スーパーの鮮魚コーナーの仕事ってどうなんだろうな?とお思いでしょうか。
私は4年ほどの経験があるのでこの記事でこんな疑問についてまとめることにしました。
- スーパーの鮮魚ってどんな仕事?収入は?
- 鮮魚の仕事のデメリット・大変さ
- 鮮魚の仕事のメリット
スーパーの鮮魚ってどんな仕事?
小売りの鮮魚加工の働き方には2種類あります。
店舗での加工・販売業務、センターでの加工業務です。
どんな魚を扱うの?
捌く魚はメジャーなものが多いです。かつお、ぶり(ワラサ)、さば、タイ、サゴシなど。
たまにカワハギとか。ごくまれにアンコウ(吊るし切り)とか。このへんはバイヤーがその日の入荷や金額で決めています。
アジやイワシなどは細かくて数が多いのでさばくのが大変な仕事になります。なるべく丸のまま売りたいです。サンマは頭を落としたあと腹をバシバシ叩いてワタを抜いて売るのが定番です。
他に定番商品として多いのは塩鮭(切り身にします)、タコ(足をばらす、つまみ用のぶつ切りにする)などです。
この中で一番大変なのはセンターで塩鮭を切り身にする仕事でした。半解凍で大出刃で切っていきますが、最初のころは1~2時間やり続けると腱鞘炎になっていました。
他にたいへんだったのはアジの3枚おろしなどです。小魚ほど数が多くなるので数百~数千尾をみんなでやっても終わりが見えないと感じました。
魚を捌く以外の仕事は?
仕入れ・販売に伴う各種事務仕事がありますので午後のはやい時間など、作業がひと段落したところで行います。POPを作ったりなどセンスを問われる内容もあります。
仕入れ(目利き)に関わる仕事ができるようになると収入が大幅に変わってきます。
その収入についてみていきます。
収入はどれくらい?
月収は経験者で25万~28万くらいのスタートが多いです。未経験者でも20万円台前半でしょう。一般的な調理に比べると比較的高額だと思いますし、小売店の社員としても高待遇になります。
目利きができるようになり仕入れなどを担当できるようになると年収で500~600くらいはいくはずです。
でもたださばくだけだったらどこに転職しても給料はさほど上がっていかないです。それでも鮮魚というのは小売店の中では最も技術を身につけるのに時間がかかるので貴重な人材として扱われます。
鮮魚の仕事のデメリット・大変さ
鮮魚の仕事で大変だったことをまとめました。
体力的・生活リズム的にきつい
鮮魚は朝早いです。その分毎日昼過ぎに終わるとかだったらいいですが、基本的に夕方にピークを迎える仕事なのでそうもいきません。開店前は忙しいので最初からエンジン全開ですが、その後もずっとそのペースで走り続ける感じです。
私が長くいたセンターは0時から昼前くらいまでだったのでほとんど夜勤です。
店舗にしてもセンターにしてももちろん立ちっぱなしですし、ずっとまな板に向かっていると腰にきます。
水仕事(氷仕事)なので寒い
冬は地獄です。よく厨房が冬寒い、水仕事がきついとか言われますがまったく比較になりません。その10倍きついです。とりあえず全身冷たい・冷えます。以下もう少し具体的に。
足が冷たい
まず水はバシャバシャと床が常に濡れています。防寒の長靴の下に厚手の靴下を履いてもまだ足りないくらいなので靴底の先端にホッカイロを入れたりしていました。お湯を張ったバットに長靴ごと入る(足湯みたいな感じ)というのも応急的にやったりしていました。
手が冷たい
また当然ひたすら手が冷たいのですが、これは氷を張った状態で魚が納品されるからです。冷凍品を半解凍で扱うことも多いです。水仕事というより氷仕事です。
ただし店舗のパート・アルバイトは水仕事が少ないですのでそこまできつくありません。主な作業がラッピングやすしの製造(機械でつくったシャリにネタをのせる)、商品の陳列・値引き作業だからです。
体が冷たい
冬でも当然暖房のきいた状態にはできません。さらに冷蔵庫・冷凍庫に入ることが多いのが一番つらかったです。真冬の朝一で冷凍庫の作業は地獄でした。
ちなみに夏はむしろ最高です。普通の厨房は夏は地獄で、冬は火を入れ始めると最高になるので真逆ですね。
ブラックが多い
センターは基本的に深夜勤務です。開店前に第一便を店舗に届けなければならないからです。労働時間的にも長めでした。その日の入荷によって昼を超えることも少なくなかったです。平均で10時間は超えていたと思います。
