「調理補助」ってどんな仕事?大変?料理ができなくても大丈夫?

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エプロン姿で大量のフルーツを切る。

求人の、特にパートの仕事などを見ていると「調理補助」という呼び方で募集がたくさんあります。

これって一度中の人になってしまうとすぐにイメージできますが、一般の人にとってはよくわからないというかけっこうなぞな言葉ですよね。私はなぞでした。

調理師資格をとって20年、ほとんどを調理業界で過ごしてきました。

ということで「未経験だけど応募してみようかな」という方に参考にしていただけるようにまとめることにしました。

目次

調理補助とは?仕事内容を具体的に説明します。

調理補助とは、料理のための準備、下ごしらえ、後片付けなどをする仕事です。基本的には料理はしません。

もうちょっと言うと料理のメイン部分はしません。といってもまだピンときませんよね。だって厨房で働くのに?

ということでもう少し具体的な話を。

イメージしやすいようにまずは家庭で料理する場合を思い出してみましょう。実は無意識にやっている、調理補助的な作業は多いです。

食材の洗浄や準備、皮むき、かんたんな盛りつけ。あるいはハンバーグの種を一人分ずつに計量して丸めて鉄板に並べる。

調理補助という仕事もこれと同じです。広い意味では料理していますが、あくまで料理のメイン部分ではないです。

作業として意識していない料理工程は多い

家庭と調理補助の仕事で違うのは量・大きさや求められるスピードです。

例えば「肉がパックに入っているので空ける」。家だと一瞬で終わりそうですが、何百人分とかの現場だと結構な一仕事です。

例えば業務用冷凍鶏肉とかだと最低2㎏パック、それを何十袋とかだと人によっては力仕事と感じるかもしれません。

あとは「使い終わったボールを洗う」。こういうのも業務用は大きいですし数もたくさん使います。

また「冷蔵庫から必要な食材を取り出す」。家でも地味に面倒に感じることないでしょうか。特に疲れているときとか。これも業務となるとさらに「一仕事」な感じになります。

家庭用レシピでも「にんじんをせん切りする」、これは工程として書いてあります。でも「にんじんを冷蔵庫から出し、必要な分だけを残すようにカットして、使わない分は冷蔵庫に戻し、使う分だけ洗う」という前準備はレシピにも書いてないです。業務だとここが大変です。

量が少ないと意識しないけれど大量になると実はたいへんなことってたくさんありそう。

例えば芋の皮をむく、一人分ずつ丸めるとか。

なおどこまでを「調理補助」がやるという定義はありません。とくに洗い物や配膳などはそれ専門の人がいることもあれば、兼任のこともあります。その現場の体制・方針・事情によります。また実際明確な線引きをせず、調理師・料理人が自分でやっていることも多いです。

調理補助がやらないこと

こんどは逆に調理補助がやらないことをみていきましょう。

  • 包丁作業(特に技術のいるもの)
  • 加熱(煮る、焼く、揚げる、炒めるなど)
  • 味つけ・味の確認

「調理補助」を募集しているということは必ず「調理」をする人が別にいるという意味なので上記のようなことは原則はやりません。

ただ実際にはやることが多いです(つまり例外が多い)。例えば以下のようなこと。

  • 野菜のカットをする
  • 揚げ物担当としてフライヤーをやる

なんだかんだで包丁を使うことは多いです。簡単なカット、大量に同じ形にするなど。もっとも包丁を使う時間が長かったり、技術が必須の場合はたいてい求人票に書いてあるとは思います。あとはピーラーを使って皮むきとかは調理補助でもよくある仕事内容の一つです。

加熱作業をやるということも少なくはありません。特に揚げ物や焼き物、炊飯など。揚げ・焼きが多いのは業務用の機械なら安心ですし、時間なども計れば大丈夫。つまり料理経験や技術はほぼいらないからです。

逆に微妙な火加減やタイミング、味の加減が必要なものは調理補助ではほぼやりません。

調理補助は料理ができなくてもできる?

