転職回数が多くてよかったこと

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退職届を出す人。

私は転職回数が多く、約20年で軽く二桁です。だいたい2~3年が多いですが、半日や二日、一週間など超短期間で辞めたところもあります(バイトなどではなく正社員雇用)。※へんな自慢ではなく問題がある自覚はあります。

飲食や調理の世界では転職が多かったり超短期で辞めたりは少なくありません。でも業界基準で考えても私はかなり多い方かと思います。

一般的に転職回数が多すぎるのはマイナスです。雇用する側から見てももちろんそうですし本人にとってもです。それについて書いても当たり前すぎる内容で意味がありません。

というわけで、この記事では「転職回数が多くてよかったな」と思う点をあえて挙げてみたいと思います。

記事の内容は調理師かつ独身という条件なので、一般の大企業で家族持ちといった条件の方には理解不能な内容が多いと思います。

目次

転職回数が多くてよかったこと2点

意外にも転職回数が多くてよかった点はたくさんあります。いろいろ書きすぎてもわかりにくくなるので二つに絞ります。

一番は、はじめての集団に入っても動じなくなったことです。場慣れとも言えます。

私はもともとはあがり症ではじめての場所や人の中ではド緊張するタイプでした。それがあまりにも転職を繰り返したせいで初出勤でもまったく緊張しなくなりました。当然職場に順応するのも早くなり、3日も経てば「もう何年もいる人みたい」などと言われるようになりました。むしろ馴染みすぎて調子に乗っていると思われそうなので、意識してセーブしないといけなくなりました。

関連して、初対面の人への適応力も格段に上がりました。ここでの適応力というのは、その場しのぎではない中長期的な関係構築まで視野に入れたそれです。例えば社内の役割とは別の上下関係を作ってきそうなくせ者にはあえて反撃の可能性をにおわせておくなどです。またすぐにパワーバランスを見極めて立ち回るのも自然にできるようになりました。肩書ではなく事実上の影響力を見定めていち早くキーマンを押さえるということです。こういった点ではどうやら腹黒くなってしまったみたいです。

もっとも上記のような点は、転職を繰り返さなくても年齢を重ねれば相応になってくるのかもしれません。でも仮に1~2か所にずっと勤めていたら、今の自分より適応力において劣る自分だったのは間違いないと思います。

二番目は、面接で実態をけっこうつかめるようになったことです。

いわゆる普通の人生を送っている中年は「面接→実際の勤務」という流れをそうそう経験するものではないと思います。入社後のギャップで困る人も少なくありません。

いっぽう転職が多いと面接→実際の勤務というサイクルをたくさん経験し、そのギャップが限りなく小さくなってきます。これは理屈で説明するのは難しいのですが、面接の雰囲気・言葉の端々などからより多くの情報をキャッチできるようになったからかもしれません。適切な質問や探り、駆け引きなどもできるようになったからかもしれません。中小企業なら面接官とのやり取りから社長のくせや人物像なども推測できるようになりました。

もっとも私の場合、単に職種がほぼ一貫していたという要素はありますが、ともかく入社後のギャップというのはほぼなくなりました。

「じゃあなんで辞めるんだ」と突っ込まれそうですが、辞める理由はだいたい入社時点で想定内。自分の中で妥協して入社したもののやはりそこが問題で…というような感じです。転職を繰り返して年齢を重ねると贅沢言えなくなってくるので、「たぶんこうなんだろうなあ…」という懸念を重々承知の上で入社するしかないのです。

転職回数が多くて悪かったこと

記事タイトルは「転職回数が多くてよかったこと」です。でもやはり悪かったことのほうが多いので書いておこうと思います。※「転職が多いのはよいことだ」と言いたいわけではないので。

すでに先の見出し終わりでネガティブな方向に入り始めてしまいましたが、転職回数が多いことでのマイナスはたくさんあります。もちろん「採用されにくくなる」といったわかりきったこともその一つです。また親族など身近な人からの信用(安定感という点で)も減っていきます。

でも一番大きなマイナスは内面的なもので、やめ癖・逃げ癖がつくという点です。これは仕事以外にも波及します。やはり一事が万事で、何をやっても継続力がなく、障害があるとすぐに挫折する人間になってしまいました。もともとそういう性格だった気もしますが、転職経験によってエスカレートしてしまった実感が確かにあります。

以下どんな感じで転職癖がついてしまうのか書いてみます。

まず転職を重ねるほど、慣れによって必要な労力がどんどん少なくて済むようになります。普通の人は退職や再就職活動、そして転職後の労力を大きく見積もります。その結果些細なことでは動かないという判断になります。でも転職がまるで通常業務のようにこなせるようになってしまうと完全に逆転します。

