バイトあるあるの一つですが「独自のローカルルール」を作る人たちがいます。例えば飲食系や調理系アルバイト。
「これはこっちに置いちゃいけないの!」「これをやる前にこれをやらなきゃだめ!」
新人が入ってきたときAさんはこう教えるのですが、Bさんはまったく正反対のことを言います。新人として「どっちなんだよ…」となるやつです。
これに対する私流の対応法を書いてみます。
私は調理系の現場経験15年以上。現場数で言えば軽く二桁です(転職や異動が多かったため)。副業でのアルバイト経験も多めです。その経験から書いてみます。なのでオフィスワークなど他職種では当てはまらないような例もあるのはご容赦ください。
絶対中立、流れに身を任せ、直接バトルさせる
同じ仕事でもAさんとBさんでは全く違う。しかも「こういうやり方があるよ」とかではなく、絶対のルールとして説明してくる。違うほうのやり方だと怒られる。どっちだ。
こういうときは、とりあえずその時その場にいるほうに従う、というのが私流です。
今教えてくれているのがBさん。仮に前日Aさんから正反対のことを言われていたとしても今日はBさん流にします。もし交互にAさん、Bさんと一緒になるならその都度コロコロ変えます。なお注意された際は「すみません」ではなく、淡々と「わかりました!」でOK。謝ってはいけません。
そんなんでいいの?と思うかもしれませんがいいです。こういうローカルルールってはっきり言ってどうでもいいレベルのことだからです。
でここからが本題で、その両者が同時に存在するときどうするかです。
自分の周りにAさん、Bさんが同時に存在するときは両者が直接バトルする構図にする。
自分の周りに両者が同時に存在するなら直接言い争うようにします。まあ争わせたいわけではないですが、勝手にそうなるので放置する感じです。
具体的な手順としては、まずは自分と物理的に一番近い方(あるいは仕事の性質上自分とコンビになる方)のやり方にします。ここではAさんとします。するとBさんが割って入ってきます。※入ってこないパターンは後述
この時大事なのは絶対にどっちの味方にもならないことです。
私的重要ポイント:両者バトル中は無言を貫く(自分にとっては客観的事実でも両者はそう取らない)
自分の中では中立のつもりでも発言した時点で偏りがでるので発言自体NGです。
例えばAさんに「昨日Bさんからこう教えられました」という事実を言っただけでBさんの味方をしていると取られます。なので一切何も言わず傍観します。なんなら「えっえっ」と戸惑う振りでもしていれば「やる気があるのに困っている人…」演出できます(心の中では爆笑)。大事なのは質問されたり詰められたりするまでは自発的に発言しないことです。まじめな人ほどこういう時に自分から口を開いて損しがちです(若い時の自分)。
ここで次のステージに進むことがあります。
Aさんから「昨日こう教えたよね!」などと詰められるパターンです。この段階になったら客観的な事実として発言します。「はい。ただ先ほどBさんからこう言われたのでこうしました。」「その後Bさんからこう言われたのでこうしたんですが…」これで通します。できるだけ困った感じが大事です。
Aさんに詰められたら「Bさんに言われた」で通す
どっちの味方でもないというバランスは大事です。例えばこの時は敬語は不要です。「Bさんからこう教えていただいたので…」とBさんに向けた敬語を使ってしまうと偏りすぎです。今作業的にもBさんに従っているからです。
このバトルでどちらか折れて決着がつくことはまれです。つまりうやむやのままAさんとBさんは解散になります。「まあいいや、自分で決めて…」とか捨て台詞で。※その後どうするかは後述(見出し「二者択一の場合の対応」)。
ちなみにここでどちらかがはっきり折れたパターンをはじめて見た時「へぇーこういうパターンもあるのか」と感心しました。
直接バトルはしないABの場合
厨房でのおばちゃん同士とかだと高確率で上のような直接バトルになるので割と簡単です。難しいのはそうならない性格同士の場合(陰湿で計算高い可能性がある)、あるいは仕事の性質上そうならない場合です。
この場合はAさん流でやっているとBさんが寄ってきて「違うよ」と言い、逆もまた然りです。
