【両方経験】学校給食調理員、自校式とセンター式はどちらが大変?

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給食センターと学校のイラスト。

学校給食の仕事をしたいと思う時「学校の給食室自校式)と給食センターは仕事がどう違うんだろう?どちらが大変なんだろう?」という疑問があるかもしれません。

この記事では両方の経験がある私がまずこんな疑問を解決します。

はっきり言ってどちらが大変なの?

次に以下の項目で実情を比較紹介していきたいと思います。

  1. 体力面
  2. 人間関係
  3. 仕事の内容

基本的にパート勤務を想定して書きますが、社員希望の方でも参考になるはずです。なお委託の場合です。直営(つまり公務員)の場合はどうなっているかは知りません。

※私自身は学校給食社員を2社で経験。4自治体。自校式給食室約2年(1現場)、給食センター約2年(3現場)です。

目次

給食室と給食センターどちらが大変?

最初に結論を言うと、基本的にセンターの方がいろいろとハードになる確率が高いです。

体力面、人間関係、仕事の内容。そのうちまず最初の2点でセンターはきびしいです。

  1. 体力面は量が多いから
  2. 人間関係はパートリーダーのもと小さなチームで動くから。

あくまで確率です。というのは給食室の働き方はどこも一緒ですが、センターのパートの働き方や仕事内容はいろいろなパターンがあるからです。

3.仕事内容については、給食室orセンター…どちらが大変とは言えません。主にその人の適性によるからです。

ではそれぞれについてもう少し詳しくみていきましょう。

体力面

体力面。学校とセンターのイラスト。

まず量が違うのでセンターの方が体力面での負担が大きいです。

私の場合自校式では約950食、センターではそれぞれ2000、2500、3000という数字でした。

950食の小学校というのはいわゆるマンモス校と言われるきつめの現場になります。昼休みもろくに取れませんでした。ですので応援で600~700食とかの学校に行くと昼休みどころか午前中に休憩まで取れるので天国に感じました。

でもセンターに行くとその950食の給食室ですら余裕に思えるようになりました。

具体的にどこが違うか

具体的にどんな風に違うのでしょうか。

自校式給食室と比べてのセンターの状況はどうなのか見てきましょう。

一つ一つの作業時間

センターのように数千食ともなると、一つ一つの作業時間が長くなります。2時間近くずっと玉ねぎ200~300㎏剥き続ける人、ずっとじゃがいもの芽取りの人、葉物を延々3層シンクで洗い続ける人、という感じです。

これらは想像以上にしんどいです。精神面もそうですが、腰や指など特定の箇所に負担がかかります。

すべての器具が大きくなる

センターのほうがボール、ザル、作業台などすべてが大きいです。

形も四角が多いです。コンテナみたいな四角いザル、大きめの番重を使うケースも多いです。積み上げないと下処理した食材や調理途中のものが収まらないからです。

※ただし洗い物については、器具類が大型の洗浄機で洗えるという利点があります。

重いものが増える

上の項とやや重複しますが量が多くなると単純に重いものが増えます。

基本的にすべての道具が大きいのでそこに食材などを詰めると重くなります。あまり小分けしていると仕事になりません。

片づけと洗浄

まず床面積の広さが桁違いなので掃除の規模感が違います。

またセンターはほとんどの切り方で機械を使います。大型の機械を中心に洗浄が大変です。シンクの大きさや回転釜の直径も全然違います。これらをだいたい同じ人が毎日繰り返すので体力的に重労働になります。

人数が増えるから一人頭の負担は同じ?

よく言われるのでこの疑問を解決しておきたいと思います。

食数が増えてもその分調理人数が増えるんだから一人一人の負担は同じじゃないの?

→ぜんぜん違います。

みんなで一斉に一つ一つのタスクを片付けていくわけではないからです。工場と一緒で量が増えるほど分業化が進みます。その結果同じ作業を一人でずっとやるパターンの方が多くなります。先にも書いた通りこれが精神的、肉体的にしんどいです。

大変さと食数という関係

給食の仕事は人によってきついだとかラクだとかいろいろな主観が出ます。

私自身のいろいろな現場や食数規模の経験から言うと、それはだいたい以下の要素によって決まります。上の2つは環境、下の3つはその人のバックボーンです。

  • その現場の食数 →数百食から数千食という幅によって労力は大きく異なる。
  • 人間関係の運不運 →これによって精神面が天と地ほど違う。
  • 人より体力があるかないか →もともと体力がないとかなりきつい。体力ありならシンプルな仕事。
  • 専門店や一般の飲食店経験があるかないか →修業経験がある人に言わせれば楽だし簡単。
  • オフィスワークの経験もあるかないか →座り仕事経験がある人は大変と感じるはず。

経験者以外からは軽視されがちですが、一番上に挙げた食数というのがかなり大きな要素です。おそらく500~600食の現場しか知らないと”給食ラク”ってなりますが、1000食近い学校に行くだけでもぜんぜん違う感じになります。

