炒め物、フライパン一つでできるので便利ですよね。でもいまいち本格的にならないと感じたことはありませんか?中華屋さんで出てくるような炒め物、作りたいですよね。
この記事ではそんな時に確認してほしいことを9個ピックアップしました。下ごしらえ編2つ、味付け編4つ、仕上げ編3つという構成です。レシピ集は世の中にたくさんあふれていますが、最近は簡単にできる系のレシピが多いため、プロが当たり前に使っているワザがスルーされていることも多いです。
この記事を読んでいただくことでこんな風になれます。
- 炒め物の基礎、ポイントがわかる
- 中華屋さんのご飯がすすむ系の炒め物が作れる
- 炒め物のレシピを見たときに良し悪しを判断し自分で補える
料理をはじめたばかりだとまずは炒め物から入るという方も多いと思います。最初から全部やろうとすると大変だと思いますのでいくつか選んで少しずつやってみてください。
この9個を確認してみよう
以下中華風肉野菜炒め、ご飯がすすむ系の炒め物を想定しています(素材の味を生かしてあっさり仕上げる系は引き算すればできるようになります)。
下ごしらえ編
1.肉に下味をつける
これは他の9個よりも最優先でやってほしいです。これによって土台がしっかりした味になりますし、肉が柔らかく仕上がります。肉をそのままフライパンに突っ込むのは基本的にやめましょう。
炒める5~10分前くらいに肉に調味料を入れて混ぜるだけです。肉に味をつけてから野菜を切るという段取りにするのがおすすめです。買ってきたままのパックにそのまま入れて混ぜれば洗い物も増えません。
参考に、肉300gに対する調味料は以下です。これならば最終的な味付けがみそでも焼き肉のタレでも何でも合います。※めんどうなら塩、こしょうは入れなくても可。醤油すら面倒なら酒だけでも違います。しょうが、にんにくを混ぜておくのもおすすめ。
酒 | 大さじ1(15cc) |
---|---|
醤油 | 大さじ1/3(5cc) |
塩 | 少々 |
こしょう | 少々 |
【さらにレベルアップ】
ちなみに中華料理では油通しという下処理をします。上記の下味をした後、下のものを加えてよ~く混ぜ(中華では「チャンする」と言います)て、炒める前に低温の油にくぐらせます。※油にくぐらせる前にわざわざ油を混ぜておく理由は、ほぐれやすくするためです。
卵(1個)、でんぷん(大さじ1強)、油(大さじ1.5)
これにより肉がかたくなることなく仕上がります。
なお油通ししなくてもでん粉を薄くまぶしてから炒めるなどでかたくなるのを防ぐことができます。慣れてきたらいろいろ挑戦してみてください。
2.野菜はサッと茹でておく
家庭の火力と道具ではどうしてもお店のようにはいきません。特に家庭サイズのフライパンで具材が多いと火をまんべんなく通すのも難しいです。混ぜているうちに水がどんどん出てきてしまいます。
そこでおすすめなのがあらかじめ下茹でしておくことです。人参など硬めの野菜は長めに。もやしやキャベツなら茹でると言うよりサッとお湯にくぐらせる(10秒)くらいのイメージでOKです。電子レンジにかけておくのもアリです。
炒め始めたら肉→野菜と投入していきますが、この野菜を入れた後は1分で仕上げるイメージです。このスピード感が大事なので、逆算してあと1分で仕上がる程度まで火を入れておきます。
ちなみに調味料は野菜に火が通ってから入れます。そうしないと味が入らないので。
なおチンジャオロースーや酢豚などの中華では、基本的にすべての野菜を油通し(炒める前に低温の油に入れ8割くらい火を通しておく)します。ですが油っこくなりますし、家庭ではたいへんなので茹でるorレンジがおすすめです。
味付け偏
さまざまな料理やレシピがありますが、下記のように調味料の役割を理解しておきましょう。
3.薬味の香りを油に移す
いきなり肉や野菜を投入せずに、まずはしょうがやにんにくを投入しましょう。油に香りを移すのが目的なのでここは弱火でOKです。じりじりと加熱して薬味がチリチリ音を出してきたら肉を入れていきます。
はじめはすりおろしのチューブのやつでもOKです。でも料理に慣れたらぜひ生を使ってください。香りが全然違います。
薬味では他にみじん切りのネギを入れるというパターンを覚えておくといいです。タイミングは目的に応じて、最初か最後です。最初に投入して油に香りを移す、最後に投入して食感とフレッシュな香りを加えるなどです。例えばエビチリの場合最初と最後半々で投入したりします。
4.酒を使う
酒は塩や砂糖みたいにわかりやすい味を出す調味料ではありませんが最高の万能調味料です。くどくない旨味と香り、甘味が加わります。あまり多く入れると風味が強く残ってしまうので少量です。
でも少量ってどのくらい?ってなりますよね。炒め物の種類によるのですが、あえて目安量を述べるなら5%くらいです。これは麻婆豆腐のような汁けが多いものなら汁の量に対して、汁が少ないものなら具材の重さに対してです。例えば300g(cc)に対して大さじ1(15cc)くらい。感覚として覚えておくとレシピ頼りにならずに済むので便利です。
