養士でそのへんが上手い人もいました。

兄弟の有無はたまたまかもしれません。ともかく「今こっちの満足度が下がっているから今回はこっちに比重を置こう」みたいなことができる人だと、仕事が完璧にできなくても周囲からサポートを得やすいです。そうやってどこからも”できない人”認定をされないように立ち回っていれば、年数を重ねて実力がつき、いつの間にか本当にできる人になります。

4.苦手が少ないこと

栄養士の仕事は多岐にわたるので、ある仕事がとても得意でも苦手があるとそこが足を引っ張ってしまいます。

  • 数字の処理
  • その他書類など事務処理・PC
  • 一定の文章力や発信力
  • 対人コミュニケーション全般
  • これらを並行できるマルチタスク能力

得意不得意があるのはだれしも同じですが、決定的に苦手な項目がないことは大事そうです。

苦手は捨てて得意を伸ばした方がいい職業もありますが、栄養士はたぶん逆なので。ちなみに最も難しい職業とも言われる宇宙飛行士の選抜試験では”弱点がない人”が一番らしいです。”いろいろ得意な人”ではなく”弱点がない人”という考え方なのはおもしろいなと思いました。栄養士も一人で全部をやる必要があるので決定的な弱点がない人が向いている気がします。

あとは結局年を取ること、年数が経てば自然と身につくスキルや経験が多いです(新卒~超ベテランまでいろんな栄養士と仕事してきた経験的に)。続けてさえいれば時が解決してくれる部分が多いのだと思います。

まとめ

給食現場の調理師から見た栄養士まとめです。

調理師から見て栄養士大変だなと思っていた点

  • 基本一人で調理師軍団と対峙しなければならない
  • 業務範囲が広い

栄養士と調理師の仲の悪さについて

  • 現場に余裕がない、管理する側⇔される側という構図(意図的な仕組みなのでそれで健全)が根本理由。
  • 調理師はやる気不足な人が多いのも主な原因
  • 栄養士は潜在的に調理師を下に見る傾向があると難しい

栄養士に向いている人

  • 現実的にはある程度大雑把で気が強い方が向いている
  • いろいろな方向からの評価、バランスを感じ取れるアンテナと調整能力
  • 苦手がない人は向いている、得意を伸ばすより苦手をつぶすことを優先できる人

調理師しかやっていないのに栄養士について書いてしまいましたが、だれかの何かの役に立てば幸いです。

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