私の場合こういう時は無理やり対峙させます。もうその場でもう一人を呼んじゃいます。「今Aさんからこう言われたのですが、Bさんにはこう言われたので困っています。」以上!それ以外余計なことは不要です。
戦闘開始になっても参加しなければいいし、どちらかが「もうどうでもいいや」という感じで引き上げればそれはそれでいいです。いずれにしてもこれを一回やればこそこそ寄ってきて自分のやり方を主張することはなくなります。
私はこんな感じでのらりくらりやってきました。
ただたまにこれはどっちかに決めないとだめだろうという件もあります。直接お客さんに影響するとか、衛生面とかです。あるいは仕込みの結果として翌日に回ってしまう場合など。以下その場合の対処法です。
二者択一の場合の対応
どっちが正しそうか一応判断する
二者択一が避けられない場合。まずはどっちが正しそうか、そうやっている根拠を聞いてみます。
できるだけ直接的に質問しないで探り出すことです。ローカルルールを平気で押しけられるような性格の人に直接的に「なぜですか」とやると反抗的・生意気と思われるかもしれないからです。バトルのところでも書いたように「Bさんのやり方をするとこういう点で良いということですか」みたいに聞いておきます。またその場では決して全面的な納得はしないことです。そのフリをしてしまうと実際にはAさん流を採用したときにBさんが「裏切られた」と感じるからです。
私の場合納得できる理由がある方を選ぶことが多いです。
なお理由で「昔からこうやっている…」「これはこういうものだから…」は論外。もう片方に少しでも客観的に伝わる根拠があるならそちらが優勢です。「〇〇さん(店長やマネージャーなど)からこう指導された…」は微妙ですが同質です。はっきり言ってその指導の本質をつかめていないからです。大の大人が説明するときに具体化して理由を述べられないわけなので。元の指導をした人も適当に言っていたり、一案として提示しただけ…というケースも多いです。権威ある人が一つのやり方として提案しただけなのに、それが特定のパートの中で絶対ルールになってしまう、というのはあるあるです。
上は「考えずに言われたとおりに守る系」の人の話ですが、実際にはどちらにもそれなりの理由があるパターンも多いです。一長一短、甲乙つけがたい。この場合本人の主張以外に自分で気づいた理由があればそちらを選びます。
また単に自分に合っている方、自分にとって仕事がはやい方ということで決定します(実際には理由うんぬんよりこの選び方が一番しっくりくる)。
大事なのは実際にどちらの方法を採用するかではありません。AさんBさんの感情です。どちらの顔も潰さず、どちらの味方でもない。それを示せればいいだけで、その手段(儀式?)の一つが上で書いたバトルとその時の自分の態度です。
どっちに従うのが得かを見極める(怖そうな方に従うはNG)
ローカルルール争いはほぼ100%職位的に同格同士で行なわれます。まあパート・アルバイト同士。
なので、根拠を聞いてもよくわからない…あるいはとてつもなく小さいこと…が多いわけです。
この場合どちら寄りになっておくのが自分にとって働きやすいかで決めるのもありです。まあこんなこと書かなくても多くの人は本能的にこうしているでしょうが。あえて書くなら私の場合以下のような方針です。
- 自分と接する時間が長い方に従っておく(シフトやポジション)
- 人望がありそうな方に従っておく(単に怖そうとか声がでかいとかは無視すること)
大事なのは、怖そうな人や声がでかい人に従うのが得とは限らないという点です。こういう人は職場内で表面上幅を利かせているので、実際従っておくほうが得というケースが多いですが絶対ではありません。全員から敵視されていたり、他の人以上に小心者というケースも多いです。新人だとつい思考停止して怖そうなほうになびきがちなのであえて書いておきました。
社員の立場でパートのローカルルール板挟みになった場合
社員でも応援で入った現場やポジションではローカルルールの板挟みになることがあります。
この場合も基本的には最初に書いた通りの対応です。ただ一応社員としての格や責任というのもあります。
私の場合は一応それぞれの理由をそれとなく整理するようにしていました。結論は出しません。
理由を聞く際は「なんでですか」という直接的な問いではなく間接的に柔らかくです。
