私は片頭痛持ちです。10代から、かれこれ20年以上のつきあいになります。片頭痛持ちは女性が多いですが私は男性です。
片頭痛は症状もそうですが「周囲に理解されないこと」が辛いなとしみじみ思います。
片頭痛よりインフルのほうがマシ
片頭痛で嫌だなと思っていたことはもちろんその症状が一番ですが、けっこう近いレベルできついのが「理解されていない感」です。
当然ですが頭痛は見た目にはわかりません。
痛みの度合いが体温計のように数字になって表示されるものがあったらいいと何度も思いました。もし数字の「頭痛度」みたいなのがあったら周囲の人は一様にびっくりして一気に理解してくれる気がします。「えっ私このあいだインフルで38℃以上あったときの頭痛度57だったのに、その片頭痛85なの⁉」みたいな。
私の場合インフルと一番ひどい時の片頭痛だったらインフルの方が全然マシです。もちろん感染するインフルのほうが社会生活上迷惑をかけたり長期間困ったりするのでそういう要素は除いての話です。自分のなかで「同じだけの時間(3時間とか)苦しむならどちらかきついか」です。
ただ片頭痛は症状のレベルがその時によって、また人によってだいぶ違います。上の「インフルのほうが全然マシ」というのも一番ひどいレベルが出たときで、もっとだいぶ軽い時もあります。
またどの程度対処できるかによって全然辛さが変わります。薬、冷やすなどの対処を取れずに立ったまま明るい暑い場所に居続けるとかだと最悪です。
私の中の片頭痛と風邪の比較はこんな感じ。
重めの片頭痛>インフルエンザ(発熱39℃程度)>軽めの片頭痛>軽めの風邪(発熱37.5℃程度)
今まで3回インフルになったことがあります。発熱39℃くらいで頭痛と吐き気と悪寒があるときに毎回再確認することがあります。「やっぱり片頭痛の最悪バージョンのときよりはマシだな」と。※私の場合片頭痛は吐き気もひどい。
ということで「片頭痛なので休みたいです」という人がいた場合、「今熱が40℃以上で吐き気もひどいので休みたいです」という翻訳が適切な場合も十分ありえます。もちろんこれは最悪の”可能性”ですし軽い片頭痛のこともありますが。
ともかく今まで生きてきて「ただの頭痛(軽い風邪や疲労程度のイメージ)」扱いされている感はたびたび味わってきました。
発作を起こしても休めない、すぐに休息させてもらえない、だから余計辛いし症状がひどくなる。休ませてもらえてもその分「やる気がない奴」扱いされる、こういうのがメンタル的につらかったです。
私の片頭痛の症状
私の場合の片頭痛の具体的な症状は以下のような感じです。※人によって異なります。
目の横あたりが大きく脈打っているような感じでズキンズキンと痛みます。「片頭痛」というだけあって最初頭の片側だけが多かったですが、両側のこともあります。また吐き気・嘔吐があるのがつらいです。
前兆がある場合とない場合があります(重度のときは高確率であり)。前兆とは目が一部見えなくなることです。ひどいと視野の半分くらい見えなくなります。真っ暗になるとかではなくギザギザしてその範囲のものは判別できない感じです(閃輝暗点)。こうなったら15分後くらいには片頭痛がはじまります。
だいたい頭痛の長さは数時間、もっとも長くても1日弱くらいです。
以下の対処法を取れるときはその分軽減できます。
- 薬を飲む
- 横になる(立っているならせめて座る)、頭を動かさない
- 冷やす(アイスノンでも可だが氷水がベスト)
- 涼しくする(暑さで発症することがとても多い)
- 暗くする(屋外などまぶしい明るいところで発症することが多い)
本来前兆が来たり、頭痛がはじまった直後にこういった対処ができるとよいのですが、周囲に理解してもらえないため難しくなってしまったことが多々あります。
なぜなら普通の人に「視野が欠けてきたので15分後に頭痛が始まります、今のうちに休ませてください(無理ならせめて薬とアイスノンだけでも)。」と言っても通じるわけありません。ちなみに視野の欠けはそれ自体も仕事や生活に支障が大きいです(短時間でも)。
私は厨房で仕事をしていた期間が長いので、忙しくて対処できない・させてもらえないこともありました。そのため文字通り「歯を食いしばって耐える」という嫌なクセもつきました。一時期食いしばりすぎてあごがおかしくなったことがあります。
予防についてやってきたこと
これまで検査入院したり予防薬を試したりいろいろやってきました。手術という選択肢も一応ありましたがリスクを考えて保留しました。
