【イベントでの大量調理】1人分でも2人分でも同じ→だから100人分でも200人でも同じでしょ?とはならない理由

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量が増えると思っている以上に調理時間がかかる理由

イベントなどで何十人分~何百人分という量を手作りする機会があるかもしれません。

よく料理について「1人分でも2人分(や4人分)でも同じ」というのはよく言われます。作る時間や大変さについてです。

私は給食など大量調理の仕事をしていましたが、同じ論理で言われることがありました。「100食でも200食でも同じでしょ?」と。

結論は、全然違います。100食と150食、いや100食と120食でもけっこうな差なのです。

仕事で調理に携わる人以外は3桁や4桁の人数の量をイメージしづらいので、自分の体重くらいの量が倍になるとどれだけインパクトが変わるのかを伝えるのは難しいです。

なのでこの記事では調理の工程を分解するという形で、量と時間の関係について説明したいと思います。

この記事を読んでいただくことでこんなメリットがあります。

  • イベントなどで何十人~何百人分という量を手作りすることになった→時間と量を甘く見て失敗することを防げる
  • 手早く料理できるようになりたければ下処理(包丁など)を練習するのが一番ということを理解できる

なお私は一日数十食から3万食という規模まで幅広く経験しています。学校給食では数百食~3000食までやってきました。家では1人分~4人分くらい作ります。

目次

調理の工程を分解してみる

料理は大きく3つの工程に分けることができます。

  1. 下ごしらえ(材料を洗って切ったり、混ぜたりする)
  2. 加熱
  3. 盛り付け

ポイントは量が増えるほど1.下ごしらえと3.盛り付けが占める割合が相対的に増えるということです。

特に1.下ごしらえです。量が増えても材料を混ぜたり、調味料をはかったりする時間はさほど変わりません。ですが包丁を使う作業(皮むきや切る作業)や成型が必要なものは単純に×人数分の時間になります。

基本的には量が増えても加熱時間はほとんど変わりません。なので単純化して図にすると例えばこんな感じです。

比較グラフ。作る量によって下ごしらえにかかる割合が増えていくのがわかる。

1人分→2人分、100人分→200人分だと食数の増加率は同じ2倍ですが、所要時間の増え方は全然違うのがわかると思います。

加熱時間というのは食数が増えてもあまり変わりません。なので食数が増えるほど下ごしらえの占める時間が相対的に増えていくというしくみです。

また上図では盛り付け時間は短いですが、弁当などだと盛り付け時間の割合が増します。なので数が少し増えただけで時間が一気に増えることになります。

実際にはこんな単純なことではないのですがここではあえてシンプルにしました。

ちなみにプロの大量調理の仕事では機械を使うことも多いので、量が増えてもここまでの時間差は出ません。また当然一人で作業するわけではないので、上図なら下ごしらえ16時間分を4人で4時間などという形になります。

このような理由で学校給食でも500食の現場と1,000食の現場では全然大変さが違う扱いになります。2,000食の学校給食センターと3,000食のセンターもだいぶ違います。

同じく介護食の現場などでも100食と200食では全然違うのです。

ただし既製品を使う給食の場合は下ごしらえの時間がほとんどかからなかったりします。この場合盛り付け時間が一番重要になります。

手が遅いと差が広がる

なお手が遅い人ほど1.下ごしらえと3.盛り付けの時間が増える、つまり相対的な割合が増えます。

なので仕事場では食数が増えるほど仕事が早い人と遅い人の差が広がっていきます。

厨房では仕事が遅いと「段取りや要領が悪い」と怒られることが多いです。それもあるかもしれませんが、私の見てきたところでは、多くの場合手が遅いのが大きな原因です。

皮むきが5秒の差でも100個やれば8分以上もの差です。こういった時間の積み重ねは段取りのよさでカバーできる範囲を軽く超えます。

もしイベントなどでみんなで料理をするという場合、ベテランが一人いるだけで一気にスピードが上がります。

時間の計算や人数合わせも大事ですが、効率的な手の動かし方を指導できる人を各所に入れるのがポイントです。

1個2個という数もの

1個2個という数もの、例えばコロッケなどはちょっと話が変わります。

特に揚げ物など一度に加熱できる量が限られているものは2.の加熱するという割合も増加します。また投入したり引きあげたりする、つまり量の影響をダイレクトに受ける動作が多くなります。