大抵は少なくともどちらかの理由は推測できるので、例えば「Aさんのやり方はこういう点で良いですよね。えーとBさんのやり方で良いのは…」みたいにやればBさんがちゃんと理由を語りだしてくれます。
こうやって聞いたら「なるほどどっちもいい点があるし難しいですね…(う~む)」的にまとめてしまいます。※まあ実際にはここで終わらず、大抵はそれぞれ延々話して軽いバトルを繰り広げてくれたりします。Aさんが「Bさんのやり方だとこうなってしまうのよ」、Bさんが「でもこうじゃない?」…などなど。でもそのうち尽きてきますし、お互い自分の主張は全部吐き出す形にはなります。
こうすればその後どちらのやり方で作業してもまず穏便に(少なくとも自分がいる間、表面的には)流れます。AさんもBさんも面子は潰されていないし一応立ててもらったので。
なお応援や臨時ではなく、自分が管理者の立場になった場合はいろいろです。ルールとして決めたほうがいい場合もあるし、「これについては絶対的なやり方はない」という結論にしてしまう場合もあります。この記事は新人バイトとして入った場合…の話なのでこれ以上は深入りしません。
そもそも人によってなぜ言うことが違うのか
はじめて働いたりすると「人によって指示や言うことが違う」ということ自体に理不尽さを感じてしまったりします。ただこれは自由意志を持つ人間が一緒に働く上では仕方がないこと、ある程度までならむしろ健全で働きやすい組織である証明かもしれません。
同じ仕事をしていてもAさんBさんでは当然価値観や物事の優先順位が違います。そのような自由度がある、つまり個人にまかせる会社のほうが、マニュアルで詳細な点までガチガチな会社より人間として楽しく働きやすいかもしれません。
誰に聞いても絶対的な答えが返ってくる職場は、最初働きやすいかもしれません。ただ自分もすぐにロボットのようになるということです。誰に聞いても違う答えが返ってくるような職場は最初戸惑うかもしれません。ただ慣れた後はアルバイトであろうと自分自身の自由をある程度行使できるということです。どちらの会社が自分に合うかはある程度働いてみないとわかりませんが。
ただ重要なポイントを一つ補足すると「人によって言うことが違う」根本原因が派閥や人間関係の場合も多いという点です。AさんとBさんは仲が悪く、AさんはBさんに対抗・反発するために逆のやり方をしているというようなケースです。こういった場合は新人が入ってきた際にそれぞれが自分の派閥に取り込もうとしてきます。
これに振り回されたくなければ、この記事の前半で書いたような方法でもいいですし、全然別の方法でもいいですが、どちらの味方でもないことを示しつつ、どちらの顔も潰さないという手を使います。こういう派閥があるような職場では必要以上に仲良くなったり気に入られようとするとストレスになるので、割り切りと距離感が大切です。
まとめ
- AさんBさんが正反対ならとりあえず一番近い方のやり方に合わせてしまう。
- できるだけ直接バトルさせ、自分は中立を保つ。両者がいるときにもう片方を呼んででも立ち合わせる。
- どちらの味方にもならず、どちらの顔も潰さなければ意外とどちら流を採用してもOKだったりする。
- 二者択一の場合は、しっかりした客観的に納得できる理由がある方、そしてなにより自分に合った方を採用する。
- どちらにつくか損得で決めてもいいが、声がでかい・怖そう、というだけでそちら側になびかないこと。
- 社員の立場でパートの板挟みになったら両者を立てて顔を潰さないことが大事。
- 人によって意見や教え方が違う職場のほうが慣れたあとは働きやすいかもしれない。自分の性格に聞いてみる。
新人としてどっちに従うか問題、はっきり言ってこの記事で書いたような「しちめんどくさい」作業を頭の中でやってきたわけではありません。
ただなんとなく空気を読むというか本能的な反応でやってきただけです。その中で「こうするとこうなるのか」「こういうパターンもあるのか」という感じで失敗や気づきがありました。
今回なんとなくこの問題をネタにしようと思い、自分の頭の中や経験を再整理して記事を書きました。ただの個人の独り言です。あくまで参考や笑い話レベルとして読んでいただければ幸いです。
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