調理補助は料理ができなくてもできる仕事ではあります。

私自身いろいろな職場でたくさんのパートさんと仕事してきましたが「料理は嫌い」と言う人でも調理補助として仕事ができる人はたくさんいました。むしろそういう人のほうが淡々と効率を追求してテキパキしていたりすることもあります。調理補助の仕事で求められるのは、料理スキルというより連携プレーでの段取り力や繰り返し作業のスピードなので。「料理」というより「作業工程」的な考え方ができる人はいいです。

ただある程度料理経験があったほうがよいのは間違いありません。調理知識や段取りのイメージがあったほうが覚えたり先を読んだりできるからです。もっとも家の料理と業務用の料理はまったく別物な面もあります。

料理が好きか嫌いかというよりは「人から要領がよいと言われてきたか」の方が関係があると思います。

とりあえず応募したほうがわかることが多い

いろいろ説明してきましたが、結局のところ調理補助の具体的な仕事内容はその現場を見ないとわかりません。

未経験者の場合特に言葉のイメージとリアルが合致しないこともありそうですね。

ですので求人票を見て「よさそうかも」と思ったら、とりあえず応募してしまい面接でできるだけ具体的に聞くのもいいかもしれません。

特に厨房を見せてもらうことができればイメージがわいてくると思います。

調理補助の仕事になじめるかどうかは、仕事内容よりも現場の雰囲気や人間関係によります。大事なのは圧倒的に仕事内容よりも環境です。

面接に行くことで店の雰囲気(たいてい面接場所になるのはその現場)、責任者の人柄などがわかります。

調理補助のやりがい

調理補助のやりがいってどんなことでしょうか。

3つ挙げてみました。

料理の作業がはやくなる

調理補助では料理のメイン作業はやりません。ですが料理が上達することがあります。

例えば

  • 包丁を使うのがはやくなる
  • 食材の下処理のコツがわかる
  • 揚げ物などが得意になる
  • 盛り付けがはやくてきれいになる

大量に毎日続けることでのメリットです。

プロ仕様に触れられる

プロの現場というのは

  • 食数と規模
  • 器具・機材
  • 業務用食材
  • 料理人のスピード・テクニック

など家庭とはぜんぜん違うものがあります。

こういったことは料理教室に行っても学べないですし仕事場でしか身につけられません。

人に喜ばれる

やはり食べる人が喜んでくれるというのはやりがいになります。

直接お客さんの顔が見られる職場ならば反応がもらえるのはうれしいものです。

きっと「おいしかった」「ごちそうさま」というのは何百回聞いてもうれしいものですよね。

もし反応があまりわからない職場でも、食という絶対必要とされている仕事であることがやりがいになります。

調理補助の大変さ

調理補助に応募する前に以下のことを知っておくといいかと思います。

「料理が好き」「料理が得意」「料理は慣れている」から大丈夫とは限りません。

覚えることが多い

多くの新人の方を見てきて最初にみんなつまづくというか大変そうなのが「思っていたより覚えることが多い!」ということです。

家庭なら簡単な雑用的なことも慣れない職場でこれをやるのはたいへん。

よその家で料理をするとしたら…と想像するとわかるかと思います。料理作業以外の部分(器具の場所、その家特有のルール)のほうがたいへんそうですよね。

特殊なルール・細かい対応が必要な職場、例えば介護や病院だと特にそうです。またこだわりが強いボスがいる飲食店などもそうです。

時間に追われる

基本的に厨房というのは戦争状態です。とにかく開店や提供時間に間に合うように手早くすすめることが何より求められます。

ただ逆に言うとメリットでもあります。時計を見て「まだこんな時間か…はやく終わらないかな」となることはありません。

「やばい…もうこんな時間だ」←これのエンドレスだったりが多いです。

寒い暑い

基本的に厨房というのは快適じゃありません。

はポジションによっては外よりも暑いし、当然湿度もやばいです。これからの時代熱中症も今まで以上に増えるでしょう。

は火の近く以外は基本寒いです。特に野菜の下処理などは水なので手が冷たい冷たい

家庭のキッチンでの作業をイメージしているとショックを受けるかも。

腰痛、手荒れなど

まず立ち仕事なので最初脚が痛くなりますが、慣れればそこまできついと感じることはないと思います。

問題は腰痛と手荒れ。

厨房では重いものを持ったりかがむことが多いので、長くやっているパートの方はたいてい腰痛でした。

また冬の手荒れも当たり前。

人間関係

最後に持ってきましたが人間関係。これが一番ネックです。

チームプレーですし、厨房はクセの強い人がたいてい一人くらいはいます。