もちろん成型や衣つけ作業なども大変です。

ということで数ものメニューの場合、少しでも量が増えるとイメージしている以上に調理時間が増えていきます。

ここまでで本題はおしまいです。

いったんまとめ。

  • 大量になるほど加熱以外の工程の割合が増える
  • 家庭の量と同じ感覚で食数の増加率と時間の関係を考えてしまうと、大量調理では誤算となる。

以下余談です。

作業者を多くすれば同じ?

ちなみに調理の仕事では、食数が多い現場や席数が多い飲食店ほど作業者も多くなります。

なので食数が多ければ人数も増えるので大変さは同じでしょ?という意見が出てくるかと思います(私も学校給食初心者の頃そう思っていたので)。

これはそうとも言えるしそうでないとも言えます。いろいろな作業を並行してやるのが大変だと感じる人にとっては、量が多くて一人が一つの作業だけをし続けるほうがラクでしょう。

でもふつうは「大変さ」とは体力的な面での大変さのことを意味することが多いので、ここではそれ前提にします。

体力的な大変さでは、単純に量が多い現場ほど大変です。

こんな理由です。

  • 同じものをひたすら切り続けるので疲れる
  • 鍋などで混ぜる量が増えるので重い
  • 盛り付けもずっと同じ動きをしていると意外と疲れる
  • ボールやなべなど洗い物も重い・大きい

人数が多ければ同じものを一人が切り続けないでみんなで一斉に作業する手もあります。例えば玉ねぎの皮を一斉に向いて、次にみんなで一斉に玉ねぎを切る、みたいなことです。でもこれはスペースの問題や時間効率の面からみて現実的には不可能です。その間にブイヨンをつくるなど、同時進行でほかの作業をする人も必要になります。

結局量が増えるとそれぞれが長時間同じ重労働をすることが多くなると。

なので食数が多い現場のほうが単純に大変なのです。

というわけで体力的な面から仕事を選ぶ場合、食数が少ない給食現場、席数が少ない飲食店を選ぶほうがきつくありません。

同時進行で1人でいろいろやるというのは最初大変そうにみえるかもしれません。ですが慣れてしまえばそのほうが断然楽なのです。

家庭の場合設備の限界が分岐点になる

この記事の内容から、家庭で数人分を作る場合はよほど切るのに時間がかかる初心者などをのぞけば、1人分でも4人分でもあまり差がでないことがわかりました。

ただし設備の限界を超える量になると話は別です。一般的なキッチンだと6~7人分になるとちょっときついかなと思います。

フライパンに入らないから2回に分けざるを得ない。オーブンで一度に焼けない。などの加熱に関する物理的な限界を超えてしまうからです。また下ごしらえにしても、シンクに必要な野菜をすべて出せないなどがあって地味にきついです。

なのでプロがプロ用の設備を使う場合「1人分でも10人分でもほぼ一緒」になることがありますが、家庭の場合は全然違います。

お母さんが運動会やホームパーティーなどのイベントで10人分とかを作ってくれたら、その分大変だったということで感謝しましょう。

手早く作りたければ包丁を鍛えるべし

料理上手というと、どうしてもフライパンの扱いや味付けなど加熱工程のところを思い浮かべます。もちろん完成度的に一番大事なところですし、そこで多くの差がでます。また2~3品を同時進行できることや段取りも大事です。家庭料理ではここが一番時間差がでやすいかと思います。

でも手早く作れるようになりたければ、やっぱり下ごしらえのスピードを速くするのが王道で近道です。具体的には包丁。この記事で見てきたように、包丁が遅いと下ごしらえ工程の割合が大幅に増えてしまうので。

しっかりと包丁づかいをマスターして手早く料理ができるようになりましょう。高価でなくてもいいので自分が使いやすい包丁を見つけるのも大切です。

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