店舗の鮮魚も2か所経験しましたがブラックでした。求人などで建前は7時~とか8時~、実働8時間など書いてありますが実態は違いました。私がやったのはどちらも実質6時前~夜の9時までとか超絶ブラックでした。ですのですぐに辞めました。これはどちらもローカルスーパーの鮮魚コーナーだったので、大手スーパーなどはそんなにひどいことはないような気はします。
けがの危険
普通の料理で包丁を使うのに比べると大けがの確率が高いです。
一つには冷凍ものを半解凍で切ることが多いからです。包丁の刃渡り(テコ)ももちろん活用しますが、やはり包丁の重さと力でいきます。
半解凍ものは基本的に下に包丁を向けて切りますが、そうできないこともあります。この場合は当然包丁の先に左手がないようにしなければなりません。でもついやってしまったという人がいました。その人は手のひらの親指の付け根のところの肉をごっそりそいでしまったので、おしりから皮膚をもってくるという手術をしたそうです。痕がなまなましかったです。
半解凍ものに限らず大出刃を使うことが多い作業ではけがの可能性が高いです。アラの処理などは重さで叩き切るので一歩間違えれば指が無くなります。私はぶりを切り身にする際に左手の中指の先端を落としてしまったことがあります(最初へこんだままでしたが、数年たったら元の長さに戻りました)。
また慣れないうちはヒレなどで手指を指してしまうことは日常茶飯事です。気づいたら手の平の皮膚がボロボロになっていたということもありました。
手や腕が魚臭くなる
鮮魚の仕事をしていると手と腕が魚臭くなります。仕事後に洗ったくらいでは落ちないです。風呂に入ってやっと落ちたか落ちてないかくらいになります(自分ではよくわかりません)。
気にしなければ何の問題もないのですが、これが嫌だという人もいるでしょう。
鮮魚の仕事のメリット・魅力
メリット・魅力をみていきましょう。
魚がさばけるようになる
メリットの一つは魚がさばけるようになることです。ブリ(ワラサ)や鮭などは家庭ではほとんど練習できないので、仕事をしていないと身につかない技術ということになります。
飲食店でも魚さばきは覚えられますが、大型の魚を毎日のように扱えるという意味では鮮魚に軍配が上がります。ただし鮮魚(の仕事)のおろし方というのはある意味特殊です。基本的にスピード重視でバサバサ処理していく感じなので、日本料理の専門店などではまったく通用しないやり方になります。
また注意点としては魚さばきができるようになっても料理はできるようになりません。ふつう惣菜コーナーとも完全に分離しているのでかかわりはありません。
「魚はさばけるけど料理はできない」より、「魚はさばけないけど料理はできる」のほうが役立ちますし転職しやすいのが現実です。同じように知識についても魚については詳しくなれますが、その他の食材については一切学べません。
これは鮮魚の仕事を選ぶべきではないという意味ではなく、「料理を学びたいから鮮魚を選ぶ」は原則として違うという話です。
技術者扱いになる、食いっぱぐれない
鮮魚に携わっている人は技術者です。鮮魚技術者は常に求人があります。しっかりと経験を積んでいれば簡単には食いっぱぐれないでしょう。
鮮魚加工用の機械もいろいろありますが、やはり人の手の方がよい面がたくさんあります。今後技術革新が進んでいくことも考えられますが、鮮魚という仕事自体はなくなりません。
ただ現実的にはスーパーの鮮魚コーナーが減少しているというデータもあります。その分工場やセンターでの加工などの仕事もあるわけですが、昔のようにどの街にも魚屋があった景色はなくなっています。技術があれば日本全国どこでも働けるという時代ではなくなってきていると感じます。
収入は悪くない
すでに書きましたが一般的な調理の仕事や飲食店に比べると鮮魚の収入は高めです。ただ労働時間も長めになることが多いので、給料にあらかじめその分が加算されているというのもあります。
しかし少なくとも生活していくうえで困らない、続けていくことで日本の平均年収以上稼げる可能性が高いという意味ではおすすめの仕事です。
まとめ
鮮魚の仕事についてまとめです。
- 体力的にきつい(特に冬の寒さは地獄)
- 手に職系の仕事なので食いっぱぐれない、収入も上を目指せる
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