医者では原因やパターンについて記録をつけるようにすすめられます。私の場合単に暑いところやまぶしいところを避けるのが一番効果があるというのが自分なりの結論でした。また水分はつねに多めに補給。
他にも疲れ(主に睡眠不足)やストレス(イベント前後など)、におい(たばこなど)もトリガーになるので気をつけています。
できるだけ刺激を避けて生きること。私の場合インドア派で刺激を避けたい性格なのでこれは苦ではありません。でももしアウトドア好きとか生活に刺激がほしい性格だったらもっとつらかっただろうなと思います。
片頭痛持ちにとって職業は大事だと思います。厨房からWebの仕事に変わってからはほとんど起きなくなりました。私の場合一番の原因は暑さだからです(ちなみに次点で光。特に炎天の太陽光など強い光の刺激は危険。なので外仕事は無理だなと思っている)。
職業を変えてからはたまに起きてもあまり問題はなかったです。納期直前とかだと最悪中の最悪ですが、それ以外は休むことは自由だったからです。もっとも座りっぱなしでPC作業は目や肩などからくる頭痛が頻発してそれはそれで嫌でした。でも片頭痛の発作に比べればはるかにましです。
周囲の「頭痛くらい」という認識
正直片頭痛の発作がきてもはやめに最善の対処を取れるならそこまで辛くありません。いや辛いのですが、辛さが段違いに軽減されます。
上でも書きましたが、薬を飲み暗く涼しい場所で横になって冷やすこと。自宅ならベッド・氷水・雨戸も閉める、という最善の方法を取れるのでたいぶラクです。
なので問題はやはり仕事場などの場合。座っていても頭をちょっとでも動かすだけでさらに激痛が増すような時もありますが、立っている場合は吐き気もあいまって例えようのない辛さになったこともあります。
ということで休みたい、やや強引にでも休みたいのですがなかなかうまくいきません。休むと言っても昼間に発作が多かったので、一時的な離脱や早退のことです。一番ひどい最初の2時間くらい横にならせてもらえるだけでも全然違います。ただその場合でも後引くのはまちがいないのでできれば早退したいです。
でも仕事中に離脱というのはある意味朝欠勤連絡するより難しいです。厨房の世界は体育会系だったので「根性がない」「我慢が足りない」「弱い」などの評価を受けていると感じました。実際にそういう言葉を言われたこともあります。ただ風邪で40℃くらいの熱がある人に同じこと言ったらだれしも「理不尽だな」と思うはずです。これが理解されていない感を強く感じるところです。
確かに迷惑をかけているので「仕方がないだろ」とは言えないし思ってもいません。迷惑をかけて申し訳ないです。ただ精神論的なことを言われたり、やる気に問題ありとされることがつらいです。
定期的に穴をつくってしまったりパフォーマンスを落としてしまうのは事実なのでそのマイナス評価なら甘んじて受けます。ただ「やる気が足りない」的な感じで評価が落ちるのはつらいですし「大したことない症状のくせに大げさだ」と思われるのはくやしいです。
ほかにもプライベートで片頭痛が原因で予定をキャンセルせざるをえなかったときショックを受けたこともあります。「本当は遊びたくないんでしょ」的に言われました。頭痛ごときでドタキャンなんて…と思ったかは定かではありませんがその可能性は高いです。なぜなら「熱が39℃以上ある」と言えば同じ反応になるとは思えないからです。
迷惑をかけてしまい申し訳ないのはこちらなのでやさしくしてほしいとは思いません。ただこういうのは追いうちを受ける感じでつらかったです。
片頭痛に新しい名前ができたらいいのに
重い片頭痛でも「頭痛ごとき」という認識。この問題の原因の一つは「頭痛」に対する世間のイメージだと思っています。頭痛自体はおそらくほとんどの人が経験があります。だからこそ自分の知っている範囲の頭痛で考えてしまう…。一般的な”頭痛”と片頭痛がごっちゃなのです。
重めの片頭痛持ちと一般の”頭痛”には認識の差がありすぎます。
ということで片頭痛に新しい名前ができたらいいのに…と思ったりはします。頭痛という一般的な言葉から距離をつくればだいぶイメージが変わります。「前兆視覚障害嘔吐労働不能激痛頭症」みたいな。いやこれはやりすぎですが、名称からくるイメージって大事だと思っています。
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