これまで給食系の仕事が長かったです。
学校、高齢者、産業給食、病院、保育園(応援)…転職が多いため結果的に広く浅く網羅してしまいました。
その中で給食系仕事全般について思うことを書いてみようと思います。
給食は飲食店より時間が経つのが早い
給食系のどこの職場でも必ず共通していたこと。それは「とにかく時間が経つのが早い」。
基本的に厨房というのは時間が経つのがはやいものです。常に時間に追われているから。そして人手もギリギリカツカツです。
でも複数の飲食店やレストランでの経験を思い出してみると、給食よりは遅かった気がします。
なぜ給食のほうが早く感じるのか。
給食は数時間後という長めのスパンで工程を進めていきます。これは学校でも病院でも、どこでも同じでした。
で、このスパンの中で動いているとその時間がまるっとセットで過ぎていく感じになります。つまり3時間や5時間があっという間。
しかも提供時刻は決まっていて後ろにずらせません。飲食店もピーク時間や団体予約に向けての準備では追われますが、そこまでかっちり時間が決まっているわけではありません。
給食のほうが時間経過が早く感じる理由はこれな気がします。
給食の仕事が好きというわけではなかったですが、それだけに仕事の時間があっという間に過ぎるのは良い点だったと思います。あっという間に年とった気もしますが…。
合わない人とチームを組むということ
給食はとにかく人と一緒に作業することが多いです。
当然仕事のやり方や性格が合わない人ともチームを組むことになります。
これが大きなストレスの一因になったことも少なくありません。
ただ振り返ってみると、自分と違うタイプと組んだ方が補完関係が成立してチームバランスが良かった気もします。単純化した例で言えば、スピード重視+ルール重視、数字重視+人の気持ち重視といった組み合わせ。チーム全体としてもこれの比率がバランスしているとよい。
ただ実際に現場でストレスを抱えていると、「人には必ず長所はある」といった視点を維持するのが非常に難しいです。定期的に自省したり客観視しようとしたり、こういったことも記憶にたくさんありますがストレスのほうが勝ってしまう…。
ちなみに人間関係のストレスがほぼ無いような職場もありました。ただ振り返ってみると、それは職場全体としてバランスを欠きやすいのかもしれないと思います。注意してくれる人がいないため潜在的な危険が増す、緊張感にかけ新人の成長も遅れる、スピードに偏りすぎて衛生や清掃がおろそかになる、といったことです。
協働が必須な仕事って大変です。
性格との相性は大事。自分で考えたいのか、ルールに従いたいのか
基本的に給食系はルールや指示に従うのが第一です。ただ職場によってルール重視の度合いは異なります。
ルールが重要な順。※個人的経験による主観。
学校給食>保育・ヘルスケア系>社食・産業給食系
私は後者ほど本質的な相性が良かったです。つまり自分の性格に合っていました。
産業給食系はレシピなんかないですし、調理手順も自由。調味も計量したりせずカンでやっていい。自分で考えて工夫する余地もあります。
仕事との相性はやりがいの点で重要です。同じ給食系のようでも、自分の本質的な性格と合わない仕事だとつらくなってくると思います。
それでも仕事との相性というのは人間関係ほど大きなウエイトではないです。合わない系の職場でも人間関係が良いなら〇。合う系の仕事でも人間関係がダメなら×。結局給食系で一番のポイントは人間関係です。
手のはやさと才能について
給食系の仕事では手のはやさが大事です。
自分で言うのもなんですが、私は手がはやいみたいです。どの職場でもそう言われてきました。
ただもともとの運動神経がよいとかではありません。努力したことは観察と分析でした。速い先輩を観察して、さらに手腕の動線を最短にできるか分析してみたり、違うやり方にしてタイムを計ってみたり。
そんなこんなでスピードや段取りは努力してそれなりに自信を持っていました。※給食系のスピードというのは高い調理技術がいらない作業のことです。
ただどうしても勝てない(勝負ではないし勝つ必要はないが)人がいました。同じ職場ではなく応援で来る人だったので、たまにしか一緒にならなかったのですが異常に速かったです。もはや生まれつきの天才レベルでした。
昭和のころ郵便局のはがきの仕分けが天才的に速い人がいたみたいですが、もうそういうレベルだった気がします。なにしろ一生かかっても一生やり続けてもその人には勝てない感じでした。一緒にやっていて、ついていこうとすると本当に焦りましたし無理でした。
反省しましたし、それ以降少しは謙虚になりました。それまではどの職場でも自分がほぼ最速なので周りの人を煽っていたこともありました。自分は観察や分析という努力でスピードを上げてきた=つまり努力すればだれでもこのくらいのスピードにはなる、といった独善的な考えも持っていました。
でも自分が一生続けても追いつけなそうなスピードの人がいる…。手のはやさって生まれつきの才能も大きいのかもしれない…。スピードには人それぞれの限界があるし、長所は人それぞれ。
給食業界はアナログ~IT化は急務
給食業界はアナログです。飲食業界と比較しても給食業界はIT化の遅れが顕著。
人手不足に対応するにはIT化は急務です。特に病院食や産業給食。
病院食で言えば、厨房ではプリントアウトした指示書にホワイトボード。つまり電子カルテ等とIT連携していてもそれは厨房の事務所で止まってしまっているのが大半です。それを厨房までつなげ、全体食数や変更の管理、治療食・形態食をおかずごとにぱっと一覧できるようにすることくらいはしたいです。大画面タッチパネルでもいいし他のデバイスでもいいので。スタッフは高齢化しているので、特に高齢パートスタッフは治療食や形態食の指示で混乱。指示書や一覧表を読めない人も少なくありませんでした。
産業給食も同じ。注文や変更などぜんぶ事務所で一旦ストップ、厨房にはアナログで伝えられる。これを厨房側とリアルタイムで共有すること。
これまでは人海戦術でなんとかなっていたし、そのほうが経営的にもよかったのだと思います。ただ今後の人手不足の加速を考えるとほぼ必須な課題な気はします。
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