「このストレスに耐えるくらいなら転職(という毎度の業務を)したほうがいいか」となります。私の場合「転職にかかる労力は10時間」などと見積もっていた頃もありました。つまり求人閲覧→応募→面接→入社手続きといった一連のことです。普通の感覚なら、転職について「業務」や「それにかかる必要時間」という考え方はしません。でも実際に転職が癖になるとこうなります。10時間というのはブラック企業にいれば1日以下の労力なので、結構些細なことでもすぐに具体的な行動に移るきっかけになるわけです。

転職によってやめ癖がついたのか、やめ癖によって転職が増えたのか…。いずれにせよ、このマインドは仕事以外にも人生レベルで波及してしまっています。

今は自分のこの欠点を改善すべく努力していますが、一度こうなってしまうとなかなかしんどいです。継続すること、困難を乗り越えること、これらは仕事に限らず人生で最も大切な点の一つです。※なお「逃げ足のはやさ」というパラメータはすでにマックスです。

転職における「無敵の人」の向こう側

会社を辞めることが決まった人は、いわゆる「無敵の人」になると言われています。転職における無敵の人とは「どうせ辞めるのだからもうその会社でどう思われようが関係ない人」です。中にはかなりいい加減になる人もいますが、まあ少なくとも非常にラクな気分で残りの期間を過ごせるわけです。私も何回も味わってきました。

確かに会社を辞めるというのはある意味気持ちがいいことです。なんとも言えない解放感があります。最初の頃は今思えば不謹慎なほど最高な気分だった記憶もあります(あ、心が解放されただけでちゃんと仕事はやりましたよ、マジメというよりビビりなので)。

たださすがにこの気持ちよさには限度があって、片手を超える頃には別に気持ち良くもなくなってきたことに気づきます。ちゃんと一周回って、すぐ辞めることへの申し訳なさや自尊心の欠如の方が強くなったりします(本来こちらが健全)。

無敵の人を何度も味わって、その快感が減衰していき、そしてマイナスへといたるという経験をする人はそれほど多くはないと思うので書いてみました。無敵の人の向こう側、ある意味「罪と罰」的なメカニズムというかそういうものを感じます。

転職直後にスムーズに馴染むコツ

結局記事の中盤からちょっとネガティブな内容になってしまったので、記事タイトル(転職回数が多くてよかったこと)に戻って終わりにしようと思います。

私が一番大事にしてきた、転職直後にスムーズに馴染むコツについてです。

名前をいち早くおぼえて呼びまくること

極端な話、最初は仕事覚えなくても名前だけは覚えるくらいの勢いです。

人はいち早く自分の名前を覚えて呼んでくれた人を無下にはできません。それはどんなに相性の悪い人でも癖の強い人でも一緒でした。

また「名前をすぐに呼ぶ人=コミュニティにおける将来性が高い人」という直感は誰でも持っています。つまり初日から全員の名前を呼ぶ人は仕事の出来不出来に関わらず一目おかれます。

なので初日からとにかく全力で人の名前だけは覚えて呼ぶようにしてきました。これは職場に溶け込む上でもっとも効果が高いと思っています。

初めての場所や仕事だとついつい「すみません」と話しかけてしまいがちです。これを原則禁止しています。まあやむを得ない場合はとりあえず「すみません。これ…」などと質問したりしますが、その直後に必ず「あ、お名前…」と聞いて頭に叩き込みます。次に呼びかけるときは必ず名前です。

職場に名前が載っている表などがあればとりあえず何さんが存在しているのかだけでも把握します。こうすれば実際にその人に会った時に「この人が◯◯さんか」という感じですぐに結びつけられます。

ちなみに覚える方法はよく言われる連想ゲーム的な感じです。例えば「大谷」さんなら心の中では「しょうへい」さんといった有名人作戦。他には「星」さんなら夜空のイメージを頭の中で描いてそれと結びつける、などです。

とにかく名前をいち早くおぼえて呼ぶこと、これだけは大事です。これを鍛えて習慣化したらどこに行ってもすぐに馴染めるようになり、はじめての職場が怖くなくなりました。まあそれが転職が増えてしまった要因の一つだと思うと複雑ですが。

ちなみに名前を覚えて呼ぶのは全力で早かったですが、忘れるのも超早いです。ひどいと半年前の職場の人の名前をほとんど思い出せなかったことがあります。顔は思い出せるんですが…。まあこういう薄情な人間でも努力すれば名前って覚えられるんだよってことで。

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