もっとも職場によって運不運もありますし、あまり心配しすぎても仕方ありません。

ただストレスになる人が一人以上はいるという心構えで入ることをおすすめします。

調理補助に向いている人

最後に私が思う調理補助に向いている人です。

協調性が高い人

大変さのところでも書いたように調理現場というのは人間同士の関わりが濃いです。

チームワークなので個人として能力が高いだけではつとまりません。

いろんな人がいろんな独自ルールを作っていて、小さな派閥みたいな感じとかもあります。

そういう中で社員や同僚とうまくやれることが必須です。

テキパキしている

てきぱき動けること。厨房はどこでも時間との戦いなので協調性と並んでこれも重要です。

人手も余裕はなくぎりぎりで回していること現場がほとんどですし、マイペースと言われる人にはおすすめできません。

臨機応変な人

先を読める人とも言えるかもしれません。

小規模な店などは特にそうですが、たとえ業務の範囲が明確な大規模調理でも臨機応変に動ける人というのは喜ばれます。

やはり厨房、調理現場というのは細かい部分で毎日つねに状況が変わりますので。

料理が好き

せっかくやるなら興味のないことよりは好きなことをやったほうがいい。

だから料理が好きで少しでも関わっていたいなら調理補助はいいと思います。

でも実をいうと料理が本当に好きな人は幻滅したりすることもあるかも。

職場によってはこんな業務用食材があるのか(作ってなかったのか)ってなったり、こんな適当でいいのかなあ…となったり。

【補足】調理補助とキッチンスタッフ、調理スタッフは違うの?

調理系のパートアルバイトを探していて「調理補助」と一緒にこんなのも見かけるんですけど!?

  • キッチンスタッフ
  • 調理スタッフ

あれ?調理補助となにが違うの?と思いますよね。

経験がある人ならその店や業種業態から実際の仕事内容を思い描けることもありますが、未経験だとまったくイメージできません。

ざっくりなイメージだとこんな感じです。

  • キッチン(調理)スタッフ…加熱作業など調理のメイン部分も行なうがマニュアル化された作業も多い。この記事で書いてきた調理補助的なことも含めて行う。
  • 調理補助…あくまで調理のメイン部分はしないことが多い。

キッチンスタッフ」で多いのは、大手チェーンの飲食店など。これはイメージしやすいと思います。味や品質などを均一にするために工場で一括調理しておき、店舗では仕上げのみといったケースも多いです。

一方「調理補助」は給食・食堂系、また個人経営の料理店などが多いです。ですので生の食材の下処理や大人数に対応するための配膳作業などが多くなります。

※ただあくまで上記のようなニュアンスで使われることが多いというだけです。あまり言葉にこだわらずに求人内容を読みましょう。

求人票にどんなことをやるのか具体例を書いてあるところは安心感がありますね。

個人的にも「調理補助全般、その他」とか書きなぐっている小さな店とかは不安感しかない…

特に個人経営の店などはニュアンスがあいまい?

同じ「調理補助」でも給食や食堂系は業務範囲が決まっていることが多いです。母体が大手だったりすれば特に。

でも飲食店、特に個人経営の場合まずオーナー側がどういうニュアンスで「調理補助」という言葉を使っているか微妙なことがあります。

実際他のスタッフとの兼ね合いや本人のやる気・能力で柔軟にやってもらおうと考えていることが多いです。この場合「補助」のはずが意外とがっつり料理のほうをやらせてもらったり(やらされたり)、反対にずっと洗い物を担当することになったりとか、いろいろです。

あとは時間帯でやる作業が決まるというのは多いです。

まとめ

調理補助の仕事内容↓

  • 下処理、下ごしらえ、片付けなどが中心。包丁は使うことが多い
  • 味つけや重要な加熱作業などは基本的にはやらない

調理補助のやりがい↓

  • 料理の作業がはやくなる
  • プロの現場に入れる
  • 人に喜ばれる

調理補助の大変さ↓

  • 覚えることが多い
  • 時間に追われる
  • 寒い暑い
  • 腰痛、手荒れなど
  • 人間関係

調理補助に向いている人↓

  • 協調性が高い人
  • テキパキしている
  • 臨機応変な人
  • 料理が好き

調理補助と調理スタッフ↓

  • 調理スタッフやキッチンスタッフはシステム化されたチェーン店などが多い
  • 一方調理補助は給食系や食堂系、個人の店が多い=大量・手作りの比率が高いかも
  • でも明確に使い分けられていないので求人内容をよく見たほうがいい
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