なお経験的には一桁%までなら酒臭くはなりません。逆に言うと酒の風味がわかるくらいに効かせたい場合は10%程度が目安。
なお先述した1.肉の下味の時に入れていればそれだけでもOKですし、別でさらに加えてもいいです。
できれば清酒を使いましょう。酒税がかからない料理酒は塩分も入ってしまっていますし、価格は多少上がりますが全然違ってきます。。
なお洋風の場合ワインになります。香りの他、特にキレや酸味が加わるという役割です。
5.ガラスープを入れる
炒め物がイマイチという悩みを聞いていると、意外とこれ、ガラスープの素が抜けている(足りていない)というケースが多いです。
肉など味が出る材料を多めに使う場合でも鶏ガラの旨味は必要です。ご飯がすすむ系の炒め物を作るなら必須です。例えばいつも焼き肉のタレで味付けをしているという場合でも入れた方がいいです。
麻婆豆腐やエビチリなど汁けが多い料理の場合そもそもガラスープがベースになりますが、汁けが少ない炒め物でも素を入れた方がいいです。
ちなみに例えば金平を作る場合なども水を入れずに和風だしの素をそのまま投入してOKです(醤油や酒の水分がある場合)。
6.甘味を忘れない
炒め物に意外と忘れられがちな要素が甘味です。もし醤油や味噌ベースなら砂糖を使いましょう。甘味といっても基本的には甘ったるくするのが目的ではなく、まろやかにするくらいのイメージです。
ただおすすめは甘味を含む調味料をベースにしてしまうことです。例えば甜麺醤、オイスターソースなどです。他に焼き肉のたれやステーキソースもアリです。これらは強力なのでメイン調味料に据えると味も決まりやすいです。ただしそれだけで塩分を適切な量まで持っていこうとすると甘すぎるので塩分は醤油で補いましょう。
考え方としてはこのどちらかになります。
- 醤油、味噌ベース+砂糖(甘味を補う)
- 甜麺醤など甘味を含むメイン調味料+醤油(塩味を補う)
これに先の5.ガラスープとこしょう。ご飯が進む系の基本味付けなので覚えておくと便利です。
仕上げ偏
7.とろみをつける
とろみってあんかけ料理や麻婆豆腐のように汁が多い炒め物につけるものだと思っていませんか。
実は汁が少ない炒め物でも少しとろみをつけるだけでおいしくなります。理由は、食材に味がよく絡む、味がまとまるから。口に入れたとき、舌に乗ったとき、呑みこむとき、感触に差が出ます。スープを加えない炒め物でも、フライパンを傾けたときに少し水が溜まることが多いと思うのでそこに弱めにとろみを加えます。少量水を加えてもいいです。
基本的に水溶き片栗粉(かコーンスターチ)を使います。熱いところにそのまま入れると入れた瞬間固まってしまうので、必ず水で溶いてから流し入れましょう。火を止めて混ぜた方がダマになりにくいです。
面倒なら水に溶かなくていいタイプも売っています。ちょっと高いですが。
8.仕上げの香りをつける
仕上げにごま油。またはごま油とラー油というセット。何かが足りないなあと思ったらこういった仕上げの香りがないからという可能性を考えてみてください。
タイミングは最後火を止めてからです。
なおエビチリ等の場合は葱油がおすすめです。ごま油が好きじゃないという人やいつもごま油で飽きたという場合も一度お試しを。葱油というのは白絞油の中に葱の青いところやしょうがを入れて加熱して香りを移したものです。
仕上げの香り系は好みなので食卓に常備しておいて各自好きなだけかけるのもいいです。
9.最後に酢を入れる
あまり知られていない気がしますが、最後(上のラー油とかと同じタイミングでOK)に小さじ半分くらいの酢を入れるのが玄人のワザです。作る量が少ないならほんの2~3摘くらいです。
目的は酸っぱくするためじゃなく味を良くするためです。わずかな酸味で味を引き締めます。表現が難しいのですが、わずかにボヤっとしていた味が輪郭がキリッとはっきりした感じに変化したら正解です。こういう目的なので舌で酸っぱさを感じたら入れすぎです。
本当にそんなわずかな量で変わるの?って思うかもしれませんが、だまされたと思ってやってみてください。酢を垂らす前で味見して、垂らした後で味見。きっと違いにハッとさせられると思います。
※酢がない場合はすし酢などで代用でもいいです。
まとめ
- 肉に下味をつける
- 野菜はサッと茹でておく
- 薬味の香りを油に移す
- 酒を使う
- ガラスープを入れる
- 甘味を忘れない
- とろみをつける
- 仕上げの香りをつける
- 最後に酢を入れる
初~中級者が家庭で作る場合にチェックしてみてほしいことをまとめた記事でしたが、いかがでしょうか。
料理に唯一の正解はないですしこの記事が炒め物のすべてというわけでもないですが、上記リストのうちまだ試したことがないものがありましたらぜひお試しあれ。どんどんお店のっぽくなるはずです。
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