人間関係

人間関係。学校とセンターのイラスト。

センターの方が人間関係が複雑化して問題が起こりやすいと思います。いろいろな組織や運営の仕方があるとは思いますが、少なくとも私がいたところではそうでした。

まず自校式給食室は一斉に出退勤(例えば社員は6時、パートは9時など)、ローテーションでみんなまんべんなくいろんな仕事をやります。

給食室。社員とパートの人数(割合)。

一方センターだと出勤時間ごとに

  • 6時からのパートさんは下処理→掃除
  • 8時からのパートさんは調理補助→洗い物
  • 9時からのパートさんは配膳→掃除

というような感じで役割を分担していました。

それぞれに4~6人などでチームを作りパートリーダーを立てることになります。リーダーは基本的に「超強いおばちゃん」です。手も速いし要領もいいですが、遅い人や気に入らない人には容赦ないです。ダメ出しするのが趣味みたいな感じのリーダーも多かったです。

給食センター組織例。給食調理社員とパートの構成。

数人で一緒に同じ仕事をするので「あの人は遅い」だとか「進め方がおかしい」だとか出てきます。こうして小さな単位の中で人間関係が悪化したりいじめっぽい状態になっていくケースがあります。

構造上センター長や社員は細かく管理しきれない部分があります。給食では社員は基本的に調理に専念するということになっているからです。特に掃除、配膳、配送などは物理的にも目を届かせるのは難しいです。基本的に回転釜の前を離れることはできないのでパートリーダー頼みになります。

本来組織するなら社員の下にパートを置くという風にチームを作りたいところです。つまり下図。でもこうはできません。社員が配送や配膳や掃除にいってしまうと調理人数が足りないからです。

給食センターの社員とパートの構成図。こうはできない。

※実は私のいた会社では形式上はこういう組織図になっていました(社員→パートリーダー→パート)。ただ配膳係や配送係の長として社員を立てても調理中はまったく関与できないので形骸化(つまり全部パートリーダー任せ)していました。

一方自校式給食室はパートにチームなど必要ありません。下処理室の掃除1人、配膳2人といった単位なので閉鎖的な問題は起きにくいです。この当番は週ごとのローテーション等で公平にします。また狭いので物理的にもチーフの目がだいたい届きます。

また自校式給食室では目の届く範囲でみんなで一斉に動いている連帯感があります。一方センターはチームごとにバラバラの場所で、それぞれのタイムスケジュールで動くので連帯感に欠ける部分があります。仕事の役割分担や線引き、責任などの問題も起きやすいです。

なぜリーダーは「くせの強いおばちゃん」になるのか

クセの強いパートリーダーは、会社側から見ると安定の嫌われ役になって効率アップをしてくれるという面があります。いわゆる「いい人」を上に立てると下のパートさんと社員との板挟みになって心が持たなくなってしまうというのもありました。

また本当は優秀な20~30代の若いパートさんをリーダーに立てたいこともありました。ただそうすると40~50代たちが絶対許しません(従いません)。ただでさえ若いパートさんは目の敵にされやすいのに、リーダーになったら毎日反発がおこって大変なことになります。

そんなこんなで結局パートリーダーになるのは「ボス」的なおばちゃんばかりになります。

ちなみに男女比についても補足すると、パートについては自校式はほぼ100%女性です。一方給食センターだと男性パートも少数ですがそれなりにいます。やはり力仕事なども多いので活躍の場があります。

社員については、自校式だとやや女性の方が多めです。社員3~4人の現場が多いですが、うち男性は1~2人、場合によってはゼロです。いっぽうセンターだとほとんど社員は男性です。やはり回転釜の直径等も大きいですし、食材の重さもあるので男性がほとんどになります。栄養士はほぼ女性。

仕事の内容

仕事内容。学校とセンターのイラスト。

最後に仕事の内容についてどちらが大変かという点です。

給食室、給食センター、どちらの仕事内容が大変と感じるかはその人の性格等によります。

自校式給食室は最初覚えるのが大変です。一日の中で、切りもの→配膳→配缶→洗浄などのように一通りの仕事を担当するからです。

大抵週ごとのローテーションで配膳担当など変えていくので新人だと覚えるまでメモが必要なことも多いです。ローテーション制&約1時間ごとに違う仕事をするというパターン。こういう仕事の仕方がちょうどよいと感じるか、覚えることが多くて苦だと感じるか。

一方センターは最初に覚える負担は少ないです。毎日同じパターンを繰り返すためです。

例えば下処理係なら毎日下処理→その後調理室の掃除とかです。

同じような作業を毎日何時間もやるのが嫌と感じるか、単純な繰り返しのほうがラクと感じるか。

ということで仕事の内容についてどちらがきついと感じるかはその人の性格等によります。

まとめ

自校式給食室と給食センターどちらが大変か(主にパート)のまとめです。

総合的にセンターが大変な確率が高いです(あくまで確率なのはセンターの運営にはいろいろなパターンがあるから)。

  1. 体力面…センターがきつめ →広い、大きい、重い。同じ作業を長時間繰り返す。
  2. 人間関係…センターのほうが大変な確率が高い →少人数チームにパートリーダーを立てる方式がネック。
  3. 仕事の内容…その人のタイプによる →体力に自信があって繰り返し作業が苦にならないならセンターがおすすめ。いろいろやるほうがよいなら自校式給食室がおすすめ。
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