これまで調理・飲食業界に身を置いてきて数々の精神論を聞かされてきました。
社内報の社長コーナーとか、マネージャーなど管理職とか、息を吐くように精神論ワードをそこらじゅうに漂わせます。
またひどいところは面接でやばそうだとわかるワードを出してきます。
この記事では思い出せる限りで精神論ワードをまとめてみました。
代表的精神論
まずは基本の精神論。
一流の〇〇
一流の会社内で、あるいは一流を目指している集団に対して語るのならわかる。
どう考えても何流とか興味すらない時間や契約で働いている人間に言われても反応に困る。
「はい!(大きめ)」か「はい、そうだと思います!(真顔)」とかでかわすのみ。
セットで出てくる言葉:心構え、覚悟、夢を持て、分かれ道
そういえば「一流」へのあこがれが強めの先輩方も2人ほどいました。特定の師匠や目標にしている有名料理人を一神教における「神様」扱い。尊敬するのは構わないけど「その人が絶対」みたいな妄信レベルになっていた気がします。
根性が足りない
根性、発奮、努力。足りないのはほんとにそれなのだろうか。
新人が嫌になったり辞めたりする問題の本質を完全に無視。
まあこういう思考をしていないとやってられない世界なのはわかります。
そういえば面接時点で「根性」という言葉を2回くらい出されたところがあります。「根性があれば大丈夫」「最初大変かもしれないけど根性で乗り切れる」みたいに。
…半日で辞めました。根性ありませんでした。ちゃんと警告してくれていたのである意味良心的だと思いました。
仕事があることに感謝
飲食の上の人たちは何かにつけ「感謝」というキーワードが大好き。
感謝は大切だし基盤…なのはわかる。問題は明らかに”押しつけ”つまり感謝の強要を感じること。
感謝は押し付けられてするものじゃない。せめて感謝したくなる気づきを与える形にしてほしい…というのは贅沢だろうか。
対象も「お客様やスタッフに感謝しよう」はまだいい、正論だしわかる。
ただ経営者の立場から降ってくる「今日仕事があることに感謝しよう」などは論外。こういうセリフが頻発するのが怖い。
ブラック自慢編
ただの精神論は中身が薄めなのでまだいいですが、中身があるブラック自慢はリアルに現状を肯定してさらに追い打ちをかけてくるのでたちが悪いです。
俺が修業した時代なんて…
「俺たちの頃なんてな…」。はいきましたー…ブラック自慢。
で済めばいいですが。
その過去を根拠にパワハラや長時間労働アタリマエにしないでほしい。
いやがらせする先輩に耐えてやってきた話とかするのは構わない。
それを問題提起や状況改善に役立てればいいのに、職場環境問題の矮小化や自分の頑張ってきたアピールにつなげるのが最悪。
まあ90%はここぞとばかりに自己アピールをしたいだけ。
人の三倍働け
「人の三倍働け」。三倍という言葉を抽象的に使って姿勢とか心構えとして語るのはまだいい。
やばいのは文字通り時間的な意味で言っている場合があること。
仕事の日は16時間以上(へたしたら20時間)+休みの日も自分でやれることやれば3倍…らしい。まあ本人がそれで幸せならいいんですけどこちらにおすすめしてこないで。
休みの日自慢もあります。私の記憶にある範囲では、
- 調理学校の講師…休みの日は一日中ウィンドウ越しに他店の職人の動きを観察していた。
- 先輩…デパ地下で片っ端から全部買いそろえて味見した。
何で「一日中」とか「片っ端から」とか言いたがるのか…話盛るのはほどほどにしてほしい。
根拠不明のエゴ
これはこれで困るって言うのが根拠不明のエゴ。
食至上主義
社長のありがたいお話とかに出がちな「食こそすべて」的な考え方。
曰く、人間は食べ物で決まる、食べ物で性格がわかる。
「好き嫌いがない人はまっすぐな性格だ」→はあ?
まだ可能性とか傾向ならいいです、実際そういう実験と結果などもありますし(食べたもので判断に差が出るとか)。
ただ人間が100%それで決まる的な表現されるとうんざり。
あと文脈とか言いたいことの本質を見ようとすると大抵ただのエゴなのが残念。
自己責任
ブラックな環境だと自己責任という便利ワードが多用される。
まあこの便利ワードはきっとどの業界でも同じ。いっぱい言われた気がする、適当な感じで。
正直私もこの言葉の本当の意味すらよく分かっていない。そして後輩とかに発していたかもしれない(だとしたらごめんなさい)。
ただこの言葉が出るときにはその物事に真剣に向き合っていないことはほぼ確か。
いっそもっと正直に「自由にやってみていいよ。ただ私は責任は取らないよ」って言えればいいのに。
でも実際問題が起きたらどの程度当人が法的な責任を負うのか、自己責任という謎の許可を出した人間はどうなのか、だれも知らない気がする。
経営者目線で考えろ
ブラックな会社で出てくる「経営者目線」。これはつまり従業員目線ゼロの人の言葉。
普段はそうでなくても、この言葉を発した瞬間のその人は従業員目線は限りなくゼロに近くなっている。
いろいろとちょっとバランス欠いちゃっただけなので真に受けなくていい。
言われても「いや私経営者じゃないし将来1%も目指してないし…」
そしてなぜか経営者やったことないはずの最近昇進したにわか若手上司が発したがる。
言いたいことはわかるけど自分の立場と言葉を選んだほうがよさそう。※言いたいことはわかる…「なるほどあなたは将来経営者になりたいのね」。
どこに行っても同じ
「どこに行っても同じだぞ」。
まあこれも業界に関わらず「辞めます」といったときの定番。
記憶にある限りでも3人からは言われましたので実際にはもう少し多いかも(慣れてスルーしちゃうようになったから)。
王道すぎるので解説は省略…と思いましたが一つだけ。
これを言う人はこちらの事情や理由を1ミリも汲もうとはしない。ですのでそもそも何について「どこでも同じだ」と言いたいのか全くわからなかったです。
まとめ
飲食ブラックでよく聞いた精神論キーワードをまとめてみました。もっとも私の経験は5~20年以上前なので現在は改善されているのかもしれません。
また必ずしも調理や飲食業界特有というわけではなく、どの業界でも会社や上司によっては飛び出すワードも多いかと思います。ただ私の場合は調理→Webに行ったら全く耳にしなくなったので、調理や飲食業界にこの点で強い傾向があるとは感じています。
ブラックワードはある意味ラク
2業界を経験して思うのはブラックワードは受け流しさえできれば別にきつくない、という点です。20代のころは心の中でいちいち反発していたのでスルースキルがなかったなあと思います。
Web業界では飲食業界のような中身のないワードを投げられることはありません。でもその代わりリアルな結果と理詰めでの指摘が多いのでそれはそれで大変です。
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